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LIVE REPORT

Helsinki Lambda Club ライヴレポート

【Helsinki Lambda Club ライヴレポート】 『Helsinki Lambda Club 『Tourist』発売記念 スペシャルパーティー"物見遊山"』 2018年12月9日 at 青山 月見ル君想フ

2018年12月09日
@青山 月見ル君想フ

Helsinki Lambda Clubが12月5日にリリースした2ndアルバム『Tourist』は、結成5周年という節目でバンドの足元を固めるどころか、さらにジャンルを取っ払った自由奔放な作品だった。そんな同作のリリースツアーは2019年1月からとまだ先だが、12月9日に青山 月見ル君想フで行なわれたリリースパーティーには、その新譜でバンドの好調さを感じ取ったファンも多く駆け付け、満員御礼となった。

多様な楽曲を生み出した『Tourist』のリリースを記念し、橋本 薫(Vo&Gu)が打ち出した本公演のテーマは“ひとつにならないことを共有する”。満月を掲げた幻想的なステージには、まず台湾を中心に活動するギターポップバンドのDSPSが登場。メロウなサウンドを響かせながら、透き通るヴォーカルと時折不規則になるドラミングでフロアーを惹き付け、ライヴハウスとか国境とかそういった概念を感じさせない不思議な空間を作っていく。

緊張感もほどけたところでバトンタッチされたHelsinki Lambda Clubは、えぐみのあるリリックが特徴のミドルナンバー「しゃれこうべ しゃれこうべ」をじっくりと聴かせる。最新作の1曲目に収録された「マリーのドレス」のリズミカルなコーラスワークで魅了すると、次はライヴで定番のグルービーな「ユアンと踊れ」でフロアーを躍らせた。曲ごとに毎回ノリ方が変わるセットリストもこの日のテーマを具現化していて、“物見遊山”というイベントタイトルの如くバンドをいろいろな角度で見物しているような感覚。稲葉航大(Ba)がヴォーカルに挑戦した「ロックンロール・プランクスター」は、メンバーが笑みを浮かべながらプレイしている部分でもその完成度への自信がうかがえ、熊谷太起のギターリフが高揚感を煽るファンキーな「PIZZASHAKE」では程良い脱力感が癖になる。ミディアムテンポの楽曲だけでも充実したステージを作り上げられる実力を改めて思い知った。

アンコールはアップテンポな3曲で盛大な締め括り。彼らが確立した“やりたいことをやる”というシンプルで最強のバンドスタイルに拍手を送りながら、MCの“来年は海外進出したい”というひと言にも期待が高まる。

撮影:マスダレンゾ/取材:千々和香苗