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LIVE REPORT

吉井和哉、グッドモーニングアメリカ、Czecho No Republic、LACCO TOWER

『TRIAD ROCKS -Columbia vs Triad-』

2015年05月19日
@豊洲PIT

7年振りに復活した名門レーベル、TRIAD。その幕開けを飾る主催イベント『TRIAD ROCKS』が豊洲PITで行なわれた。

トップバッターを務めるのは、6月に1stアルバム『非幸福論』でメジャーデビューを果たすTRIADの新鋭・LACCO TOWER。おそらく彼らを初めて観る聴衆も多い中、のっけから爆発力を備えた松川ケイスケのヴォーカルと起伏豊かなグルーブで圧倒し、真一ジェットがキーボードの上に立って煽ったりと、物怖じしないパフォーマンスを見せる。“『TRIAD ROCKS』へようこそ! 今日みたいな4アーティストが揃うことはなかなかないし、みなさんの日常の中のひとつの光がこのライヴだと思うので、楽しんでいってください”と松川が挨拶。キャリアで言えば、のちほど登場するグッドモーニングアメリカとほぼ同期で、故郷群馬での主催フェス『I ROCKS』も大盛況を収めているLACCO TOWERは、細川大介の美麗なギターソロ、どこか懐かしいメロディーなども聴かせながら、激情型ロックバンドの真価を発揮し、イベントも最高のスタートを切った。

イベントのサブタイトル(“Columbia vs Triad”)通り、ここから2組はコロムビア勢。ファンファーレのような「Amazing Parade」で華々しいオープニングを決めたCzecho No Republicは、先ほどのLACCO TOWERとはまた異なる、さわやかなエモーションと男女ツインヴォーカルで場を包んでいく。“ドラムの彼(山崎正太郎)が本当に吉井(和哉)さんのこと好きで、俺がどんな曲を書いても、これはイエモン(THE YELLOW MONKEY)で言うところの「○○」だね、みたいな。で、ちょっと今までにない感じのを作ると、これはソロの吉井さんの「○○」かな、とかウザイんですよ(笑)”と武井優心(Vo&Ba)がゆるく沸かせるMCがありつつ、深い音響の中でトリプルシンセとヘヴィなビートを巧く絡ませた新曲「Beautiful Days」などは痺れるほどに素晴らしい! 「MUSIC」以降の楽曲でも低音や空間を生かしたアレンジが目立ち、チェコの次段階が垣間見られるステージだった。

TVアニメ『ドラゴンボール改』のエンディングテーマとなった「Oh Yeah!!!!!!!」に偶然にも続くかたちとなった悟空コスで登場したグッドモーニングアメリカのたなしん(Ba)。そして“かめはめファイヤー!”の掛け声とともに、同タイアップの「拝啓、ツラツストラ」につなぐという鮮やかなドラゴンリレーで、早くも自分たちのペースを作り出す。中盤で披露した6月10日発売のニューシングル「コピペ」は、グドモならではのキャッチーさとシニカルさが絶妙なバランスで炸裂していて、《コピペパピプペポ》の奇天烈なフレーズも最高! 発売前にして、ファンのハートをがっちり掴んでいた。“コロムビアやTRIADみたいな歴史あるレーベルに参加できてすごく嬉しいし、僕らがまた新しい風を吹かせられたらいいなと思います”と金廣真悟(Vo&Gu)が語り、ラストはコロムビアからの船出を飾ったアルバムタイトルチューン「未来へのスパイラル」。燃え滾るような気迫十分の演奏が頼もしかった。

トリはもちろん、18年振りに古巣TRIADに復帰した吉井和哉だ。歓声が一層大きくなる中、バックバンドのナポリタンズを率いて悠々と現れ、まずは最新作から「 (Everybody is)Like a Starlight」。同MVさながらの柄シャツを纏って、アクションも軽やかに決めると、間髪入れずにTHE YELLOW MONKEYの「SPARK」へ! 時折セクシーにフェイクを効かせ、TRIADのバックドロップを指さして《新しい何かが俺の中で目覚める》と怒涛のテンションでシャウトする吉井のロックスターぶりに、若者を含む全オーディエンスが一気に撃ち抜かれた。しかし、これだけでは終わらない。「TOKYO NORTH SIDE」「クリア」などソロのおいしいナンバーを立て続けに演奏した後、“TRIADには中原(THE YELLOW MONKEY時代のプロモーター)というとてもカッコ良い男がいたんだけども、2000年に若くして亡くなってしまって...”と切り出す。そして“今日はどうしても歌いたい曲があるんだよね。彼が見つけてきたすごいバンドがあって、そのデビューシングルを聴いた時にいつか歌いたいなと思ってたんだ。中原に捧げます!”と話して始まったのは、まさかのTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの「世界の終わり」! 青いタンバリンを振って熱唱する吉井に、それぞれの魂の邂逅に、歓喜のどよめきが起こった。

“今の曲もそうだけど、彼はTHE YELLOW MONKEYのいろんな曲を世に出してくれました。こうやって(TRIADに)戻ってこられたので、中原とまた新しい日本のロックを築いていきたいなと思ってます。古臭いけどね、日本のロックを築いていこうなんて。でも、いいんです。デビュー当時から古いんです、俺は”と笑うと、ラストは“特別な時にしかやらない曲”だという永遠の名曲「JAM」が、特別な男のために鳴らされる。《時代は裏切りも悲しみも 全てを僕にくれる》《素敵な物が欲しいけど あんまり売ってないから 好きな歌を歌う》《外国で飛行機が堕ちました ニュースキャスターは嬉しそうに「乗客に日本人はいませんでした」》――どこを取っても痛切に響くその美しい歌詞に、あらためて感動を覚えてしまう。大盤振る舞いな吉井和哉のステージ、本当にすごかったです。

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