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LUNA SEA ライヴレポート

【LUNA SEA ライヴレポート】 『LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023 MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE』 2023年10月7日 at Kアリーナ横浜

2023年10月07日
@Kアリーナ横浜

LUNA SEA不朽の名作アルバム『MOTHER』(1994年発表)『STYLE』(1996年発表)。この2枚がリリースされた際に行なわれたツアーを現代に再現する全国デュアルアリーナツアー『LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023』が、10月7日&8日のKアリーナ横浜公演よりスタートした。初日となる7日は“MOTHER OF LOVE,MOTHER OF HATE”というタイトルを掲げ、名盤『MOTHER』の世界が約30年の時を経て蘇るライヴとなった。

今回のツアーの初日は9月29日にオープンしたばかりの会場、Kアリーナ横浜。SUGIZO(Gu)のトリプルネックのギターが轟音を上げる。宇宙とのつながりを思い起こさせるナンバー「LOVELESS」から始まるライヴは近年も行なわれている。しかし、この曲が最初に生まれたツアーの再現であるからか、まるで故郷に帰ってきたかのような響きがあって、いつも以上に特別感が漂う。INORAN(Gu)の12弦のアコースティックギターが重なり、真矢(Dr)の流れるようなドラムに導かれつつ、J(Ba)の突き上げるベースが感情を高ぶらせる。そこにRYUICHI(Vo)の強固な歌声が加わり、楽曲をさらに押し広げる。魔法にかかったように固唾を呑んで見守るSLAVE(ファンの呼称)。するとステージ前方で火花が起こって、それまで5人の演奏の迫力に動けなかったオーディエンスが解き放たれ、コール&レスポンスがアツい「TIME IS DEAD」へ。照明が激しく点滅する中、観客も一斉に拳と声を上げる。

“『MOTHER OF LOVE,MOTHER OF HATE』、ようこそ! お前ら、会いたかったぜー!”。過去のライヴを思わせる、鋭く荘厳な声でRYUICHIが呼びかける。“アリーナ、飛ばしていこうか! JESUS,DON'T YOU LOVE ME?”のかけ声とともに「JESUS」が始まり、きらびやかさと妖しさの両面が際立つ「IMITATION」を経て、地から這うイントロから始まる「FACE TO FACE」に。サビのところの演奏がさらに重くなっていて、この曲が持つカオスな空気がさらに増していた。

SUGIZOのトリプルネックのギターが、亡くなった友への想いを描いている「GENESIS OF MIND~夢の彼方へ~」で登場する。オープニングの「LOVELESS」しかり、アルバム『MOTHER』の楽曲は近年のライヴでもたびたび演奏されてきたので、正直言って聴き慣れているとどこかで思ってしまっていた。しかし、アルバムのライヴとなると、ひとつひとつの曲のつながりが深いからか、普段とは違った聴こえ方がして驚いた。そして、改めて感じるのは、LUNA SEAのライヴは曲のつなぎ方が秀逸なこと。1曲が終わってもストーリーが続いていると感じさせるアレンジになっていて、そのぶんライヴの世界観に浸ることができるのだ。

20分間の休憩を挟み、ドラムソロから2部が始まる。“横浜! もっと来いや! まだまだいけるだろー!”――前回のライヴから声出しが解禁になっていたが、思う存分コールができるようになり、オーディエンスはありったけの声で“真矢ー!”と叫び、彼も“今日、明日、俺たちの忘れられない日にしようぜ!”と応えた。4人もステージに表れて、ライヴをさらに盛り上げる「FATE」を演奏。

“みんな気分はどうですか? 28年振りだって。『MOTHER OF LOVE,MOTHER OF HATE』。やっぱり最高だよね。俺たちは常に、もちろん前にも、上にも、そしてもっともっと深いところにも、いつも広がっていっているんだよね。だって28年前のこのツアーの再現が、また新しいものをビシビシ感じているっていうこの瞬間、最高じゃない?”(RYUICHI)

そして、“初めてだったこのKアリーナ横浜、最高です! それじゃあ、お前らとともに、もう少し時間を巻き戻してみたいと思います。NEXT SONG...”と始まったのは、カラフルな音が迫ってくる「AURORA」。さらにスピード感のある「IN FUTURE」へ。スクリーンには今と過去の映像が交互に映し出されて、年数は経ても彼らの根本は変わらず、地続きであることが分かる。途中でJとRYUICHIが1本のマイクで《RUDE BOY!》と叫ぶところは、ふたりの熱が絡み合い、いつ聴いてもその緊張感にしびれる。

“こうして5人で地元神奈川の新しい、美しいKアリーナに立てて、本当に嬉しく思います”(RYUICHI)

本編の最後は彼らの代名詞ともなっている「ROSIER」。新しい会場であるKアリーナは音響設備にこだわっていると言われていたが、5人の音が濃密に伝わってきて、ライヴハウスを思わせる熱気が感じられた。

アンコールの声に応えて、ステージに次々とメンバーが登場した。11月29日にリリースされる全曲フルリテイクのセルフカバーアルバム『MOTHER』。そのジャケット写真がスクリーンに映し出される。RYUICHIは今、まさに最終のレコーディング作業中であることを告げ、“たぶん、“うわっ、きてる!”って思ってもらえるアルバムになると思います”と言葉を続けた。ミックスエンジニアとして、前作のオリジナルアルバム『CROSS』(2019年発表)に続いて世界的音楽プロデューサーのスティーヴ・リリーホワイト氏を起用していることもあり、どのように生まれ変わるかも注目である。

そして、メンバー紹介。“真ちゃん、一言お願いします”と言うと、真矢は“今回のツアー、年末までみんなで愛し合って、そして舞台の俺とお前らと、どっちが最高にいかしているか、勝負しようぜ! そんなツアーにしたいから、よろしくね!”と伝える。Jは“今日、初日! 最高のツアーにしようぜ!”と呼びかけ、INORANは声を出さずRYUICHIに耳打ちし、“みんな、愛してる、って”とRYUICHIがINORANの思いを代弁。SUGIZOは“Kアリーナ、みんな最高だね”、さらに“みんな最っ高に”と言ってから、“愛してるぜ!”とマイクを通さずに訴えた。

最後はSUGIZOから“不死鳥”と紹介されたRYUICHI。“本当にここから始まったんだよ。今日から、この瞬間から。そして、『MOTHER』もすごいけれど、明日もヤバいよ、みんな。楽しみにしていてくれよー!”と翌日の『UN ENDING STYLE』ライヴの期待感を高め、“このツアー、インディーズの頃のも、そしてメジャーになってからのLUNA SEAの中心を支えてくれている2枚のアルバムで。もう一度みんなとともに、ムーブメントを起こしたいんだよね。どうみんな。付き合ってくれるかー!”と叫び、“そして、ここでもうひとつ、今日はみんなにサプライズを入れます。今夜、ここからはラストまで、写真撮っていいよ”と続けた。突然思ってもみなかった提案に、客席はどよめく。“ムーブメント起こそうって言ったじゃん? これからみんなが撮ったカッコ良いなと思う作品を、ぜひいろいろなところにしらしめて、LUNA SEAの嵐を起こしてほしいんですけれど、いかがでしょうか?”と尋ねる。

“やっぱ今日、来れなかったファンのみんなもいるからさ。みんなでこの熱を、ともに作っている、盛り上げている、高めている熱をさ。だから、カメラマンになっているみんな、期待しているよ!”

メンバーからの許可がおりてオーディエンスはスマホを構えるが、やはり演奏が始まるとそれに聴き入りたい、この世界を今、体に浴びたいといった感じで、カメラをおろす人も多い。でも、ライヴ後には“#LUNAPIC”というハッシュタグで、オーディエンスならではのエモーショナルな写真が数多く投下された。

そして全員、白いシャツ、ジャケットを身に着けた姿でステージに現れる。頭上のミラーボールが回り、ピンと張り詰めた空気の中でアルバムタイトル曲「MOTHER」が演奏される。30年弱の年月が過ぎても、美しい音色に身が震える。LUNA SEAの音楽が表しているのは、時代の流れとは違う、普遍的なものなのだと思う。再現ライヴによって、そのことを改めて強く感じた。

最後にRYUICHIが“Kアリーナ横浜。本当に最高の夜だった。みんな本当にありがとう”と感謝の気持ちを述べ、“今日、みんなの作品を本気で楽しみにしているので。この時間がともに、育んだ2枚のアルバム、2つの偉大なツアーを、さらに、ともに盛り上げていきましょう”と、これから始まる旅に対する意気込みを語って本公演は幕を閉じた。始まったばかりのこのツアーが年末までにどのような深化を遂げていくのか、しっかり見届けていきたい。

撮影:田辺佳子、上溝恭香、清水義史/取材:キャベトンコ

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