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LIVE REPORT

BUCK-TICK ライヴレポート

【BUCK-TICK ライヴレポート】 『TOUR No.0 -FINAL-』 2018年12月29日 at 日本武道館

2018年12月29日
@日本武道館

シンプルに“TOUR No.0 -FINAL-”と題し、12月29日に開催された、19年連続となるBUCK-TICKの日本武道館公演。春から夏にかけての全国ホールツアー、秋から冬に各地のスタンディング形式の会場を廻ったライヴハウスツアーを経た、アルバム『No.0』を引っ提げたステージの集大成という位置付けである。ところが、この2週間ほど前、櫻井敦司(Vo)の急病により4公演が延期されることがアナウンス。誰もが期待と不安を抱えてこの日を迎えることとなった。

暗転した場内に流れた「ノスタルジア - ヰタ メカニカリス -」をモチーフにした音と映像。瞬時に異次元へと誘うオープニングの演出に導かれて始まった「GUSTAVE」に対する歓声の大きさは、この場に集ったファンの気持ちを体現していたようだった。いつもの5人が変わらずにステージに立ち、アクティブに煽ってくる安堵感。体調不良より復帰した櫻井も不調さを感じさせない歌だ。意識的にそう見せた面もあるだろうが、バンドが一体となったパフォーマンスは観客の注目をすぐさまアルバム『No.0』の世界へと向けさせた。そして、“心配をおかけしました。今日は一緒にダンスしましょう”(櫻井)という第一声の通り、自ずから身体が揺らされるビートを軸にしたセットが、会場を躍動的な空間へと変えていく。そこには「Ophelia」「月蝕」「Moon さよならを教えて」等々、静なる場面も違和感なく組み込んで起伏を生み出す上手さもある。

『No.0』のひとつの集約のさせ方が重々しく表れたのが、「零式13型「愛」」「ゲルニカの夜」「胎内回帰」のみを並べた最初のアンコールだった。実際にこの崇高なシーンに涙した人は少なくなかっただろう。その余韻が未だに脳内に響いているのは、綴られたメッセージを何度も熟考させられているからに他ならない。

デビューから31年。BUCK-TICKがなぜ今も続き、さらなる未来も感じさせるのか。この日の公演を観ながら、図らずも改めて確信したのは、その奇跡的必然だったのかもしれない。櫻井が言葉を詰まらせながら口にした周囲への感謝の念にも思いを馳せながら、最後の「夢見る宇宙」に耳を傾けた。

撮影:田中聖太郎写真事務所/取材:土屋京輔

BUCK-TICK

バクチク:1987年にメジャーデビューを果たし、以降メンバーチェンジすることなく、日本のロックシーンの第一線で活躍し続ける。不動であり孤高であるその姿は、後続するアーティスト達にも多大な影響を及ぼしてきた。89年にリリースされた3rdアルバム『TABOO』でチャート第一位を獲得、デビュー後わずか2年の間に日本武道館、東京ドームと席巻し、名実共にトップアーティストの仲間入りを果たす。その後も独特なポップセンスとダークな世界観を深く掘り下げていく一方で常にその時代の先鋭的な要素を積極的に取り入れ、まさにBUCK-TICKでしか成し得ない独自の音楽性を提示しながらも、今なお進化し続けている。

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