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LIVE REPORT

BUCK-TICK

『或いはアナーキー ? N P P N B D K N -』

2014年12月29日
@日本武道館

BUCK-TICKが放つ、この強烈な求心力の根源は何なのか? 最新アルバム『或いはアナーキー』を携えたライヴは、全国ホールツアーの締め括りとなる東京・NHKホール公演を約3カ月前に観たばかりであり、その際の素晴らしいパフォーマンスにも感銘を受けたが、15年連続となるこの日の日本武道館公演では、また新たな衝動に心も体も揺さぶられることになった。

新曲を主軸にしながら、過去のマテリアルを組み込んでいくセットリスト。このセレクトの仕方からして深遠だ。単に曲調的な近似性だけではなく、歌詞に描かれる世界観のちょっとした共通項まで連関させて魅せていくのである。ダダイズム、シュルレアリスム、デジタル・ビート、宇宙...そういったキーワードでつながる抽象化された概念が音塊となり、オーディエンスを異次元へと誘う。

現実と非現実を自在に行き来する。その佇まいは櫻井敦司(vo)の艶かしく毒々しい立ち居振る舞いに象徴されるが、それが決して妄想ではないことは、彼らのステージに触れれば一目瞭然だろう。あらゆる現象がBUCK-TICKという媒介を通じて表出される瞬間の連続。享楽的な感覚もある一方、時には恐怖感すら覚えるほどだ。

観客と常に心地良い距離感で温かさを伝える姿を改めて確認した場面も多かった。本編を「HEAVEN」で締め、最終アンコールで「CLIMAX TOGETHER」から、同名映像作品を再現する「...IN HEAVEN...」「MOON LIGHT」へと結ぶ。つまり、いずれも行き着いた先は“天国”ということか。そんな心憎い演出までさりげなく織り込んでしまう。まだまだ追究したくなるバンドである。

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