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LUNA SEA ライヴレポート

【LUNA SEA ライヴレポート】 『THE BEST OF LUNA SEA 2023 A Show for You』 2023年5月28日 at 武蔵野の森 総合スポーツプラザ メインアリーナ

2023年05月28日
@武蔵野の森 総合スポーツプラザ メインアリーナ

LUNA SEAが東京・武蔵野の森 総合スポーツプラザ メインアリーナで『THE BEST OF LUNA SEA 2023 A Show for You』を開催した。5月27日は「A Rosy Show」、翌28日は「A Show for You」と名づけられた今回のライヴはコロナ禍を経て声出しが初めて解禁となり、これまで積み重ねてきた思いが解放されたような興奮と熱気に包まれた。また、28日の公演では最後に会場がどよめくサプライズな発表もあり、オーディエンスを大いに沸かせた。

会場が暗くなるとステージに設置されたモニターに、メンバーが会場に向かって歩くモノクロの映像が映し出される。彼らは通路で立ち止まると円陣を組み、SLAVE(LUNA SEAファンの呼称)たちにとってもお馴染みの姿となっている気合入れを行なう。それから階段を一歩一歩のぼっていく様子をカメラがとらえ、ライヴに挑む高揚感がマックスになったところで、ステージにSUIGIZO(Gu&Vn)、RYUICHI(Vo)、INORAN(Gu)が現れた。

アコギのやさしい音とともに始まったのは「LOVE SONG」。2000年の終幕前では最後となったシングル曲で、SLAVEにとっては強烈な印象が残るナンバーである。途中から真矢(Dr)、J(Ba)も加わり、曲がより壮大になっていく。後半のコーラスパートでは会場の照明もつけられて、客席も一緒に歌声を乗せる。まだライヴは始まったばかりだというのに、オーディエンスのコーラスも加わり、すでに何曲も演奏したような濃密な空気感が出来上がっていった。その余韻に浸っていると、真矢のカウントが始まり、ステージ前方からバンッ!と火花が上がり、空気は一変。激しい「PRECIOUS...」に突入したのだった。

RYUICHIは冒頭にかけていたサングラスを取って“2023年5月28日。武蔵野の森、みんな会いたかったぜー!”と力強く叫ぶと、次いで「STROM」「DESIRE」でさらに会場のテンションを引き上げて、疾走感が心地良い「Thoughts」へ。ここまで終幕前(2000年以前)の楽曲が続いていたが、2013年発表の「Thoughts」が投下されたことによって、2010年から再び活動を開始したLUNA SEAの進化の過程を思い出させた。

“みんな楽しんでくれている? ベストライヴをやろうと決めた日から、俺たちはこれから毎回、特別なライヴをやろうと思って誓った”とRYUICHIは語り、“昔から俺たちのライヴを観に来てくれている奴らには、懐かしい曲だったり、思い出があったり、今日初めて来た奴や“ライヴまだ数回です”という人には、知らない曲もあるかもしれない。でも、その中で、いつもつながっていたいのは、アツいアツい想いのところじゃない? それがLUNA SEAにしか作れない世界だと思うんだよね。どう?”と問いかけた。

次に披露された「IN MY DREAM(WITH SHIVER)」では、1993年リリース当時のMVの映像がモニターに映る。かつての彼らと今、目の前の5人が重なり、時代は流れても今と過去は確かに地続きであることが伝わる。そして、先ほどRYUICHIが言った“LUNA SEAにしか作れない世界”と“バンドとオーディエンスをつなぐアツい想い”も変わらないことを見せた。

“俺たち5人、奇跡で集まって、みんなとも偶然を越える奇跡で出会っていると思うんだよ。久しぶりにこの曲を聴いてください”と紹介されたのは、「I for You」のカップリング曲「WITH」。聖堂のような背景の中で静かに始まり、次第に熱を帯びていく。そして、SUGIZOが流麗なヴァイオリンの音を奏で、ステージが温かな色のライトに包まれると、INORAN、SUGIZO、RYUICHIによる「THE BEYOND」のアコースティックバージョンが演奏された。

久々のドラムソロパートでは真矢は3人の和楽器奏者たちとともにステージの前方に座り、太鼓のパートを担当。松明が灯されたステージで、4拍子の囃子が披露される。そこからドラムソロに入り、客席からはライヴでお馴染みの“真矢”コールが起こると、真矢は“やっぱ、ライヴの主役はおまえたちのアツい想いだな!”とその声を受け止める。続いてJのベースソロが始まり、“武蔵野ー! ついにこの日がやって来たぞー! 約3年3カ月振りの声出し解禁”と高らかに宣言。“だけど、別に強制じゃねえから。分かる? 声がちっちゃい奴もいるから。今夜、生き方を今、取り戻している奴らもいる。それぞれのペースで、それぞれのスピードで、いけるかー! 燃え上ってくれ、いいなー!”...そんなJのMCには誰も置いていかないようにするという、やさしいメッセージが込められていた。

本編の最後は曲紹介の際にRYUICHIが“この曲をきっかけに、俺たち5人を知ってくれた人も、多くいたと思います。約25年前、俺たちにとっても特別な曲です”と語った「I for You」で締め括られる。モニターには映像ともに歌詞も表示されて、そこには約3年振りの声出しライヴで、ともに歌おうというバンドの想いが表れていた。

アンコールを待つ中で、客席からは翌日5月29日の結成記念日を祝い、“Happy Birthday LUNA SEA”の声が上がる中、再びステージに登場した5人。RYUICHIはアコースティックギターを持ちながら語る。
“次のナンバーは俺たちだけじゃなくて、みんなと一緒に作った曲だから。一緒に盛り上がれるように、この歌を歌える日が来たことを、トンネルの出口を一緒にともに抜けたことを、本当に嬉しく思っています”
コロナ禍でまだ先が見えなかった2020年4月、SLAVEに寄り添いたいというメンバーの思いから、発案から2週間で遠隔で作り上げた「Make a vow」。これまでのライヴでは観客側は声を出せずに聴くことに集中せざるを得なかったが、今回やっとお互いに曲を共有できたという喜びにあふれていた。

“ここでメンバー紹介をしたいと思います”と呼びかけ、まず自らを紹介するRYUICHI。次にINORANを紹介すると、彼はRYUICHIに耳打ちする。それを受けたRYUICHIは“INORANがね、“愛してる”って。INORANがね、“最高”って。INORANがね、“燃えてる”って!”と彼の想いを代弁して叫ぶ。SUGIZOは“こんな感動的な「Make a vow」は初めてでした”と語り、“まだまだ俺たちはこれからさらに先に、未来に向かって走りたいので、ぜひその旅をみなさんと一緒に歩んでいけたら嬉しいです”と、これからを約束。Jは3年間を振り返りながら、嫌なことばかりではなく、みんなとより強固な絆を作れたんじゃないかと語り、“それにさ、こんなこともなければ、俺、ビオレママにもなれなかったしな”と、メンバーのイラストが手洗いで使用するビオレのキャラクターになったことに関して茶目っ気たっぷりに話して、会場を大爆笑させた。そして、真矢は今回の声出し解禁ライヴを行なうにあたって、さまざまな意見があったことを、メンバーも運営側も把握していたことを話す。“いろいろな考え方があっても、俺たち5人がまとめて、みんなにいい景色を見てもらうから、頼むからずっとずっとずっとついてきてくれよな!”と呼びかける。

ライヴのクライマックス「WISH」では、ブルーのテープが客席に放たれる。RYUICHIはステージの端まで歩いていったかと思うと、突然、客席の通路に降りていく。あまりこういった光景を見たことのないオーディエンスは驚いた様子だったが、RYUICHIの熱唱を間近で見て、拳を振り上げて応えていた。

“明日は5月29日。みんなにとっても、俺たち5人にとっても、大切な記念日だよね。実はここで発表があります”...とのRYUICHIの言葉に静かになる会場。“5人でずっと話し合って、明日も一発、ライヴをやることにしました!”。予想もしてなかった内容に、歓声以上に“えええ!”というどよめきが起きた。そして、“場所は、目黒鹿鳴館”と告げられると、さらに“えええ!!”と動揺する声が。“俺たちはまだまだ止まらない! もっともっと進化するために原点に帰って、ライヴハウスやってみようと思っているんだ。さらに明日は、みんなにひとつ重大な発表をします”と告げた。

“それじゃあ、今夜、本当に最後のナンバー。みんなに届けられようとしています。たくさんの物語が、この曲から始まりました”と語り、宇宙と交信するような幻想的な「LOVELESS」のイントロが流れる。オーディエンスは最後の最後に投下されたサプライズに衝撃を受けながらも、全てを包み込む美しいメロディーに体を委ねた――。

翌日の5月29日、宣言通り彼らの始まりの地であるライヴハウス目黒鹿鳴館で150人のSLAVEを招待したフリーライヴ『LUNA SEA Back in 鹿鳴館』を開催。この特別なライヴの模様はLUNA SEAの公式YouTubeチャンネルにて無料生配信された。そして、2大アルバム『MOTHER』と『STYLE』のツアーが並走する全国デュアルアリーナツアー開催を発表! ここから彼らにとって、さらなる次へのステップにつながるツアーになることを心から祈っている。

撮影:田辺佳子/取材:キャベトンコ

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