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LIVE REPORT

Czecho No Republic

『帰ってきたドリームシャワー 夏だ!野音だ!Czecho No Republicだ!初の日比谷野音ワンマン』

2015年07月12日
@日比谷野外音楽堂

さすがに日は傾き始めたとはいえ、Czecho No Republic(以下チェコ)の5人が演奏を始めた午後5時はまだまだ全然、明るい真夏の野外ライヴ。オープニングの「ネバーランド」から「Festival」「Crazy Crazy Love」とたたみかけ、いきなり総立ちの客席を沸かせた後、“暗くなるまでやりたいんですけど、今日の日没は(午後)6時59分。それまで僕たちがもつか”と武井優心(Vo&Ba)はすっとぼけたことを言って、“もつよ!”と砂川一黄(Gu)から突っ込まれていたが、ライヴが終わったのは午後8時。蓋を開けてみれば間に休憩時間(と衣装替え)を挟んだ2部構成のライヴは、武井が初めて日比谷野音で観たという↑THE HIGH-LOWS↓の「日曜日よりの使者」のカバーを披露したり、客席の真ん中に作った小さなステージで「ABCD Song」をアコースティックバージョンでやったり、アンコールの1曲目に新曲を披露したりと、武井の言葉を借りれば、まさに“ウ○○盛々”の3時間の熱演となった。

懐かしいインディーズ時代の曲を多めに選んだ前半と、“野音もっと歌えるよ!”と武井が客席を煽った「For You」他、新しめの曲をホーン隊とともに演奏して、ぐいぐいと盛り上げていった後半という2部構成は、過去5年間の総決算という意味合いもあったかもしれない。あるいは、彼らがかつてやっていた自主企画イベントのタイトルを冠していたことを考えれば、初心に帰るなんて想いもあったかもしれない。いや、前述したさまざまな演出はもちろん、お笑いコンビのオードリーやバンド仲間から寄せられたコメントや砂川による細かすぎて伝わらない物真似といった余興(?)も含め、単純にお祭りとして楽しもうということだったのかもしれない。

彼らにとって記念すべき初の日比谷野音ワンマンをどう捉えるかはさておき、男女ヴォーカルの掛け合いや、煌びやかなシンセサウンドを使いながら、楽曲が持つポップかつラブリーな魅力とともに誰もが楽しめるとことんハッピーな空間を作り出すという意味でも、そこに下ネタも含む武井のMCが皮肉っぽい調子や毒気を加えるという意味でもチェコはチェコ。たとえ晴れの舞台でもいつもと変わらないことを、いつも以上にオープンマインドなパフォーマンスとともに彼らは印象付けたのだった。

9月にメジャー第3弾アルバム『Santa Fe』を、現在所属している日本コロムビア内のレーベルTRIADからリリースすることと、そのアルバムを引っ提げてワンマンツアーを行なうことを発表したアンコール。前述した通り“強くて引っ掛かる新曲を持ってきました”(武井)と、早速『Santa Fe』から哀愁メロディーとサビの4つ打ちのリズムが印象的なシンセオリエンテッドな新曲を披露。新しいアルバムへの期待を煽りながら、“一緒に歌ってくれ!”(武井)と「Oh Yeah!!!!!!!」につなげると、野外ライヴが似合うバンドになりたかったという願いがようやく叶った喜びを“最高ですね!”と語り、懐かしいポップナンバー「ショートバケーション」で、さらなる飛躍を目指す彼らにとってターニングポイントになるに違いないライヴを締め括った。