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LIVE REPORT

LACCO TOWER

『非幸福論リリースツアー “感幸旅行”』

2015年07月20日
@恵比寿LIQUIDROOM

LACCO TOWERの周年イベントを盛り上げる、みこしーズ主演の、ちゃんちゃんって内容のショートムービーが流れた後、ふんどし姿のみこしーズが神輿を担いで、“ラーッコ、ラッコ、ラッコ、セイヤー! ワッショイ!”とスタンディングの客席を練り歩いてからライヴがスタート。そして、ダブルアンコールではマスコット=ラッコちゃん(ラッコの着ぐるみね)がキレッキレのダンスを披露...という構成は、言ってしまえば、もはや毎年恒例のものになりつつあるけれど、それでも“今回のLACCO TOWERは前回とは全然違う”と思わせたところがこの夜の一番の見どころだったように思う。

6月17日にリリースしたメジャー1stアルバム『非幸福論』のリリースワンマンツアー。その東京公演でもあり、LACCO TOWERの結成13周年を記念するライヴでもあるこの夜は、恵比寿LIQUIDROOMワンマン公演が3度目にして初めてソールドアウトするというメンバーにとっても、ファンにとっても感慨深いものになった。そのせいなのか、「柘榴」でスタートして「奇妙奇天烈摩訶不思議」「檸檬」と立て続けに演奏した序盤から、バンドは気合の入った演奏を満員の客席にぶつけながら飛ばしていった。それでもいっぱいいっぱいという印象はこれっぽっちもなく、どこか余裕のようなものも感じられたところにバンドのスケールアップが表れていた。

“(LACCO TOWERのライヴの)約束事はただ1個です。幸せになって帰ってください”。ヴォーカルの松川ケイスケがそう観客に呼びかけた中盤以降は『非幸福論』の曲を軸に披露していった。「葡萄」「傷年傷女」といった曲でいわゆるラウドロックバンドにも負けない激しさをアピールする一方で、歌謡メロディーの哀愁と歌のストーリーが胸を焦がす「茜」やピアノバラードの「霙」では歌をしっとりと聴かせ、エモーションをほとばしらせる多彩な曲の数々で魅了した。彼らが良い曲を多数レパートリーに持っていることを改めて実感。

曲間のMCでは、ツアー中に地方ラジオ局の番組に出演した際、ずっとバンド名を“LACCO STAR”と間違えられたエピソードを語ったり、メンバーのポンコツぶりを露わにしたりしながら笑いもとった。そう言えば、リズム隊のふたりはいつの間にか上半身裸になっていたが、そんなところも含め、観客はLACCO TOWERの音楽はもちろん、情熱、メッセージ、そして、彼らが内包するエキセントリックな魅力をしっかりと受け止めていた。激しい曲ではもちろん観客は暴れるが、決して暴れるだけではない。バンドの熱演に加え、それを受け止める客席の様子も含め、眩いライヴの光景を筆者は楽しむことができた。

その光景はもっともっと大きなものになるべきだ、と考えていたら、ゆっくりとしたペースで一歩一歩進んできたこれまでの道のりを振り返った松川は、これまでと変わらないやり方で前に進んでいきたいと語ると、“(日本)武道館公演が決まったと報告できる日に(みんなに)いてほしい”と新たな目標を宣言したのだった。