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LIVE REPORT

BUCK-TICK

『TOUR アトム 未来派 No.9』

2016年12月29日
@日本武道館

ステージ中央後方に設置されたオブジェにプロジェクションマッピング的に映像が映し出されてライヴはスタート。無国籍感漂うミディアムグルーブの「cum uh sol nu -フラスコの別種-」から、スピーディかつパンキッシュな「PINOA ICCHIO - 躍るアトム」、4つ打ちダンスチューン「美 NEO Universe」と畳み掛けていく。オープニングから繰り広げられる圧倒的な音世界。樋口豊(Ba)&ヤガミ・トール(Dr)のリズム隊がボトムを支え、今井寿(Gu)&星野英彦(Gu)のツインギターがサウンドを彩り、その上に櫻井敦司(Vo)のヴォーカルが鎮座する。スタイルこそ真っ当なロックバンドのそれだが、いざ音が出ると、我々が知るロックバンドのどれにも似ていない、“BUCK-TICK”としか言いようがない世界が広がっていく。

以降、過去の楽曲は「Baby, I want you.」「MY FUCKIN' VALENTINE」「メランコリア-ELECTRIA-」の3曲のみで、鳴らされるのは最新アルバム『アトム 未来派 No.9』収録曲。ラストでは「Cuba Libre」「曼珠沙華 manjusaka」「愛の葬列」とタイプは異なる楽曲を連ねながらも、会場全体を妖艶な色に包んでいく様子はまさに圧巻だった。17年連続の同日開催となった恒例の12月29日の日本武道館公演。代表曲を散りばめたイベント色の強いライヴになったとしても不思議ではない。しかし、彼らはあくまでも新作の世界を構築することを貫いた。そのロックバンドとしての矜持に敬意を表したい。回顧も懐古もなく、結成からここまでの間、常にアップデートし続けてきたからこそのBUCK-TICKである。それを痛感させられた夜だった。

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