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【ライヴレポート】 『UKFC on the Road 2018』 2018年8月22日 at 新木場STUDIO COAST

2018年08月22日
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<出演者>
■teto(FRONTIER STAGE)
■postman(FUTURE STAGE)
■POLYSICS(FRONTIER STAGE)
■polly(FUTURE STAGE)
■THE NOVEMBERS(FRONTIER STAGE)
■aint(FUTURE STAGE)
■TOTALFAT(FRONTIER STAGE)
■odol(FUTURE STAGE)
■BIGMAMA(FRONTIER STAGE)
■ウソツキ(FUTURE STAGE)
■[ALEXANDROS] (FRONTIER STAGE)
■Helsinki Lambda Club(FUTURE STAGE)
■the telephones(FRONTIER STAGE)

UK.PROJECTの歴史を作り上げてきたバンドと新世代のバンドが出演する『UKFC on the Road』。今年は東名阪にて全4公演を行ない、新木場STUDIO COASTにて最終公演が開催された。

■teto(FRONTIER STAGE)

まずは9月に1stフルアルバム『手』の発売と、恵比寿LIQUIDROOMをファイナルとする全国ツアーを控えたtetoがメインのFRONTIER STAGEでトップバッターを切り、その期待値の高さを1曲目の「拝啓」で知らしめた。エネルギーに満ちたパンキッシュな音を響かせ、小池貞利(Vo&Gu)はダイブをかまし“お前ら観とけよ”と言わんばかりの堂々としたパフォーマンス。思い切り爆発させてもまだ力が漲っていてもどかしいくらいだった。MCではUK.PROJECTの社長に“「奴隷の唄」だったり「洗脳教育」という曲タイトルは大丈夫ですか?”と訊いたら“やりたいことをやりなよ”と言われたことを語り、この熱量には歓喜や気合だけでなく感謝の気持ちがあふれていたのだと分かる。そんな中、最後に届けた「忘れた」で会場はノスタルジーな空気に。繊細な心情がじっくりと浸透する光景が美しかった。
text by 千々和香苗

■postman(FUTURE STAGE)

若手バンドを中心にしたFUTURE STAGEのトップバッターを飾ったpostmanは2016年にBIGMAMAが開催した10代限定ライヴ『Welcome to BIGMAMA University』の企画内で、見事BIGMAMAとの共演を果たした名古屋のバンド。“postmanです、よろしく!”(寺本颯輝/Vo&Gu)と挨拶し、伸びやかな歌声が映える「光を探している」で幕を開けると、続く「Moongaze」で突如表情を変える。一転してガツガツと攻め立て、さらに“お手柔らかにとは言わないです”と宣戦布告をすると、それまで様子をうかがっていたオーディエンスからも拳が突き上がり、手拍子が巻き起こり、シンガロングに包まれる。“音楽に歳なんて関係ないと思うんで、次はメインステージに立ちたい”と、未来に向かって駆け出したような全力のステージだった。
text by 高良美咲

■POLYSICS(FRONTIER STAGE)

結成20周年のタイミングでナカムラ リョウ(Gu&Vo&Syn)が加入し、新体制では初の『UKFC』参戦となったPOLYSICS。「That's Fantastic!」でクラブの如く縦揺れが起こり、黙々とプレイするナカムラの音遊びも楽しい。ハヤシ ヒロユキ(Gu&Vo&Syn&Prog)は今年で8回目の『UKFC』を振り返り、今回初年度のラインナップが出揃ったことを“エモみが増してる”と語るが、感慨深さに浸る隙もなく「How are you?」で得意の高速ビートで叩きつけ、「シーラカンス イズ アンドロイド」を畳み掛けてフロアーはもみくちゃに! 最後にthe telephonesの「Urban Disco」をカバーしたことにも仲間への愛を感じた。曲中にハヤシがナカムラをフロアーに放り込んだのは、最高なメンバーが加わったことをこの場で自慢したいのと同時に、“もっとこいつを愛してくれ!”というアピールだろう。その自信も含め、また新たな正念場を迎えているのだと確信する。
text by 千々和香苗

■polly(FUTURE STAGE)

“やりたいように、25分間やらせてもらいます”。中盤で越雲龍馬(Vo&Gu)がそう話した通り、ただひたすらにpollyの楽曲を届け続けたライヴだった。静寂に包まれた会場にはステージ上の明かりだけが灯り、メンバーがぼんやりと映し出されている。越雲の繊細なヴォーカルやリバーブの効いたバンドサウンドが、ほの暗い視界と相まってさらなる奥行きを生み出す。オーディエンスは神経を研ぎ澄まして聴き入りながら、身体を揺らしたり腕を掲げたりと、思い思いに身体を委ねている様子。美しいメロディーが印象的な新曲からリズミカルな「狂おしい」まで全5曲、自分たちのペースを一貫し、自身の独創的な空間を作り上げた25分間だった。
text by 高良美咲

■THE NOVEMBERS (FRONTIER STAGE)

2011年より開催されている『UKFC』に幾度となく出演してきたTHE NOVEMBERS。ハモりやコーラスが広がりをみせる「Hallelujah」を聴かせると、「Misstopia」でも心地の良いサウンドを響かせ、オーディエンスはそのサウンドに浸るように身を任せていた。しかし、ノイズや小林祐介(Vo&Gu)の絶叫に近い歌声が鳴り響く「Gilmore guilt more」から一転、「こわれる」「Xeno」「黒い虹」を連発し、身体を底から揺さ振るような爆音と目が眩むような照明が生み出す緊迫感にはただひたすら圧倒されるばかり。そのサウンドに気圧されながらもオーディエンスは頭を振り乱して応え、全6曲を終えても興奮冷めやらぬ空気が充満する中、“ありがとうございました。楽しい1日を”と言葉を残し、メンバーはステージをあとにした。
text by 高良美咲

■aint(FUTURE STAGE)

オーディションで勝ち抜き、昨年初めて『UKFC』に出演したaintは、今年6月にUK.PROJECTより両A面シングル「Moondrop / 明日が来るまで」をリリース。ニシダ コウキ(Vo&Gu)が“今年は家族としてここに立ててます”と語った通り、1曲目の「君のこと」から気合十分だった。この日はミニアルバム『灯』のリリース日ということで同作からの5曲を披露。「透明な世界」の激しいドラミング、ニシダとusako(Vo&Gu)の美しいツインヴォーカルには緊迫感も漂うが、すぐにオーディエンスの集中力へと昇華された。BIGMAMAの金井政人(Vo&Gu)によるプロデュース曲「Moondrop」では清風(Vo&Shout&Ba)のシャウトが突き抜け、冷静な佇まいの奥に力強さとハングリー精神を感じた。ひと時も気が抜けないステージで強烈なインパクトを残していたaintは、今後要注目だ。
text by 千々和香苗

■TOTALFAT(FRONTIER STAGE)

“『UKFC』のお祭り隊長”ことTOTALFATが「夏のトカゲ」でライヴの口火を切った瞬間、フロアーが波打ち、場内の温度が上がっていく。新木場STUDIO COASTが揺れるほどのジャンプや風が巻き起こるほどのタオルを振り回すだけに飽き足らず、“まだまだ夏を終わらせねぇって奴、どんだけいるんだよ?”(Shun/Vo&Ba)と「晴天」でさらに加速していき、“踊り散らかすぞ!”(Jose/Vo&Gu)を合図に始まった新曲「Your Goddamn Song」ではオーディエンスとともに声を張り上げる場面も。客席にビールをふるまうおもてなしのあと、アクセル全開でパーティーチューン「PARTY PARTY」を放つと改めて“the telephones、おかえり!”とこの日の『UKFC』を迎えられた喜びを露わに。その後も笑顔を弾けさせながら「Place to Try」「DA NA NA」とアッパーチューンで果敢に攻め込み、まさに終始お祭り騒ぎで締め括った。
text by 高良美咲

■odol(FUTURE STAGE)

クリック音を鳴らし、セッションスタイルで徐々に6人の音が重なっていくodolらしい幕開け。今年は『FUJI ROCK FESTIVAL’18』のメインステージに出演した彼らを待ちわびるオーディエンスが一瞬にして惹き付けられたのが分かった。ループ感が癖になる「four eyes」は曲が盛り上がるにつれてトランス状態のような空間を生み出し、程良い緊張感でライヴが進んでいく。疾走感とミゾベリョウ(Vo&Gu)の切ない歌声が響く「綺麗な人」、ハンドマイクに持ち替えてじっくりと聴かせた「years」と続けて披露し、最後は「生活」。やさしく響くピアノに重なった荒々しいヴォーカルとギターソロが極めてエモーショナルで、感情が揺さぶられる中、叙情的なリリックに懐かしさも感じる贅沢な時間だった。
text by 千々和香苗

■BIGMAMA(FRONTIER STAGE)

昨年、現在のメンバーとなってから10周年を迎え、自身初となる日本武道館でのワンマンライヴを大成功に収めたBIGMAMAが今年も『UKFC』にやってきた。1曲目の「荒狂曲“シンセカイ”」からバンドの熱をさらに煽るような手拍子でオーディエンスに歓迎され、3月にリリースしたメジャー第一弾シングル「Strawberry Feels」から軽快な「POPCORN STAR」に雪崩れ込み、会場を十分に沸かせたところで“BIGMAMAです。よろしくお願いします”(金井政人/Vo&Gu)と挨拶。「MUTOPIA」「ファビュラ・フィビュラ」とライヴで定番の楽曲を矢継ぎ早に放ち、「秘密」では緩急のある展開でBIGMAMAの音世界の深みに誘い、「CPX」ではイントロからダイバーが多発と白熱の展開。最後には“また会いましょう”と言葉数は少なめに、最初から最後まで真正面からぶつかった熱量の高いライヴパフォーマンスで圧倒的な存在感を示した。
text by 高良美咲

■ウソツキ(FUTURE STAGE)

リハーサルでディズニーの「アンダー・ザ・シー」をアレンジし、まずは和やかなムードを作ったウソツキ。昨年は最後に演奏した「新木場発、銀河鉄道」を1曲目に演奏し、夏にぴったりなラブソング「ボーイミーツガール」につなげた。竹田昌和(Vo&Gu)の“早く[ALEXANDROS]観たいでしょ?”というひと言で笑いが起きる場面もあり、その人懐っこい雰囲気がさらに視線を集める。9月にリリースされる3rdフルアルバム『Diamond』について““ウソツキ”がリリースする“Diamond”だから“偽物”なんです。でも、本物よりも美しいものにしたい”と語り、ひと足お先に収録曲「夏の亡霊」を披露。ムーディーなサウンドと透き通るような歌声で複雑な恋心を届け、最後は代表曲のひとつ「一生分のラブレター」で爽快に締め括った。
text by 千々和香苗

■[ALEXANDROS] (FRONTIER STAGE)

つい1週間前にZOZOマリンスタジアムでのワンマンを大成功させた[ALEXANDROS]は、登場から大歓声を浴びて新曲「Last Minute」からスタート。川上洋平(Vo&Gu)の伸びやかな美声が響き、「city」「Starrrrrrr」で盛り上げたあとの「ハナウタ」では壮大なメロディーに胸がいっぱいになる。年々貫禄が増す彼らのライヴを手が届きそうな距離で観られるのも『UKFC』ならでは。“距離が近くていい”と話した川上は大合唱をするフロアーに身を乗り出して頷き、磯部寛之(Ba&Cho)は“めっちゃ楽しみにしてた。今後も育ってほしい”と語るなど、年に一度のこの日を大切にしていることが伝わる。また、映画『BLEACH』の主題歌「Mosquito Bite」の張り詰めた空気も絶品で、久々の対バンに“同じ事務所でも喧嘩を売りに来てるので”と宣言した通りフロアーの熱気は高まるばかり。来場者に感謝を告げたラストのナレーションまで高揚感たっぷりのステージだった。
text by 千々和香苗

■Helsinki Lambda Club (FUTURE STAGE)

こまでのライヴの熱気と余韻が充満する中で、我関せずと自分たちのスタイルで魅せたのがHelsinki Lambda Clubだ。まずは軽快なロックナンバー「Skin」で掴みはばっちり。定番曲「ユアンと踊れ」でグルービーにキメると、ミディアムテンポの「King Of The White Chip」へ。“自由に踊りましょう。よろしく”と挨拶もそこそこに、オールドスクール要素と新鮮味が入り混じった絶妙なナンバー「PIZZASHAKE」につなげ、メンバーもラフにこの場を楽しんでいるようだった。8月に配信リリースした「Jokebox」も爽快なサウンドが心地良く、「This is a pen.」のコーラスは気持ちを高揚させたりと、その抜群のセンスが会場の後ろのほうまでも酔わせていく。淡々としているようでロマンあふれる8曲をじっくりと堪能した。
text by 千々和香苗

■the telephones(FRONTIER STAGE)

2015年11月の活動休止以来、3年振りの『UKFC』出演となったthe telephones。今年はさいたまスーパーアリーナで5月に行なわれた『VIVA LA ROCK』と本公演のみの出演とのことで、ステージに姿を現した瞬間に歓声と拍手が沸き起こり、石毛 輝(Vo&Gu&Syn)が“We are the telephones! 帰って来たぞー!”と叫ぶと、「D.A.N.C.E. to the telephones」で一気に会場がダンスフロア―と化する。2008年の1stアルバム『JAPAN』からの「DaDaDa」といった懐かしい選曲もこの日ならではだろう。そして、“俺たちは躍らせることしかできないから...”(石毛)とディスコナンバーを連発すると、再会の喜びを分かち合うようにオーディエンスのコーラスが響き渡る。幸福感に包まれる中、本編ラストの「Urban Disco」に...と思いきや、石毛がギターをミュートしていてやり直しになったのも実にthe telephonesらしいハプニングだった。鳴り止まない拍手に応えたアンコールでは、“バンドのわがままを受け入れてくれてありがとう”と活動休止からこの日までのことを語り、メジャーデビュー10周年を迎える2019年は“お祝いされたくて、来年には結構活動しようと思います!”と宣言すると、場内に割れんばかりの歓声と拍手が響く。まずは2月から、これまでに行ったことのない佐賀・島根・奈良・和歌山という地方4カ所を巡ることを発表すると、先ほどの言葉で期待が高まり切っていた会場からは何とも言えない微妙な反応が(笑)。とはいえ、次の再会の約束ができたことで、最後にフロアーを風船が覆い尽くした「Love&DISCO」は誰もが幸せそうな笑顔に満ちていた。
text by 高良美咲

この日のFRONTIER STAGEには『UKFC』第1回目の出演者が揃っており、それぞれのアーティストが成長&復活を遂げてまたここに集まったことは、強い絆はもちろん、活きの良い若手バンドもこれから前に立って担っていくであろう『UKFC』のさらなる未来を予感させたのであった。

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