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  • Ghost like girlfriend
    決して誰一人置いていきたくはない。
    決して誰一人置いていきたくはない。

    Ghost like girlfriend

    決して誰一人置いていきたくはない。

     2022年6月8日、兵庫県淡路島出身のシンガー・ソングライター・岡林健勝のソロプロジェクト“Ghost like girlfriend”がニューアルバム『ERAM』をリリースしました。今作には、先行配信曲「Flannel」のほか、2020年1月15日にデジタル・シングルとして配信された「光線」、同年10月14日に配信された「Birthday」、そのほか全11曲が収録。CDとしては、EP『2020の窓辺から』から約1年半ぶりの作品となります。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“Ghost like girlfriend”の岡林健勝による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第2弾です。メロディ、アレンジ、そして歌詞。今の岡林健勝がどんな思いでそれらを届けるのか、その胸の内を綴っていただきました。今作の楽曲と併せて、エッセイを受け取ってください。 最初に出した曲「 fallin' 」が伸びた時、どうしてこうなったのか自分も当時のチームの誰もちゃんとは分かっていなかった。   ソングライターになって7年、俺は単純に、ついに自分の詞曲が認められたのだと考えてその嬉しさのままに自分の感じた事、描きたいものを思うがままに曲にしたためていったけど、結果からいえばそれらが最初の曲以上に受け取られる事はなかった。   赤裸々に込めたメッセージが、手応えあるメロディが、というよりは単にBGMとしての使い勝手の良さが評価されたという事には作品を出すごとに徐々に気付き始めていたけど、当時は認めるのがどうしても難しくてわざと気付かないふりをして。   その事実が耐え難くて、自分の意にそぐわない聴き方をしている人を突き放すような事を言ってしまう時もあった。   真には届いていないんじゃないかという懸念で眠れない夜もそこそこあったけど、公私共に運命と思ってた人やものに振り回されてなかなか大変な目に遭い続けて、それらの渦中をどうにか切り抜けてしばらくした夜、一人でに自分の曲を聴きながら、続けられるなら、聴いてもらえるなら、もうそれだけで尊いじゃないかと天井をわあっと見上げた。   どこをどう切り取られても全力で喜べるようにすれば良い。     メロディ、アレンジ。   誰かが求めてそうだったり喜んでくれそうなものと、自分がやりたい事の間にあるものを自分なりに探して、その中で好き勝手に作った。   歌詞。   自分が抱えてる気持ちの中から、誰も彼もが抱えてそうな気持ちを自分なりに探して、その中でありのままに身の上話をした。     まぐれで出た正解を、今度は確かな方程式を以ってちゃんと出したい。 今回考えた方程式が合ってるかどうかは正直まだ分からない。     あの曲に込めたメッセージを、良いでしょと言って回りたかったメロディを、当時から汲み取ってくれた人たちに俺は心から感謝している。   BGMとして聴いてくれてた人にも同じく感謝している。どちらも違うベクトルでその人の暮らしに溶け込んでくれて、違うベクトルで自分の音楽人生の寿命を延ばしてくれた。   ずっと聴いてくれてる人、かつて聴いてくれてた人、まだ届けられてない人。   決して誰一人置いていきたくはない。   だからどうか届いて欲しいと願っている。俺はまだここにいる。 <Ghost like girlfriend・岡林健勝> ◆2ndアルバム『ERAM』 2022年6月8日発売 UPCH-20621 ¥3,300(税込)   <収録曲> 1. ERAM 2. 光線 3. laundry 4. Rainof○○○ 5. 面影 6. 音楽 7. Highway 8. Midnight crusing 9. Birthday 10. Flannel 11. マリアージュ  

    2022/06/20

  • eill
    アンハッピーバースデー。
    アンハッピーバースデー。

    eill

    アンハッピーバースデー。

     2022年5月2日から全国オンエアされている『アクエリアス』新TVCMソング(広瀬アリス・生瀬勝久が出演)に、“eill”の楽曲「palette」が起用!さらに6月17日には、6th配信シングル「HAPPY BIRTHDAY 2 ME」(読み:ハッピーバースデートゥーミー)をリリース!    今日のうたコラムでは、そんな“eill”の歌詞エッセイを2カ月連続でお届けいたします。今回は【前編】です。綴っていただいたのは、新曲「 HAPPY BIRTHDAY 2 ME 」にまつわるお話です。年に一度のスペシャルな日だとしても、必ずしもハッピーな気持ちとは限らない。でも、それでも、今夜くらいは…。自分を好きになれないあなたにも、この歌詞とエッセイが届きますように! 2021.6.17  23歳の誕生日。   午前0時を回った瞬間 私はベッドの隅で頭を抱えながら歌詞を考えていた。   もう、なにを書いても正解じゃない 100回悩んで書いては消す 夢の中でも歌詞を書いていた。   「花のように」 咲き誇りたい、と願う自分 枯れてしまおう、と諦める自分   人生ってほんと難しいよね。   答えがでないまま迎えた朝。 悔しくてたまらない。 鏡に写った自分は 泣き疲れて、瞼が腫れていた。 気分を上げるためにつけた香水を 間違えて顔に振りかける笑   「なんか誕生日のくせして、ついてなくない?」 そんな、今日はボーカルレコーディングだった。   書ききれなかった歌詞を握って駅を降りる。   ザーザー降りの大雨。 傘なんか持ってないよ…。   スタジオにつく頃にはへとへとだった。 泣く暇もなく、ブースに入る。   不甲斐無い私が いまここに咲いている 綺麗じゃなくたっていい 無理に誇れる私じゃなくたっていい。   そんな気持ちで歌いきった。   レコーディングを終えて、家に帰ると 史上最強につらかった誕生日も終。   決してハッピーとは言い切れないバースデー。 でも、今日が今日でよかったのかもね。   鏡に写った、腫れた瞼をしてる私も 愛してあげたいな。と思った。   …   24歳になる、今年の誕生日も 悩みは絶えず、なんならアンハッピー気味かもしれない。   当日はワンマンライブでみんなに会えるからハッピーです!   でも23歳の私とは少し違う。 自分を抱きしめる、というステキな術を知っている。   それは同時にいまの自分を受け止める、受け入れる?ってことなのかもね。   もう、完璧に生きることなんて諦めた。   優柔不断な自分も、ぐーたら娘な自分も、なかなか強くなりきれない自分も。怒られちゃう自分も。   全部、側で一緒に感じてあげる。 だって私しか、知らない感情なんだから。   そして、この世界を頑張って生きてるあなたをもっと労ってあげていいのです。   美味しいスイーツ食べたり 自分に誕生日プレゼントを買ったり 一日グータラしたり 予定はないけれどおしゃれしてメイクをしたり 真夜中のひとりパーティーを開催したり   これから長くお付き合いするであろう自分に、ギフトをあげてみる。    アンハッピーもハッピーも全部一緒に歩いていけるようにね!   誕生日。 きっとみんなが持ってる日。 年に一度のスペシャルデーだって 仕事で失敗するかもしれない。 テストでいい点とれないかもしれない。 争いが始まる日になるかもしれない。 革命が起きる日になるかもしれない。   どんな日になったって 世界中が敵になったって 自分のことが大嫌いになったって 今日くらいは祝ってあげよう。 抱きしめてあげよう。   「ハッピーバースデートゥーミー」と。 <eill> ◆紹介曲「 HAPPY BIRTHDAY 2 ME 」 作詞:eill 作曲:eill・Ryo'LEFTY'Miyata

    2022/06/17

  • ねんね
    過去の私だったら、こんな風に考えられていなかったと思います。
    過去の私だったら、こんな風に考えられていなかったと思います。

    ねんね

    過去の私だったら、こんな風に考えられていなかったと思います。

     2022年6月15日に“ねんね”がミニアルバム『白色矮星』をデジタルリリース!全7曲のうち6曲は、ねんねが作詞作曲。もう1曲は、ねんねが活動を始めた初期より才能を見出していたみきとPによる書き下ろし楽曲です。ミニアルバムのタイトルは“太陽のような恒星が最後に残す天体”のことであり、自分達が生きた証はきっと無くならない、そうであってほしいなという願いを込めて命名されました。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“ねんね”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第2弾です。前作とは違った方法で歌入れをした今作。レコーディングの際、感じた気持ちとは…。そして収録曲「口約束」「こはくのなか」にまつわるお話を綴っていただきました。ぜひ、歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。 皆さまこんにちは、ねんねです。歌詞エッセイ第二弾となります。   第一弾では6月15日(水)にデジタルリリースさせて頂くミニアルバム『白色矮星』から、先行配信済みの「曖昧信仰」「旅人の森」「隣り合わせ」の3曲のお話をさせて頂きました。読んで頂けましたでしょうか…!   ミニアルバム『白色矮星』が昨日デジタルリリースとなりました!嬉しいです!前作『幻影旅行』は自分の部屋で歌入れをしていましたが、今回は全曲スタジオで録音させて頂いたので新鮮でした。スタジオレコーディングはほぼ初めての経験で、しかも憧れの方々を前にして歌わねばならない状況に大混乱でした。手汗が止まりませんでした…。   いつもは自宅にてひとりで黙々と歌を歌っており、この方法は自分の世界に浸れますし、納得がいくまで自分のペースで録り直すことができるので、細部までこだわることができて満足度が高くなるのですが、スタジオとなると時間も限られており…。緊張で上手く歌えない場面もあり、悔しい気持ちになりました。   あとはあれですね、自分では表現できていたと思っていたテイクが、聴き手には伝わりにくかったり。力を抜いて歌えていたと思ったら、「もっといけそう?」と言われてしまったり。自分が良いと思う歌い方と、聴き手に伝わる歌い方とでは全く違うのだと学びがありました。家ではもっと歌えたかもしれない…と落ち込みながら帰る日もありました。   しかし、だいぶナルシストなので、自分の歌声を聴いて、「いや!歌えてるわ!早く皆さまに聴いてもらいたい!!」とすぐ立ち直りました。もちろん悔しさはあります。でも悩んでいてもしょうがないというか、悩むくらいならスタジオレコーディングでの学びを活かせるように歌い続けるしかないよな~と思ったといいますか。この悔しさは前向きな悔しさです。メソメソはしてません。だってこの日の帰りにお寿司買って食べてすごく元気出たし。   過去の私だったら、こんな風に考えられていなかったと思います。もっとしっかり落ち込んで、夜悲しくなって、気の許せる友人に泣きついていたと思います。でももう大丈夫です。なぜなら今は私の歌を楽しみにしてくださる方々が沢山いて、私も楽しく音楽ができて、歌えてハッピーだからです。これはもう、私ひとりの活動ではないです。ゆっくりでも成長していくしか道はないのだと思ったら、悔しさも受け入れられました。   さて、スタジオレコーディングの話はこの辺にして、皆さまが『白色矮星』を楽しめるよう、今回は収録曲「口約束」「こはくのなか」の2曲について書いていきます。よろしくお願い致します。   まず「口約束」から。   この曲は自己中心的な感情を描いたものです。『白色矮星』収録曲の中でも1番苦しみや悲しみが表現されていると思います。   孤独に押しつぶされそうなあなたに、もし私が手を差し伸べることができたなら。でも、その差し伸べた手は本当にあなたのためになるのか。救いたいと思うこの気持ちは、本当に相手のためになるのか。そんな曲です。   そしてこちらの曲、シナリオアートのハヤシコウスケさんが編曲をしてくださっています。本当に嬉しいです。私はマックもない、ミスドもない、タワレコもないような田舎で暮らしていて、音楽もボーカロイドやその時に流行っていた曲しか聴いていませんでした。   当時、離れて暮らしていた姉が長期休暇で帰省した際に、「これいいよ」といって聴かせてくれたバンドの中にシナリオアートの曲があったのでした。   アニソンやボカロ、J-POPしか聴いてこなかった私は、シナリオアートのアルバム『night walking』を聴いたとき、優しくてどこか寂しくて、でもキラキラしていてこんなにワクワクしている曲があるんだ…!と衝撃を受けました。それは遊園地に来たような、そんな高揚感に包まれました。それからずっと好きなバンドであり、憧れでもありました。   ハヤシさんに編曲をしてくださっただけで嬉しいというのに、シナリオアートの皆さんが演奏してくださることになり、こんなに光栄なことはないと、家に帰って嬉しくて泣きました。   後半にかけて盛り上がっていくこの曲は、自分の言動に不確かな確信を抱くような、視野が狭くなって独りよがりな考えになっていくような、そんな感情の起伏が感じられると思います。ダークな世界観を是非お楽しみ頂けたら嬉しいです。   続いて「こはくのなか」ですが、こちらは過去を振り返り、今を見つめ直すような曲となっています。   皆さまは琥珀を覗いたことがあるでしょうか。柔らかい暖色が視界を包んでくれるのですが、光に当てるとキラキラ光って綺麗です。琥珀には虫入りのものもあって、虫たちは綺麗な形のまま閉じ込められています。綺麗なだけではない、自然の残酷さを感じられる琥珀が大好きです。   悲しかった出来事も、苦しかった出来事も、嬉しかった出来事も、次第に記憶が薄れていって思い出が美化されていくことが、なんとなく琥珀に似ているなと思ったのです。   今日までの人生も、明日からの日々も、全部忘れないように。 自分が生きてきた証を、琥珀に閉じ込めて、 ふと思い出したいときに覗きこめるようにしておきたいな、と。 綺麗ごとに聞こえてしまうでしょうか。   「口約束」と「こはくのなか」は、どちらも少し寂しい曲ですが、自分の中で葛藤する気持ちと向き合うような、生きているからこそ生まれる感情を表現しました。   既に曲を聴いてくださった方も、エッセイを先に読んでくださった方も、記事と合わせてお楽しみいただけたら嬉しいです。   おっと、こちらもうすぐ深夜1時になりそうです。この時間帯は何となく気鬱になりますね。泣きつかれて寝るのもいいけれど、あたたかい飲み物を飲んでから寝るのも気持ちが落ち着くのでオススメですよ。   それでは、ミニアルバム『白色矮星』をどうぞよろしくお願いいたします。 この作品がどうか皆さまの心を癒せますように。願っています。 <ねんね>

    2022/06/16

  • 近藤晃央
    恋の著作権侵害。
    恋の著作権侵害。

    近藤晃央

    恋の著作権侵害。

     2022年6月15日に“近藤晃央”が、デビュー10周年イヤーを飾る3rdアルバム『VISCO』をリリースしました。全15曲、自身のフルアレンジによる完全セルフプロデュース作!テーマは「縫い合わせ」。己の傷を縫い合わせる独りの世界、互いの相違を縫い合わせる独りではない世界。それぞれの楽曲による世界観に落とし込み、「VISCOSITY」を語源としたタイトルは、物質がくっ付き始めた「粘着性」を表現しております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“近藤晃央”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、今作の収録曲 「 ショートケーキ 」 にまつわるお話です。悲しくも美しい、ピュアだからこそいっそう切ない、この歌が誕生したきっかけとは…。歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。 「アーティストと付き合うと曲ネタにされるよね」 飲食店で業界人らしき若い女性達がそんな会話をしていたのを背中越しに聞いたことがある。   私の人生を勝手に世間に晒さないでという文句なのか、私の事を書いてくれた曲があるよという自慢なのか、細かい事は汲み取れなかったが確かにその傾向はあるかもなと思った。恋人に限ったことではないが、近しい人に起こった出来事を題材、ヒントにして曲を書き始める事は実際によくあるから。   自分自身の人生観だけでも幾つかの物語は生まれるだろうけど、毎日目新しい事が起こるような私生活を送れるわけでもないし、曲どころか会話のネタになるようなストーリーも頻繁には生まれない。   楽器担当は比較的派手な私生活を好む傾向がある気がするが、曲書き担当に関しては日常をロマンティックに過ごしてるアーティストはごく稀だと思う。だからこそネタになりそうなものがないかとアンテナを張るし、アンテナの感度を良くしようとして疲れ、ため息を吐き、日々死んだ魚の目をしながら最低限の生命力で生きている。僕の周囲を見る限り、曲書きとはそんな生き物だと思う。   デビューする前から周りの大人に、「アーティストは芸の肥やしに遊んだ方が良い」という節を度々唱えられてきた。   僕は交流の多い場を苦手とする性格だし、知り合いだとしても4人以上は気を使うし、そういう場にはノリが凄すぎる人達が居たり、人の道から外れている遊び方をする人も多いので、できるだけそのような場には参加したくないし、できるだけ夜の港区には近づかない(偏見)。なので、僕は「遊んだ方がいい」というこの節を「古の業界人が語り継ぐ、何でもアリを正当化する悪しき伝統」と思っている。   しかし、社交場が苦手だという事実を一旦置いておけば、多くの人の価値観やストーリーに触れる機会を作ることは確かに大切なことだ。   それは必ずしもネタを拾う為ではなくて、人の話を聞いた方が自分の思考が明確になる事も多く、自分の頭の回転力を上げることにもなるので結果的に触発されて自分の中で新しいネタを生み出すことにも繋がったりする。   昨年の春頃、僕の友人の友人という、その人からすれば僕はただの他人という、もはや親戚の親戚レベルの浅い関係性の女性の恋の悩みをたまたま聞いた。というかその女性が友人に相談してる話を聞いてしまった。   簡単に説明すると、彼女が恋したのは「釣った魚に餌をやらないと言われるタイプの男性」だった。出会った頃はとても優しく、返信のテンポも良く、会うペースも早い。話も合う、一緒に居て楽しい。甘えてもくるし、弱みを共有してくれる。   しかし、彼女は異性に対して免疫がないどころか恋愛経験がほぼ無いらしく、彼の核心に迫る事ができず、関係性がはっきりせず有耶無耶な状態の中で彼との関係を重ねていった。彼に恋人が居るのかすらも曖昧だった。   最初は恋人のような時間を過ごしていたものの、次第に返信のテンポは落ち、返事が来なくなり、たまに連絡が来るとしても文章は短く「今忙しい感」を露骨に出してくる。彼は忙しいと言ってるわりに他のかわいい女性のインスタに沢山「いいね」を押していたり、暇そうなストーリーを更新していたそうだ。男とは哀れな生き物だ。   冷たくされ続ければ誰だって気持ちが自分に向いていない事はわかる。けれど、たまに出逢った頃と同じような優しい対応があるせいで、惹かれ始めた頃に溢れていた優しさが「その人の本当の姿」で、少し時間が経てばまた以前のように戻るのではないかと、彼女は心の何処か期待していたように感じた。   無垢で純粋であるために残酷な結末を呼ぶとしたら、こんなケースなのだろうか。側から見ていたら、どう見ても既に終わったと思えるストーリーを彼女はまだ必死に輝いたままの進行形のラブストーリーとして維持しようとしていた。   そのとき、ふと頭に浮かんだものが   なくさないように しまっておいて 私がいたこと忘れた?   というフレーズだ。   曲を作ろうともしていないのに、そう脳が構築してしまうのはきっと職業病なのだろう。知らない女性達のあの時の会話が脳裏に過ぎる。曲ネタに困っていた時期ではなかったし次はアップテンポを作ろうと思っていたタイミングだったが、自然に浮かんできてしまったので、結局ボツになるかもしれないしと一旦このフレーズを軸に曲を作り始めた。   彼女が結局報われなかったとしても、あまりにもピュアなエピソードだったので、出来ることならそのピュアさを美しく描きたく、内容が重たくなり過ぎないように何かに例えられないか、重ねられないかとモチーフを考え始めた。   家にある花言葉辞典を調べたり、最近見た風景や食べたものを思い出すように携帯のカメラロールを漁ったが、その時は特にイメージに合うモチーフは見つけられなかった。   数日後、家で洗濯物を畳んで積み上げていた時、白いロンTの上に丸めた赤い靴下を置いた絵面を見て、ふとショートケーキみたいだなと思った。   そこからショートケーキの苺を必ず最後に食べる人がいるなぁとぼんやりと考え始め、彼女が抱える「欠けているけど、まだ終わりではない」という祈りのような思いを「苺を1番最初に食べてしまったショートケーキ」と重ねて書き上げた。   僕は完成したこの曲を、このストーリーの主人公となった彼女にまだ聴かせた事がない。というか曲の存在も知らせていない。そもそも友人の友人なので会った事はあっても連絡先を知らないのだ。彼女は連絡先も知らない関係性のアーティストに勝手に曲の主人公にされている。   恋の著作権侵害という法律があれば敗訴は確定だろう。曲の存在を知ったら酷く嫌な気持ちになるかもしれないし、そもそも僕もまだ知らないあの恋の結末は、もしかしたらハッピーエンドだったのかもしれない。   言い訳染みているかもしれないが、彼女に対して説明したいことがひとつある。この曲が哀しくも綺麗な曲になったのは、あなたがあまりにも純粋だったからだ。今度、友人も含めてこんな曲が出来ましたと御礼をさせてください。美味しいショートケーキを奢ります。いや、やはり嫌がらせだと思われそうなので、違うものにしましょう。 < 近藤晃央> ◆紹介曲「 ショートケーキ 」 作詞:近藤晃央 作曲:近藤晃央 ◆3rdアルバム『VISCO』 2022年6月15日発売 通常盤 LNCM-1392 ¥3,300(税込) 初回生産限定盤 LNZM-1389~91 ¥7,700(税込)   <収録曲> 1.愛などくだらないか 2.聲 3.無知 4.ああもう 5.apricot 6.EPOCH 7.箇条書 8.あたしごとき 9.ショートケーキ 10.NEW YES 11.メニメ 12.night pass 13.Swinger Street 14.類似 15.えそらごと

    2022/06/15

  • saji
    雨上がりの園庭。
    雨上がりの園庭。

    saji

    雨上がりの園庭。

     2022年6月22日に“saji”が2nd Full Album『ユーリカ』をリリース!今作には、「星のオーケストラ」(TVアニメ『かげきしょうじょ!!』OPテーマ)や「ハヅキ」(TVアニメ『SHAMAN KING』第3弾EDテーマ)、「灯日」(TVアニメ『トモダチゲーム』EDテーマ)とアニメタイアップ曲を余すことなく収録。さらに、最新曲「クロスオーバー」(ABCテレビ他『部活ピーポー全力応援!ブカピ!』OPテーマ)ほか新録曲にも注目です。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“saji”のヨシダタクミによる歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第1弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「クロスオーバー」にまつわるお話です。この曲の芯となっている自身の部活の実体験とは…。今、何かを投げだしたい、何かから逃げ出したいと思っているあなたへ。この歌詞とエッセイが届きますように。 文部科学省の統計によると、 中学生の運動系の部活に所属している割合はおよそ80%で、 都道府県別で云うと 僕らの地元である北海道は69.7%と全国ワースト トップは岩手県の90.1%だそう。 北海道の所属率が低いのは やはり雪のせいなのだろうかとも考えたが、 東北の岩手がこの数字である事を見ると、 単純に県民性の差なのかもしれない。 道産子はよくのんびりしていると言われるが、 確かに僕を含めマイペースな人間が多いと思う。   小学生の頃からバスケを始めて、中学でもそのままバスケ部へ入部した。 うちの中学校はやんちゃな人間が多く、 特に僕の世代と一学年上の世代はいわゆる不良だらけで、 ゲームセンター=不良パイセン達の溜まり場で 下手に彷徨こうものならすぐに大人数に囲まれた。   中学生にとって学校は世界の総てであり、 そこで居場所を失えば、 人生そのものが否定されてしまうような そのくらい学校生活というのは大変であり、 人間関係はとても重要で、この頃に性格が歪んでしまう人は多い気がする。   かく云う僕も似たようなものであり、 一時期部活をサボって遊び回っては ろくでもない日々を送っていた。 まさしくスラムダンクの三井状態。   部活をサボった事のある人には分かるかもしれないが、 行かなくなる日がある程度続くと謝るきっかけを失ってもう行けなくなってしまうのだ。   後悔した所で、もはや遅きに失した過日の如く。     だが数ヶ月も経ったある雨の日 親父に乗せられた車の中で、こんな事を言われた。   「人生の選択肢は無限にあるが、その選択肢は自分次第でどんどん減っていく」   部活を続けるかどうかはお前の好きにすればいい。  と前置きをした上で、そんな言葉を送られた僕は   「ああ、気まずいまま終わりたくないな。」 と思い、その日に顧問の元に出向いた。   最初は相手にしてくれなかったが、 何回か足を運ぶうちに 明日部活に来いと言われた。   半年ぶりのバスケ部。全員集合をかけた顧問が、 「今日はシャトルランしかやらない。何時までやるかも言わない。終わりだと言うまでやれ。」   それだけ言って体育教師室に篭ってしまった。   僕から皆へ謝罪する機会はなく、軽い沈黙の中 突然に始められたウォームアップ。   後輩も同級生たちも思う所はあれど、誰も口を開くことはなく、ただひたすらに身体を動かしていく。   そうやって始められたシャトルランは、 一列に4、5人の間隔で配置され ただ延々と20mの旅を続ける。 決められた時間、終わりのない苦痛は肉体的にも 精神的にも僕らを追い込んでいき、 怒りにも苦しみにも似た感情の渦の中僕は心の中で詫びることしかできなかった。   ブランクのある身体では到底ついていけない程の過酷さだったが、 僕を唯一支えていたのは 「ここで泣きを入れたらもう何にもねえ」 という最後の意地だけであった。 死んでも良いからこれだけはやり遂げる。 その思いで走り続けた。   終わった時には精も魂も尽き果てて まさに満身創痍の状態であったが、 その姿を見た同級生や後輩達が受け入れてくれて、 僕はバスケ部へ戻ることを赦された。   あの時の経験がなければ、 僕は音楽すらもやめて ひょっとしたら人生すらも棄てていたかもしれない。 大きな心の財産になった出来事。     今回僕らsajiが書いた新曲の中に「クロスオーバー」という曲がある。 これは全国の部活少年、少女たちの 背中を押すような応援歌として 書き下ろした楽曲なのだけれど、 歌詞の中に出てくる言葉のいくつかは この僕の実体験を基に書いている。   苦しくて苦しくて逃げ出したい、寝転んで楽になってしまいたい瞬間は誰にだってある。   でもそんな時、最後の最後までやり抜いた先には 後人生きっと大きな心の支えになる。 自分にはできる。自分ならやれる。 だから負けるな。   気がつけば僕の人生、一番長く続けているものが音楽になっていた。 そして今もそれが僕を支えてくれている。 あとどのくらい続けていけるかは 分からないけれど、歌える限りは全力で駆け抜けていこうと思う。   この道が続くことが誰かの未来になると信じて。 <saji・ヨシダタクミ> ◆2nd Full Album『ユーリカ』 2022年6月22日発売 初回限定盤 KICS-94065 ¥4,950(tax in) 通常盤 KICS-4066 ¥3,300(tax in)   <収録曲> M1:スターフライヤー M2:フォーマルハウト M3:アスファルトと水風船 M4:星のオーケストラ M5:Apricot M6:ハヅキ M7:クロスオーバー M8:灯日 M9:After the Rain M10:ゆりかご M11:どうぶつのうた

    2022/06/14

  • Ghost like girlfriend
    人の気持ちが分かる自信が完全に底を尽きた日がいよいよ訪れた。
    人の気持ちが分かる自信が完全に底を尽きた日がいよいよ訪れた。

    Ghost like girlfriend

    人の気持ちが分かる自信が完全に底を尽きた日がいよいよ訪れた。

     2022年6月8日、兵庫県淡路島出身のシンガー・ソングライター・岡林健勝のソロプロジェクト“Ghost like girlfriend”がニューアルバム『ERAM』をリリースしました。今作には、先行配信曲「Flannel」のほか、2020年1月15日にデジタル・シングルとして配信された「光線」、同年10月14日に配信された「Birthday」、そのほか全11曲が収録。CDとしては、EP『2020の窓辺から』から約1年半ぶりの作品となります。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“Ghost like girlfriend”の岡林健勝による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第1弾です。今作『ERAM』の原動力になったものとは…。今、他者に対して心が閉じているあなた。いっそ一人で生きていけたらと思っているあなた。ぜひ、今作の歌詞と併せて、このエッセイを受け取ってください。 色んな人、色んな事情、色んな気持ちがある事をあまりに色んな場で知った。運命だと思った人にも色んな事情、色んな気持ちというのがあって、結局は自分の元を皆離れていく。   自分の理解がまだ及ばないだけ、世の中にはそういう事情、そういう気持ちがあるんだと言い聞かせて、遠くなってく背中をどうにか恨まないように気を付ける。   幾らそれが強い気持ちだったとしても、自分の中にないものだったら分かり合う事は難しいし話し合いも成立しない。   伝える側としても、受け取る側としても、それを痛感する機会が2019年から2020年までの2年にうんざりする程頻発していた。   そんな出来事へひとつひとつ出会す度に、誰かの気持ちが分かる人間になれるという自信がちょっとずつ擦り減っては二度と誰にも本音を明け渡さず、一人で生きていけたならという意地がどんどん解けなくなってく感覚が胸の奥で巻き起こって。       そのまま突入した2021年の春、ここから実際に4ヶ月間ほとんど誰にも会わず、どれだけ暗澹とした気持ちに襲われてても誰にも打ち明ける事なくただただ一人で曲を作って。   人の気持ちに触れる機会、人の存在そのものに触れる機会が自分の暮らしからちゃんと段々遠ざかっていって、そして人の気持ちが分かる自信が完全に底を尽きた日がいよいよ訪れた。   その瞬間に、あんなに解けなくなっていた意地が爆発したように解けて、それと引き換えるように無性に寂しくなってしまって。   今までにないほど誰かに会いたい、胸の奥にある気持ちを誰かと話したい気持ちでいっぱいになったのだ。   その時、ただ自分が思ってる事を伝えたい訳ではなくて、それを受けて、「自分もこういう事があって」と相手が話してくれるのをいつも待っているというか、むしろそこからが本題というか、端的に言えばコミュニケーションがしたくて曲を作っている事ひいては生きているという事に27歳にしてようやく気が付いたのだった。       それからは自分と誰かの間にありそうで尚且つすぐ伝わってくれそうな気持ち、情景からなるべく曲に起こしていった。   それもこれもコミュニケーションが生まれやすいようにする為だった。   そう願って書いた言葉なら、それに対して言われる言葉が「分かる」にしろ「分からない」にしろ、これまでとは違ってそれもちゃんとコミュニケーションとして成立してくれるような気がするというか。       28歳にして格好良いものを作りたい、とか自己ベストを更新したい、とかではなくあまりにそのままな「寂しい」という気持ちを原動力にアルバムを一枚作るとは思ってもみなかった。だけど今までで一番正直な気持ちのままに作った分、人懐っこさもあらゆる面で出ている作品になったと感じている。素直になるのも悪くないなと思った。   そしてこれを聴いて何を感じるのか、何を思い浮かべるのかというのも凄く気になる。それが聞きたくて作ったアルバムだから。良かったら聞かせて欲しい。セカンドフルアルバム「ERAM」リリースになりました、是非お聴きください。 <Ghost like girlfriend・岡林健勝> ◆2ndアルバム『ERAM』 2022年6月8日発売 UPCH-20621 ¥3,300(税込)   <収録曲> 1. ERAM 2. 光線 3. laundry 4. Rainof○○○ 5. 面影 6. 音楽 7. Highway 8. Midnight crusing 9. Birthday 10. Flannel 11. マリアージュ

    2022/06/13

  • Karin.
    あんなに愛おしかったのに、今は痛いだけ。
    あんなに愛おしかったのに、今は痛いだけ。

    Karin.

    あんなに愛おしかったのに、今は痛いだけ。

     2022年6月8日にKarin.が5th EP『星屑ドライブ - ep』をリリースしました。全4曲で構成される本作は、20代を迎えたKarin.が新たな環境の下で制作に取り組んでおり、新しいKarin.を感じることができる内容となっております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放ったKarin.による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 永遠が続くのは 」にまつわるお話です。この曲の歌詞の奥にある<私>と<君>の物語を受け取ってください。 私の知らない彼を知ったとき、永遠という言葉はゆっくり眠りについた。さっきまであんなにも鮮明だった記憶が遠くなって行く様を私はただ見届けることしかできなかった。「永遠」なんて言葉が無ければ、君が悲しむことなんてなかったのに。   私の青春時代に君は居なかった。   鮮やかで、透明で、苦しくって、すぐに錆びてしまう愛を教えてくれたとき、残念ながら私はもう純粋ではなかった。 左目から流れるはずの涙はもうとっくに誰かの為に使い果たしてしまったし、優しくされる度に自分のことが心底嫌になったりもした。 もうこのまま消えてしまっても仕方がないと思っていた。   待ち合わせ場所は、普段滅多に使わない駅の12番出口。 時間に余裕がある私はゆっくり、ゆっくり道を進んだ。 慣れないスカートと、いつもより巻いた髪の毛。 手先が不器用な私は、いつもより入念に準備をした。 それほど5年間の空白は、まだ20年しか生きていない私達にとって、長い月日だったということを物語っていた。   目的地に近づくとともに私の心はぎゅっと締め付けられ、次第に鼓動が速くなっていったのを感じた。 駅に辿り着いた私は12番出口を目指す。 しかし、思っていたよりもこの駅の中はとても広く、歩いても歩いても12番出口にたどり着ける自信はなかった。   こんなにも君を大切に思っているのに、それが伝わらない。   君に会えたら話したいことがある。 今日までの間にたくさん考えたけれど、本当に伝えたいことは一つしかなかった。 それはたしか、心に一番近い気持ちだと思う。   そんなことを考えているうちに、私は12番出口に着いていて、一瞬で君の姿を見つけることができた。   「久しぶり」 「うん、じゃあ行こっか」   5年前と変わらず、君は相変わらず冷たかった。 きっとそれが、君の本当の姿なんだと思う。   5年前、私達は周りが勝手に当てはめようとする「恋」とか「愛」に振り回されて、この関係に終止符を打つことになった。 恋が死んで行く様子は、今日が明日に変わるくらい呆気ないもので、「あの時は若かったね」と言い聞かせても、あの時はあの時なりに輝かしいものがあった。 学校終わりに二人で歩いて帰ったこと 周りから冷やかされたこと   どれも本当に楽しかった。   上手く言葉にできない君がとても可愛かったのに、今となってはイライラするし、長い間君の感覚を食べていた私は、一匹狼になった。   12番出口を後にし、5年間の空白を取り戻す為、私達は都会の中をただひたすら歩いた。   会う前は、「君がいなくても生きれることばかりだった」と伝えようとしていたけれど、そんなことは言えず、最近の音楽の話や、学校の話など他愛のない話がしばらく続いた。 話はそれなりに盛り上がり、明日の予定なんて忘れてしまうほど笑いあった。   そんな時、「終電が近いかも」と君の方から声がした。 強がっていたのか、私は、「わかった、じゃあそれまでどこかで座って話そうよ」と冷たく返事をした。   大通りを抜けて、広場にあったベンチに腰をかける。 寂しさが大きくなった後、少し沈黙が生まれた。 それを埋めるために、「大人になったね」と君は言うけど、大人なんて初めからなりたいと思ったことはなかった。 というより、私は大人になれなかった。 大切なこの空間を壊したくない私は、「そう?じゃあ、そうかも」と平気で嘘をついた。   それから場所や話題を転々と変えたけれど、君が帰ってしまうことに変わりはなかった。 どれだけ遠回りをしても君の終電はすぐにやってくる。 それが本当に嫌で寂しかった。 それほど私は永遠を見過ぎでいたんだと思う。 私達は永遠を生きることはできないのに、「永遠」という言葉を使いたがる。   永遠なんて、生きることと死ぬことのサイクルだ。 他人に決められた道をふらふらと歩いていても、我が道を選んだとしても、境界線を越えたら皆同じ定めになる。 もう一度産声をあげた時には「永遠」なんて言葉は忘れているに違いない。   夜の匂いはいつもより冷たく、鼻がツンとした。 君はどう思っているかな。 「君は大人だよね。私ばっかり子供だから、さよならのタイミングを見失いそうだよ」と私は俯きながら無責任に言葉を放った。 「でも明日朝早いんでしょ。俺は何も無いけど、、また電話しようよ」と低い声で、でもちょっぴり優しく君は答えてくれた。 帰り際に優しくするなんて、君らしいなと思った。 「この実りのない愛はどこに片せば良かった? 私は愛じゃなくて理解が欲しいの」と怒り狂ったとしても、君は「俺は哲学苦手だから、答えが出ることしか話したくない」とか言うんだろう。   優しさなんてただの一時の感情と同じなのに、私はそればっかり忘れられないでいる。 一瞬、未来が見えたのは気のせいだったのか? 夜から朝になるまでの間一緒に居たからって、未来が約束されるわけじゃないのに、私は何を見つめていたのだろう。   「じゃあ、5分後の電車で帰るわ」 「そうだね、また会おうね」 「寂しいわ~」 「寂しいだなんて嘘つかないで!」 「本当だって(笑)」   繋いでいたい右手はずっと空っぽだったのに、改札までの間は手を繋いでくれた。   「じゃあね」 「うん、じゃあね」   耳の側で言葉を残した後、君は改札の中へと入って行った。 君の背中は視界からどんどん小さくなって、やがて見えなくなった。 聞き慣れないチャイムと共に君は自分の家へと帰っていった。   こんなことを考えたって、必ず明日はくる。 「愛と理解は等しい」と帰り際に君は教えてくれたけど、私は別物だと思っている。 「今私達に必要なのは時間だ。だから、ちゃんと話をしよう?」と言ったところで、君は最終列車に揺られて家を目指している。 もう戻れないのに、あの時の君にもう一度話がしたくなった。 過去を惜しんだって、そこにいるのは美化された私達だ。 愛し合った関係を終わりにしたのだって、何か理由があったからだろう。   私に残ったこの感情も、いずれ薄らいでいくものなんだろうか。 この気持ちが消えた時、君に会う理由はもう無くなってしまうんだろうか。 いくら考えても答えなんて出るわけないだろう。 計算が苦手な私でさえも、そんなことくらい知っている。 知っているのに、すべてを捨てて行き着く果てに、救いはあるのか考えてしまう。   私達はまだ若いし時間もたくさんある。 まだ本物の愛を知らないからこそ、若気の至りのような恋をしているんだろう。 君は夜で、私は影だ。 二人で同じ景色を見ることができたあの日を、一瞬だけ未来が開けた気がしたことも、丁寧に忘れられるように、私は「永遠」を信じることにした。   今思うと私の幸せは、回り続けるアナログ盤と、爪を切る音、夜の匂い程度のもので満たされていた。 ビル・エヴァンスのアルバムを聴きながら、一枚のテイッシュペーパーの上に乾いた三日月をただ並べることに集中した。 昨日はあんなに楽しかったのに、覚えていたのは私だけ。 私は、アイツに言われた言葉をずっと心の中で引きずっていた。   「俺たち、もうこれで会うのは最後だね。」 「え、なんで?」 「だってもう会う理由がないじゃん。」 「会いたいから会うのは違うの?」 「それだったら会いにきて。俺、金無いし。」 「会ってくれるんだったら良いけど。」 「じゃあまた5年後」 「そんなの忘れちゃってるに決まってる。」 「冗談だよ、月に一度会えたら良いね。」 「そうだね」   その会話は当たり前のように存在していて、何処か狂っているようにも見えた。 ゴールの見えない道をひたすら歩いていたって、未来が見えるわけでも無い。 それでもどうにか、二人で同じ景色を見たかった。   ほぼ裸の状態で起きた私たちは、服を着た後洗濯機のスイッチを押し、洗濯がスタートした。 昨日見た天気予報通り、今日はいつもより暖かく、風が気持ち良かった。 君がコンタクトを付けている間に、私はこっそりとベランダに移動した。 窓を開けると周りには山があった。 都会から離れた空気は心地良く、私を受け入れてくれた気がした。 バックの中に閉まっていたフィルムカメラを取り出し、シャッターを切った。   「本当に来月引っ越しちゃうの?」 「うん、だって大学から遠いし」 「ふーん」   部屋の中にダンボールがたくさん置いてあるのは、きっとそのせいか。 君は昨日の夜にコンビニで買ったパンを袋から取り出し、無表情で食べていた。 私は冷蔵庫から取り出したペットボトルをグラスに注いだ。   「お腹すいた。」 「何食べよっか。」 「マックで良くね?」 「まあ良いけど」 「俺頼んでおくから、何が良い?」 「ん~、まだ決まってない。」 「オッケー、俺は決まった。」 「早いな」 「あ、じゃあ散歩しようよ」 「良いけど坂ばっかりじゃん」 「マックなんか食ってたら太るぞ。」 「そっちが誘ったくせに!(笑)」   この会話が、この空間がとても幸せだった。 まるで私たち、同棲歴2年目のカップルみたい。 この時間がずっと続けば良いのに。   二人で歩いてきた時間はもう戻れない。 でもあの時のことを思い出している時だけ、時間は前にも後ろにも進まなかった。 誰よりもわかっていたと思ってた。 針で刺せば血が出るみたいに、過去がわかれば未来も解ると勘違いをしてた。 こんなことを押し付けたって、君の気持ちが変わることなんか無くって、気づいたらもう知っている朝がきた。 聴いていたレコードはもうとっくに聴き終わっていて、ただずっとくるくると回っているだけだった。   言葉を紡いで沈黙から目を背けることは、弱さだろうか。 ぼやけている幸せの定義に反抗したって、きっと無意味だろう。 わかっていても、私は私でいることを諦めたかった。   あんなに愛おしかったのに、今は痛いだけ。   <Karin.> ◆紹介曲「 永遠が続くのは 」 作詞:Karin. 作曲:Karin.  ◆『星屑ドライブ - ep』 2022年6月8日配信 https://Karin.lnk.to/HoshikuzuDrive-ep <収録曲> 1. 星屑ドライブ 2. 嫌いになって 3. 会いに来て 4. 永遠が続くのは  

    2022/06/10

  • ねんね
    はじめまして。ねんねと申します。
    はじめまして。ねんねと申します。

    ねんね

    はじめまして。ねんねと申します。

     2022年6月15日に“ねんね”がミニアルバム『白色矮星』をデジタルリリース!全7曲のうち6曲は、ねんねが作詞作曲。もう1曲は、ねんねが活動を始めた初期より才能を見出していたみきとPによる書き下ろし楽曲です。ミニアルバムのタイトルは“太陽のような恒星が最後に残す天体”のことであり、自分達が生きた証はきっと無くならない、そうであってほしいなという願いを込めて命名されました。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“ねんね”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第1弾。まず綴っていただいたのは、自己紹介。『白色矮星』を制作するに至るまでの軌跡を明かしてくださいました。そして、今作の収録曲「 曖昧信仰 」、「 旅人の森 」、「 隣り合わせ 」のお話です。それぞれの楽曲の想いを、歌詞と併せて受け取ってください。 はじめまして。ねんねと申します。   6月15日(水)にミニアルバム『白色矮星』をデジタルリリースするにあたり、収録曲の話をさせて頂ければと思います。よろしくお願いいたします。   やっぱり待ってください。私の自己紹介をまずしないとですね! ねんねです。魚介類と白米が大好きです。早起きが得意です。   2019年、ニコニコ動画やYouTube等の動画投稿サイトにボーカロイド曲の“歌ってみた”動画を投稿し始めたり、仮歌のお仕事を頂いたりと、ゆるく音楽を楽しんでおりました。   2020年、情緒不安定になりまして、なんやかんやあって、自分の中でうっすらと思い描いていた“自分のアルバムを作りたい”という夢を実現させよう!ということで、貯金を崩してミニアルバム『幻影旅行』を自主制作致しました。   作詞作曲は私が行い、編曲はボカロPの方々にお願いしました。 といっても、私自身『幻影旅行』を制作するまでは作詞作曲すらしたことがなかったので、本当に勢い任せといいますか。誰かに届けたいという思いは殆どなく、当時の自分が感じていた辛い気持ちを、自分で受け止められたらいいなあと思いながら制作した思い出です。   そこからは自分の精神的ダメージを癒しつつ、毎日ほとんど休むことなく働きお金を稼ぐ日々でした。これはこれで忙しすぎでまあ苦しくてですね。でも面白いことに、忙しすぎてくよくよ悩んだり考え事をしている暇がなくなったので、メンタルはかなり回復しました。めそめそしている暇があるならいっぱい寝たほうがいい、という学びがありました。規則正しい生活がいちばんです。   歌を歌うことが唯一の救いだったので、合間を縫って歌を歌い、またアルバムが作れたらいいなという気持ちも次第に膨らみ、なんやかんやあって今回リリースする『白色矮星』を作り始めたという感じです。     前置きが長くなってしまいました…。 それでは、ここからは本題のミニアルバム『白色矮星』収録曲の話をしていきますね。   4月に「 曖昧信仰 」、5月に「 旅人の森 」、6月に「 隣り合わせ 」をデジタルリリースしました。こちらの3曲も収録されています。     「曖昧信仰」は、過去作『幻影旅行』に収録されている「月もねむる夜」のその後を描いた曲です。私自身視力が弱いのですが、視力が弱くて良かったと思うこともあります。   視界がぼやけているほうが、余計なものを見なくて済む気がしてホッとするのです。しかし、しっかり自分の目で見て確かめて、現実と向き合っていかなければならないこともあります。   現実を受け入れたくない。ここから逃げ出したい。 そんな気持ちと、少しだけ向き合えるように。 自分の殻に閉じこもっていた前作から一歩外に出る決心をした、希望溢れる力強い歌詞が特徴です。     「旅人の森」は、“聴く絵本”をテーマに制作しました。絵本は、小さな子どもから大人まで、幅広く愛されているものですよね。きっと皆さまにも、思い出の絵本が1冊くらいはあるのではないでしょうか。   絵本の読み聞かせをしてもらったあとにくる、ほんわかした気持ち。この気持ちを歌として表現してみたくて、旅人と森の妖精の物語を考えました。誰が聴いても分かるような簡単な言葉を選んだり、ふたりの関係性が分かるような様子を詰め込みました。   旅人が最後に言った「大丈夫だね」は、妖精に対して言ったのか、旅人の独り言なのかは分かりませんが、ふたりが離れ離れになってしまっても本当に大丈夫だという確信があったから言えたことです。それだけお互いが大切な存在だったのです。   この曲を聴いてくださる皆さまには、ふたりの思い出を穏やかな気持ちで見守って頂きたいです。     「隣り合わせ」は、イマジナリーフレンドの歌です。 孤独に押しつぶされそうな夜。色んなことを考えてしまって余計に目がさえてくるあの感じ。悲しい気持ちにもなりますし、苦しくもなります。そんな時、元気な時の自分がそばに居てくれたら1番の理解者になってくれただろうな~と思いながら作った曲です。   私にイマジナリーフレンドが居たわけではありませんが、自分の頭の中で助言してくれたり、共感してくれる存在が居たら、眠れぬ夜も耐えられる気がします。   イマジナリーフレンドというのは大人になるにつれて消えてしまうことが多いようですが、せっかくお友達として生まれてくれた存在です。忘れたくないじゃないですか。一緒に遊んで、沢山お喋りして。私たちはちゃんとお友達だったはずです。   どんな時でもそばに居てくれた彼らが居なくなってしまうのは悲しいですが、いなくなってしまったのではなくて、自分とひとつになったのだと思いたいです。そんな寂しさをテーマにしています。     私は、“自分”と“誰か”(もしくは“何か”)との対話であり、現在に至るまでの継続的な感情をベースに“今”を描きたいのだなと、こうして原稿を書いている今気づきました。   これまでに沢山の人に出会い、様々な環境で暮らし、誰かに支えてもらって今があります。きっとこれからも沢山のことを経験し、皆さまをはじめとした沢山の人と関わり、またその時の自分が何を思うかを曲にしていくのでしょう。生涯学習ですね。     今回はアルバムリリースに伴い、収録曲3曲の話をさせて頂きました。 この記事を読んで頂いて、改めてこの3曲を聴いて頂けたら、また新たな発見があるかもしれませんね。私の曲ではありますが、皆さまにとってもお気に入りの1曲になってもらいたいです。そして、シンガーソングライターとしてまだまだ未熟な私ですが、歌声や歌詞が皆さまの心に届くよう、これからも精進いたします。   なんだかとても真面目な文章になってしまいました。いつもはもう少しいい加減にやっているのですが…。真面目になっちゃったなあ…。初めてのエッセイのお仕事で真面目になっちゃったなあ…。どうやって締めようか考え、ちょっとふざけようかと思いましたが辞めます。真面目なので。   それでは、6月15日(水)デジタルリリースいたします、ミニアルバム『白色矮星』をお楽しみに!リリースまであと6日!私も楽しみ!! <ねんね> ◆紹介曲 「 曖昧信仰 」 作詞:ねんね 作曲:ねんね 「 旅人の森 」 作詞:ねんね 作曲:ねんね 「 隣り合わせ 」 作詞:ねんね 作曲:ねんね

    2022/06/09

  • reGretGirl
    ひとりでいる時間は常に歌詞を書いていると言っても過言ではない。
    ひとりでいる時間は常に歌詞を書いていると言っても過言ではない。

    reGretGirl

    ひとりでいる時間は常に歌詞を書いていると言っても過言ではない。

     大阪発のセンチメンタル・ロックバンド“reGretGirl”が、3か月連続で新曲をデジタルリリース!4月6日に第1弾「best answer」、5月18日に第2弾「ダレヨリ」、そして6月8日に第3弾「ハングオーバー」をリリースしました。リリースに伴い、6月から7月にかけて全国ツアー「LOVE×CALL TOUR2022」も開催決定!ツアーは6月16日(木)の東京・Zepp Diver Cityから7月7日(木)大阪・BIG CATまで、計6箇所で行われます。    さて、今日のうたコラムでは、そんな“reGretGirl”の平部雅洋 (Vo./Gt.)による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、自身の作詞・歌詞にまつわるお話です。作詞をする上で大切にしていることや、最近抱いたとある危機感…。ぜひ、新曲の歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。 この度、我々reGretGirlは4月から6月にかけて「best answer」「ダレヨリ」「ハングオーバー」の3曲をリリースいたしました。皆さま聴いていただけたでしょうか。どの曲も“悲恋”の歌であるのですが。中身はそれぞれ異なるものになっています。皆さんに寄り添う“お気に入り”がこの中に有れば幸いです。     朝起きてコーヒーを飲んでいる時、電車に揺られている時、洗濯物を畳んでいる時、トイレに座っている時、素敵な映画を観た時、大好きな音楽を聴いている時、バンドのライブを観ている時も、ふと思い付いた言葉、文章、「これ歌詞にしよう」と思うもの全てスマートフォンのメモに書き込む。ひとりでいる時間は常に歌詞を書いていると言っても過言ではないのかもしれない。   そんな風に僕の生活に絡みつき、伸び伸びと蔦を伸ばすアサガオの様にぐんぐん成長し、歌詞は曲になり綺麗な花を咲かせる。そしてみんなの元へ届くのである。僕の歌を待ってくれている人がいる人生は、とても贅沢で、ありがたく、少し苦しい時もあり、何より喜びに満ち溢れている。       僕の書く歌詞は「君」か「アナタ」に向けた歌が殆どなのだけれど、歌詞や物語などこの仕組みになっているものは数多く存在する。そして言ってしまえば曲を聴いたり物語を読んだりする人たちは、内容と関係のない第三者であるのに、自分と関係のないこの世界に激しく感情を揺さぶられる。   勿論僕もこの感覚を度々経験し、過去を思い出したり、未来に憧れたり、時には涙を流したり、勇気をもらえたり、さまざまな思いを馳せた。そして自分が作詞をする上でもずっと大切にしているポイントである。   「僕は君が好きだけれど、君は僕が好きじゃない」かなり簡単に言ってしまうと僕の書く歌詞はどれも、この内容しか歌っていないなと可笑しくなった事がある。それと同時にこれだけで何曲も書き、様々なバリエーションを展開してる自分が誇らしく思えた。   「未練がましい」だなんだと散々言われるが、ここまでくればむしろ「堂々と清々しい」のではないだろうか(笑)。この“僕が君へ想いを馳せる”だけの小さな世界に、「まるで自分のことを歌われているみたい」と過去に僕が感銘を受けた歌詞に感じた事を言ってもらえるのはとても光栄である。     そういえば、作詞を何年も続けていて「この手の歌詞しか書かない」と思ったことは無いのだけれど、「この手の歌詞しか書けない」ことに最近気が付き、少し危機感を抱いた。 作詞はもっと自由でいいはずなのに、「もう少しわかりやすい表現をしないと自分らしく無い」とか書く歌詞にNOを言う事が増え、知らないうちに自分で制限やルールを設けていた。だからもう少し肩の力を抜いて「何を書いても僕の歌詞だ」と気を許そうと思う。拘りを持ちつつも「ルールを設けないというルール」で自由に。     これからも僕は歌詞を書き続けたい。 <reGretGirl・平部雅洋>

    2022/06/08

  • Sean Oshima
    僕は、今まで避けてきたものをやってみようと思い立ちました。
    僕は、今まで避けてきたものをやってみようと思い立ちました。

    Sean Oshima

    僕は、今まで避けてきたものをやってみようと思い立ちました。

     2022年5月20日に“Sean Oshima”が新曲「ごっくん -Drink it Down !-」を配信リリースしました。エレクトロ・ポップにストリングスやホーンの生楽器を落とし込んだ1曲。色々な事に折り合いをつけ、騙し騙しやっていくオトナの世界。でも、諦めず、妥協もせず、不条理を飲み込んで自身のあり方を見つけるために前に進もう。そんな想いが込められた楽曲となっております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな“Sean Oshima”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、新曲「 ごっくん -Drink it Down- 」にまつわるお話です。今まで避けてきたものを、思い切りやってみた結果、気づいたことは…。ぜひ、新曲の歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください! 2021年の7月、バイトを辞めて時間が有り余って仕方がなかった僕は、今まで避けてきたものをやってみようと思い立ちました。   真っ先に思いついたのが「お酒を飲みに行くこと」。   今まで全く経験がなかった訳ではないけど、そういう類のものをちょっと冷ややかな目で見ていた自分がいました。   「時間の無駄」「疲れた大人たちの傷の舐め合い」今となってはだいぶ過激な考え方だけど、当時はそういうマイナスなイメージを持っていました。   せっかくだから思い切りやろう(?)と、1ヶ月間毎晩、1日も休まずに朝まで居酒屋とバーに通いました(笑)。   すると今まで目を向けてこなかった「大人たちの世界」が見えてきました。   みんなそれぞれ日常の「やってらんねぇ」を抱えていて、それを発散するのが「お酒を飲む場」。   予想通りだったけど、色んな人の「やってらんねぇ」を聞くうちに、今まで自分が如何にお堅い考えだったのか思い知らされました。   「甘えてないで有意義なことに時間を使えよ…」なんて思っていたけど、世の中はこんなに理不尽で辛いんだから、大人たちにはこういう場があっても良いんじゃないかなと思い始めました。   酒乱の1ヶ月が明けて、僕の生き方の価値観は少しだけアップデートされました。   根本的な解決にはなっていないけど、少しだけバカをして、非日常に逃げて、誰かと傷を舐め合って、明日からまた頑張る。   新曲「ごっくん -Drink it Down!-」の大きなテーマは、ずばり『オトナになるということ』。   誰も守ってくれない、自分で切り拓かなきゃいけないオトナの世界、時々逃げながら、騙し騙し現実を受け入れて、変えていけるオトナになりたい!   かんぱーい <Sean Oshima> ◆紹介曲「 ごっくん -Drink it Down- 」 作詞:Sean Oshima 作曲:Sean Oshima 配信URL: https://Sean-Oshima.lnk.to/ Gokkun

    2022/06/07

  • 植田真梨恵
    橙色に染まる部屋はなんだかこわい。
    橙色に染まる部屋はなんだかこわい。

    植田真梨恵

    橙色に染まる部屋はなんだかこわい。

     2022年5月から“植田真梨恵”が、3カ月連続でシングルを配信リリース!5月28日にグランジテイストのギターロック「“シグナルはノー”」、6月29日にメジャー1stシングル「彼に守ってほしい10のこと」のカップリングに収録されていた「ダラダラ」のフルアレンジバージョン、7月24日にこれまで何度もライブで披露している「BABY BABY BABY」を配信リリース。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“植田真梨恵”による歌詞エッセイをお届け!今回は第1弾です。綴っていただいたのは、新曲「 “シグナルはノー” 」にまつわるお話。11年前に生まれたこの曲を今、どんな思いで世界に放つのか…。歌詞と併せて、このエッセイを受け取ってください。 日に焼けたアルバムと蔦の絡まる苺の実 気がつけばもうどこにも行けなくなっていた二人   橙色に染まる部屋はなんだかこわい。夕方、夜の手前にベランダから注ぎ込み西陽で部屋の中がまオレンジになる。この歌詞について書けることがそれくらいしかない。がんばってもう少し書いてみる。   MDプレーヤーだったんだろうか。DVDプレーヤーだったかもしれない。「NO SIGNAL」と映し出された文字に切なさを感じていた。   歌ネットのページを見ているあなたが、ポエミーな世界をばかにしない人だと信じて書くよ。こんなことツイッターには書けない。恥ずかしいもん。そんなものに切なさを感じるなんて。何を機械に感情移入して。どんなけ切なさに飢えているの。今となってはこんなこと書くの恥ずかしいけど、私は切ながりさんなのだ。なんだそれは。   "NO SIGNAL"信号がありません   宇宙へたった2人で旅立った恋人が、空中を彷徨ううちにお互いを繋いでいる信号が、少しずつ少しずつ離れて途切れていく。いよいよ何も聞こえなくなって宇宙服の中の目の前の画面に"NO SIGNAL"と表示される。そんな物語を空想した。   今の私の部屋には、寝室があってキッチンがある。当時、私が住んでいた部屋はワンルームで、東向きの窓からオレンジの西陽が容赦なく照りつける中この曲を書いた。   この曲を書いたのは11年も前のこと。それからいろんなものが変わって、音楽シーンもかなり変わった。何を書いたらいいのかわからなくなっていた私に、久しぶりに何曲かの曲が生まれた。それが「ダラダラ」「最果てへ」「“シグナルはノー”」「BABY BABY BABY」という曲たち。   これを読んでいるあなたの生活にどうしたら、この曲が関わり合いを持てるのかわからない。なぜなら、空想の物語であって感情ではない。けっこう関係のない話かもと思う。   あなたを好きで、会いたくて、そんな歌詞を書けていない。仕事がつらくて、そんな共感も多分ないと思う。ほんとうに大事なものはこれだよ、って何か教えてくれるわけでもない。この曲たちに、どうしたらあなたの生きている日常の架け橋をかけてあげられるのかわからない。それなのに必要とされるだろうか。そこにまったく自信がない。   つい先日、音楽をむしょーに聴きたくなった。2ヶ月前に私は財布を落として、中にデビッドカードが入っていたので、やむなく止めた。財布は見つかってない。そういうわけでサブスクで音楽を聴ける方法がなくて、2ヶ月のあいだ気軽に音楽を聴くことができなかった。2022年の今私は、たいていそうやって音楽を聴いていたのだ。   夜中に部屋で無性に音楽を聴きたくなったので、片っ端から聴きたいものをかけているうち、なんかものすごく気持ち良くなってきた。ふだんは飲まないお酒を、ウイスキーをキッチンから出してきて濃いーオレンジのまんまコクコク飲んだ。お香も炊いた。電気も消して、立ったままで聴いてたら踊っていた。なんだこれ。へんなやつ。気持ち悪い。こんなとこ人には見せられん。   気持ちいい音楽を聴いて、こんなふうになるんだなあと思った。人って。猫が不思議そうに見ていた。それでなんか、その日はものすごくいい日になってしまった。私は疲れて眠った。音楽が気持ちよかった後は無音も気持ちよかった。   そんなふうな音楽の力を、生まれてこのかた知らなかったのかもしれないなとすら思う。この"シグナルはノー"を、必要としてくれる人がいるだろうか。全然自信がないけれど、そんな曲たちをしばらく私は出していきます。   私にとってはものすごく、ものすごく大好きな曲。誰のことも救ったりはできないかもしれない。これをライブで実際に鳴らせる日が、ほんとうにたのしみだなあ。 <植田真梨恵> ◆紹介曲「 “シグナルはノー” 」 作詞:植田真梨恵 作曲:植田真梨恵

    2022/06/06

  • マルシィ
    当たり前に通ってた場所が無性に恋しくなる時がある。
    当たり前に通ってた場所が無性に恋しくなる時がある。

    マルシィ

    当たり前に通ってた場所が無性に恋しくなる時がある。

     2022年6月1日に“マルシィ”が、1st ALBUM『Memory』をリリースしました。恋の始まりから愛が終わるまでの記憶を一つの作品としてコンパイルしたラブソングアルバム。「白雪」、「プラネタリウム」をはじめ、配信を重ねるごとにストリーミングチャートを賑わせてきたマルシィの初となるCD作品です。CDのみのボーナストラックとして、ストリーミングヒットとなっている代表曲「絵空」の収録が決定。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“マルシィ”の吉田右京(Vo & Gt)による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、今作『Memory』にも通ずる、大切にしたいもののお話です。福岡から上京し、故郷から離れて気づいたものとは…。ぜひ、アルバムと併せてこのエッセイを受け取ってください。 お久しぶりです。 マルシィのボーカル吉田右京です。 最近、上京したんですが全然慣れません。   福岡に住んでいた頃、当たり前に通ってた場所が無性に恋しくなる時がある。家から10分の距離にある温泉、行きつけの美味しいパン屋さん、ラーメン屋、地元の友達と過ごす何気ない時間などなど。   何度も繰り返していくうちに日常の一部になっていくものや時間。その貴重さに気づくことは本当に難しいと、遠くなってからつくづく思い知る。これで何回目だろう。。笑   これから出会う人やそばに居てくれる人との時間、東京で音楽をやっていることも、もちろん楽曲を聴いてくれる人のことも、改めて奇跡であり貴重なことだとしっかり自覚して大切にしたいと思う。   自分が持ってないものや、失くしてしまったもの、誰かが持っていて自分は持ってないものに、目を向けてしまうことも多々あるけど、今あるものに浸っていけたら、それが今を大切にすることにも繋がるのかなとも思う。だから出来るだけそうしていきたいなぁと。   さて、、、前置きが長くなりましたが、6月1日に1st ALUBAM『Memory』をリリースしました。全11曲が収録された宝物です。この作品を作ることが出来て心から良かったと思っていて、惜しみなく愛情と想いを詰め込みました。   この一枚の作品が、もしくは収録されている曲のどれかが聴いてくれた人の想い出に重なったり、忘れていたことを思い出したり、誰かに優しくなれたり、当たり前に思えることの貴重さに気付くことが出来たり、そんな何かのきっかけになれれば嬉しいです。 きっと、そうなれるだけの力を持った作品が出来たと思います。是非、手に取って聴いてみて欲しいです。 <マルシィ・吉田右京> ◆1st ALBUM『Memory』 2022年6月1日発売   <収録曲> 1. ラブストーリー 2. プラネタリウム 3. ワスレナグサ 4. 君のこと 5. ピリオド 6. 花びら 7. 未来図 8. 最低最悪  9. 牙 10. 白雪 11. 絵空 ※CDのみ収録のボーナストラックになります。  

    2022/06/03

  • 柴田聡子
    このところ頭から離れなかった言葉がある。
    このところ頭から離れなかった言葉がある。

    柴田聡子

    このところ頭から離れなかった言葉がある。

     2022年5月25日に“柴田聡子”が、ニューアルバム『ぼちぼち銀河』をリリースしました。今年は、デビューアルバム『しばたさとこ島』リリースから10年のアニバーサリー・イヤー。演奏には“柴田聡子inFIRE”として共に活動するイトケン、かわいしのぶ、岡田拓郎を中心に、Kan Sano、谷口雄、須原杏、鈴木広志が参加。レコーディングとミックスは宮﨑洋一、マスタリングは風間萌が担当しております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“柴田聡子”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、このアルバムにも通ずる、最近ずっと頭から離れなかったとある言葉についてのお話。長年の悩みの先で出会った、その言葉とは…。 あと3日でニューアルバム『ぼちぼち銀河』がリリースされるというタイミングでこの文章を書いている。いきなりですが、このところ頭から離れなかった言葉がある。それは「不定愁訴」。   中学三年生、急に息苦しさに襲われ病院を受診したが特に原因が見当たらず、とりあえず気管を広げる薬をもらい苦しい苦しいと訴えながら過ごし、いつの間にか消えていったあの時から今まで、こういった自分だけにしか分からない症状があるけど体に異常は無いということがなんでだかとても多かった。   息苦しい、立っていると足が痺れてくる、突然微熱が出る、など症状はいろいろある。調べても調べても悪いところがないという経験から、きっとストレスや疲れが原因なんだろうな、しかし行き過ぎたストレスや疲れを感じるほど特段辛いことはしていない、むしろそれでいてストレスが原因なんて言われるとなんか情けねえ、と更に悩みを増やす毎日。   とはいえ適度なストレスが無いと人間やっていけない気もする。そうも聞く。そもそもストレスってなんじゃい、と身も蓋もない疑問に苛まれつつ、仕方がないからとりあえずストレスに全部背負わせて痛い苦しいなどをやり過ごしている中でさらなる追い討ちだったのが、めちゃくちゃ楽しい毎日なのに首と肩がめちゃくちゃ痛い、などの幸福の中の痛みや息苦しさだった。大好きな友人との食事や楽しい作業の後だっていうのになんなんだよ!   一体いつまでこうなのか。ストレスも猫背も巻き肩もパソコンも聞き飽きたよ。長いことこうしてきたから、回復するのに長い時間かかることも十分承知。だけど、その長い時間呪いのように唱えられる、目に入る言葉としてストレス・猫背・巻き肩・パソコンあたりは何故か自分には耐え難い。   そんなこんなで最近は、新たに首から背中へかけての意味不明かつ新種類のビキッとこわばるような痛みが頻発するようになり、こりゃもうどうにかしないといかん、とまずはインターネットでどこの病院に行こうかなと調べていたところ「不定愁訴」という言葉に出会った。   不定愁訴…。そこから、首を反らして痛む度に「不定愁訴…」、朝一番に「不定愁訴…」、冷蔵庫を開けたら「不定愁訴…」、電車を降りて「不定愁訴…」、という具合にあらゆる行動のふとした瞬間に「不定愁訴…」と心の中で呟くようになった。   とにかく「不定愁訴」という言葉が気になって仕方が無い。トトートート、というリズムのためなのか。ストレス・猫背・巻き肩・パソコンあたりの言葉に周りを取り囲まれ黒魔術の儀式を執り行われていた時とは違いすんなりと受け入れられる。受け入れてもらっている感覚もある。   そうしていたら、首と背中の痛みが段々と無くなってきた。ぴったりの名前を見つけて安心したのか。名付けようとしてくれる人の頑張りにはいつも救われる。すごく大変な道のりだと思う。言葉だけでこうも違うのかと驚き、自分の簡単さに呆れもする。もしかしたら、知人に勧められて飲み始めた養命酒のせいかもしれない。   今回のアルバムにも、こういった日々の出来事から出発したと思われる詞が歌われている曲が多く収録されています。日々と言っても日常とは違うものになっていると思います。メロディーやリズムも気持ち良く探りました。ニューアルバム、是非聴いて下さい! <柴田聡子> ◆6th album『ぼちぼち銀河』 2022年5月25日発売 DDCB-12118 ¥3000+税 https://ssm.lnk.to/BochiBochiGalaxy   <収録曲> 01. ようこそ 02. 雑感 03. MSG 04. 旅行 05. サイレント・ホーリー・マッドネス・オールナイト 06. 南国調絨毯 07. ジャケット 08. 夕日 09. ぼちぼち銀河 10. 24秒 11. n,d,n,n,n

    2022/06/02

  • Luby Sparks
    地味なタイプの音楽家。
    地味なタイプの音楽家。

    Luby Sparks

    地味なタイプの音楽家。

     2022年5月11日に“Luby Sparks”が4年ぶりのニューアルバム『Search + Destroy』をリリースしました。今作はUKのAndy Savoursを共同プロデューサーに迎え、2021年の1年をかけてじっくり制作。曲作りもメンバー全員で行いました。先行シングル「One Last Girl」「Honey」などを含む全10曲が収録されております。また、6月4日(土)にはバンド初のワンマン・ライブ『Search + Destroy Live』を東京・渋谷WWW Xにて開催!    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Luby Sparks”のベーシスト/ボーカル・Natsuki Katoによる歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、自身の作曲・作詞プロセスについてのお話です。どのように楽曲の欠片が生まれ、そして育っていくのか、その過程を明かしてくださいました。ぜひ、今作の歌詞と併せてお楽しみください。 歌詞を書くことは苦しい。僕はアコギ片手に弾き語り、公園で鳥のさえずりを聴いてメロディーを思い浮かべ、タバコ吸いながら一枚の紙にペンを走らせ思いのままに歌詞を綴る、そんなボブ・ディラン(あくまでイメージ)みたいな天才タイプの音楽家ではない。僕の作曲・作詞プロセスは至って地味だ。   こんな曲が書きたいと思う曲たちをひたすら聴き込み、一人部屋に籠もってPCの前でLogicのプロジェクトにトラックをいくつも録音、数日かけて完成させた勢いのまま深夜のテンションでメンバーへデモをシェアするも、反応の薄さにしょぼくれながら翌朝冷静に聴き直して大口を後悔しながら手直し。   バックトラックがほぼ完璧に仕上がったところで次にメロディー作り。オケを何度も流しながら、文章になってない“何か英語風の言語”でメロディーを何パターンか上乗せし、「これだ!」となるものが出た時にやっと歌詞の創作へ移ることが出来る。   そう、PC上にWordを立ち上げ歌詞を書く頃にはもうその楽曲はほぼ完成していて息をしているのだ。でもそれ自身が持つストーリーを語るための言葉がない。だから詞を与える。僕にとって作詞とは最後の仕上げ作業。水槽も魚も揃っている、あとは水を入れるだけといったところであろうか。   しかしあと一歩で一つの作品が出来上がるのにその一歩がとてつもなく大きい。そんな歯痒さが自分を苦しめる。さらに、英語話者ではないが、「源流を辿れば英語圏で生まれたロックという音楽には英語の語感が一番合う」という信念のもと英語で歌詞を書くことを決めているために、英和辞典を立ち上げ入れ込みたい単語とそれに母音が近い単語を探し、韻を踏むことと意味を紐付けして物語を紡いでいく、とてつもなく地味な作詞スタイルなのだ。   そんな苦しみも詞が完成した暁にはたちまち消え去る。無口だった楽曲が歌詞を得てストーリーを語り出すあの瞬間の喜びは何にも変えがたい。創作過程はドラマチックでも華やかでもないし、ノーベル文学賞も取れない。けれどきっと僕は地道な作業を経た先で達成感を得る、そういうタイプの音楽家なのだろう。水を得た魚は美しい。その姿を見るために何度でも苦しみながら曲を書き詞を書くのだ。   今日もまたWordの目の前で英和辞典サイト片手に、果てしない白を広げる名も無き文書1と向き合う。 <Luby Sparks・Natsuki Kato> ◆2ndアルバム『Search + Destroy』 2022年5月11日発売   <収録曲> 01. Start Again 02. Depression 03. Honey 04. Callin’ You 05. Crushing 06. Lovebites 07. Don’t Own Me 08. Closer 09. One Last Girl 10. Search + Destroy

    2022/06/01

  • Miyuu
    意味のないことなんて、何一つないから。
    意味のないことなんて、何一つないから。

    Miyuu

    意味のないことなんて、何一つないから。

     2022年5月11日に“Miyuu”が、初の音源付書籍『30DAYS VAN LIFE~Trip on Music~』をリリース!自然と旅を愛するシンガーソングライター・Miyuuは昨年、クラウドファンディングサービスにて、音楽×旅エッセイ出版プロジェクトを実施し、目標金額128%達成。そこで集めた資金を基に、自身が運転し30日間、北関東から九州を巡る旅をしました。書籍では、旅先で出会った人へのインタビューやVAN LIFE食のレシピ、フィールドレコーディングで制作した新曲「slowly mellow」音源の裏側まで大公開。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“Miyuu”による歌詞エッセイをお届け。自身初の音源付書籍『30DAYS VAN LIFE~Trip on Music~』をリリースするに至るまでの不安や葛藤、気づき、意志を明かしてくださいました。ぜひ、作品と併せて想いを受け取ってください。 5月11日に、「音源書籍」を私自身初の全国出版いたしました。 タイトルは『30DAYS VAN LIFE -Trip on Music-』 30日間の車中泊旅を記した本。   この30DAYS VAN LIFEは、エッセイ本でもあり、旅ガイド本でもあり、フォトブックでもあり、歌詞カードでもあり…。本に載せているQRコードから、旅中に訪れた場所でレコーディングした楽曲3曲が聞くことができたりもします。どのジャンルの棚に置かれるかは、各本屋さんによって違うみたい。   私は、まさにそんな本を作りたかった。   シンガーソングライターとして、avexにマネジメントしていただいて、5年目。YouTuberになるオーディションがきっかけだった。   当時は、観光学を専攻していた大学生で、海外・国内問わず、旅行に行くのが好きだった。都会に住んでいたからこそ、自然の多い場所に癒しを求めていたんだと思う。旅先でVANLIFEという世界中のバンライファーのバイブルである本に出会い、車に住む夢を持った。   ラジオや、雑誌のインタビューでは、ことあるごとに、「車に住むのが夢です!」と話していた。そのくせ、この歳になるまで運転免許すら持っていなかった。   そんな私に変化をもたらしたのは、まさしくコロナ禍だった。   誰もが経験したことのない状況の中、予定していたワンマンライブが中止、レコーディングも延期。TVでは毎日悲しいニュースが報道されて、街のお店は、どこも開いていない。逃げ場がなかった。きっとみんなそうだったと思う。   日に日に心はどんよりしていく。ギターを弾くことに意味なんて考えていなかったのに、ギター弾くことも歌うこともなんの意味があるの? 音楽活動はもうできなくなるかも、と思ってしまっていた。   そんな日々の中、TVでは有名人の訃報がトップニュースとして取り沙汰されていた。すごく苦しくなった。毎日何が起こるか分からない。誰がいなくなるのかわからない。ただ祈ることしかできない。そんな自分の無力さを感じ、毎日が過ぎていく。そんな自分に区切りをつけようと思って書いた曲が 「 step it(pray) 」 。   この曲を作って、なんだか心が軽くなった。   それと同時に、時間って、“人生”って、有限なんだ、ということを突きつけられた。 やりたいこと、いつまでも夢のままにしてたら、いつするの? ありがとうと言いたい人に、今、言わなきゃ、いつ言うの? 愛してると伝えたい人に伝えなきゃ、いつ伝えるの?   失敗したって、やることに意味がある。 したいことをできない理由より、したいことをできる理由を探したい。   コロナ禍だからこそ、できることを、したいことを、今しなくていつするの?! すぐさま、免許を取りに行って、キャンピングカーを買うのが無理なら、どうにか手配できないかと、プレゼン資料を持って色々な場所へ交渉しに行った。   時間がないとか、お金がないとか、私はこうだから、シンガーソングライターだから。とか、自分に縛りを課しているのは、周りじゃない。自分自身なんだ、と気づいた。最初は、車中泊すんの?!と驚いていた会社の人も周りの人たちも気づけば、どうやったらできるか、一緒に考えてくれた。本当に心強かった。感謝しても仕切れない。   そして、車中泊旅を実現させてもらい、今まで年に一度CDアルバムという形でリリースさせてもらっていた作品も、CDという形ではなく「書籍出版」という初めてのトライをさせてもらった。   本の中に、30日間の車中泊にトライすることによって、生まれたすべての記録。音も、見た景色も、感情も、ありったけの自分を詰め込んだ。   旅中、困難もたくさんあったけど、それを含めて、新しいチャレンジをすることは、最高なことだった。私にとって、この旅が人生を変えるきっかけになったことは間違いありません。   本の最後に歌っている、 「 staying natural 」 は、旅の最後の日に、教会でレコーディングした曲。   「意味のないことなんて何一つないから。」   もし本屋さんで手にとってもらえた時には、この私の体験が、その人の日常に少しでも、きっかけをもたらせますように。 < Miyuu> ◆紹介曲「 step it(pray) 」 作詞:Miyuu 作曲:Miyuu ◆紹介曲「 staying natural 」 作詞:Miyuu 作曲:Miyuu

    2022/05/31

  • 足立佳奈
    幸せになるゲーム。
    幸せになるゲーム。

    足立佳奈

    幸せになるゲーム。

     2021年11月に約1年9か月ぶりとなるオリジナルアルバム『あなたがいて』をリリースした“足立佳奈”が、2022年8月でデビュー5周年を迎えます!そのアニバーサリーを迎えるにあたり、毎月の連続配信リリースを行うことを発表。第一弾として4月8日に「オーマイガール」を、第二弾として、5月20日(金)に「Me」を配信リリースしました。    さて、今日のうたコラムでは、そんなアニバーサリーイヤーを記念して、5月~12月に毎月“足立佳奈”による歌詞エッセイをお届けいたします!今回は第1弾。綴っていただいたのは、新曲「 Me 」にまつわるお話です。ある日、突然、自身の身体に起こった悲劇。その“動けない”日々のなか、考えたこと、気づいたこととは…。 あ、動けなくなった。   なんか笑っちゃう。 でも笑うと痛い。 なにこれ、最悪。 金縛りとかじゃない、 魔女の一撃ってやつ。 まさか自分に起こるとは、、、   すぐ治ると思ってたけど これがまぁ、治らない。 少し顔の角度を変えるだけで「けぇ!」って叫びたくなる感じ。 当然起きあがれないから、 何するにも誰かのサポートが必要で。 自分で食べることもできない。 なのにお腹は空く、、、 人間ってやつは。 不甲斐ない。   そうは言ってもなってしまったのだから、仕方ない! 落ち込んでも治るわけでもないし! ポジティブにいこ!   映画は見放題! 一日中寝放題! 誰かに頼り放題!   ははっ。   なんかワクワクしてきた。 考えを変えるだけで、 楽しくなってきたかも。   片っ端から、アニメをみて、韓ドラをみよう。 誰にも怒られないし、いっぱい寝よう。 食べたいものは友達に買ってきてもらおう。 それから味噌汁作ってもらおう。 あ、ついでに洗濯してもらおう。 幸せだぁ。     それから一週間が過ぎた。   いまだに私は動けないでいる。   アニメも韓ドラも見飽きた。 寝るのも飽きた。 友達に頼むの申し訳なくなってきた。   情報が簡単に得られる世の中、 携帯ひらく度に焦る気持ちがつのる。 ポジティブではいられなくなった。   何してんだろうなぁ。 みんなはこの瞬間も前に進んでいるのに。 私はずっと白い天井をみてるだけ。 天井ってこんな模様だったんだぁ。 なんて。   そんな時、ある人の言葉が頭に浮かんだ。 「人生は幸せになるゲーム」   私の幸せってなんだろう。 よく分かんないけど笑ってたいな。 かっこよく生きたいな。 また天井の模様を見つめる。     このままでいいのかなって思う自分とか、 変わりたい、もっとこうなりたいって思う自分って、、、   え、これってもう前に進んでるじゃん?? 幸せじゃん!?かっこいいじゃん!! てね。   無理矢理かもしれないけど、 そう思えば、今は何でも出来る気がする。   根っからのポジティブじゃないから、 また落ち込むこともあると思うけど、 ポジティブ続けよー。   幸せになるゲームか。 生涯旅行だ。   <足立佳奈> ◆紹介曲「 Me 」 作詞:足立佳奈 作曲:足立佳奈

    2022/05/30

  • ウソツキ
    もし、この世に運命の人なる者がいるなら。
    もし、この世に運命の人なる者がいるなら。

    ウソツキ

    もし、この世に運命の人なる者がいるなら。

     2022年4月20日に“ウソツキ”がデジタルシングル「x分の1」をリリースしました。他愛のない日々の中で、他愛のない出来事をあと何回できるか…。いつか終わりが来てしまうから、今この一瞬を大事にしたいという切なさや儚さを感じる楽曲となっております。また、5月23日(月)=“恋文の日”にはワンマンライブも開催!    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“ウソツキ”の竹田昌和による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回。綴っていただいたのは、ウソツキの楽曲「 春風と風鈴 」にまつわるお話です。もし、この世に運命の人なる者がいるなら、それはどうしたらわかるもの、何で決まるものなのでしょうか…。ぜひ、歌詞と併せてお楽しみください。 もし、この世に運命の人なる者がいるなら それを決めるのは 「何を見ているか」 なのかもしれない っと、ふと思った   渋谷スクランブル交差点を 歩く 何百人もの他人とすれ違っていく 同じ空間にいるけど 彼らは一人一人違うものを見てる   この話は実際に目に入ってるものだけじゃない   昔、気になってる女の子とご飯を食べに行ったりなどした 今思えばデートだ そのデート中で知った彼女は とても気が合う 子供の頃から同じものが好きで 大人になっても同じ映画の監督が好きだった 僕はこれが運命か、、など気持ち悪いことを思いつつ 一緒に映画を見ることになった しかも、行き先は彼女の家だと言う     大変だ     正直 映画どころではない     まぁ、その後なんやかんやありつつ てんやわんやで お付き合いすることになったのだけど   そこで気づいた 僕らは 同じものを見ているのに 違うものを見ていた   同じ映画見ていても違うところで 笑ったり、感動したりしていた そんなすれ違いで 僕らはすぐ別れた 別れ話をする日 僕らは割と泣いた   その時、僕はずっと ベランダに取り残された 季節外れの風鈴を見ていた 彼女は何を見ていたんだろう   同じ時間、同じ場所、同じ感情だとしても 人は割と見ている所が違う   もし、この世に運命の人なる者がいるなら きっと ふとした時、同じものを見ている人なのかも知れない ちょうど、道ですれ違ったサラリーマンが カツラかどうか気になった 僕らみたいに。 <ウソツキ・竹田昌和> ◆紹介曲「 春風と風鈴 」 作詞:竹田昌和 作曲:竹田昌和

    2022/05/27

  • ヒトリエ
    「風、花」がどんな言葉が浮かぶ曲だったのかシノダに聞いてみた。
    「風、花」がどんな言葉が浮かぶ曲だったのかシノダに聞いてみた。

    ヒトリエ

    「風、花」がどんな言葉が浮かぶ曲だったのかシノダに聞いてみた。

     2022年5月25日に“ヒトリエ”がニューシングル「風、花」をリリースしました。さらに、6月22日には約1年4か月ぶりのニューアルバム『PHARMACY』をリリース!2カ月連続でのリリースとなります。シングルタイトル曲「風、花」は、テレビアニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』エンディングテーマ曲。ドラムのゆーまおが作曲、ボーカル・ギターのシノダが作詞を手掛けた1曲です。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放つ“ヒトリエ”による歌詞エッセイを2カ月連続でお届け。今回は【前編】です。執筆はゆーまおが担当。綴っていただいたのは、新曲「 風、花 」にまつわるお話。自身が作詞を手掛けた楽曲に、この歌詞がついた理由とは。そして、フレーズの奥にある想いとは…。貴重なメンバー同士の会話を、ぜひ歌詞と併せてお楽しみください。 「ゆーまおの作曲は真水のようなメロディを作るよね」とシノダから何度も言われているし確かに他のメンバーと比べたらストレートなメロディを思いつく自覚もある。   近頃、歌詞を自分自身で書いてみたい気持ちもほんの僅かだが湧いているので「風、花」がどんな言葉が浮かぶ曲だったのかシノダに聞いてみた。   ゆーまお「この曲を俺が作って渡した時、どんな歌詞が合うと思った?」   シノダ「編曲をして曲が具体的になって全体像が見えてから考えるけど、明るい曲だけど切なげな歌が合うと思ったよ。一人では切なくなれないから対象となる相手が必要と思ってこの歌詞になったね。」   ゆーまお「その切なさは異性に対して思う切なさなのかなと感じたけどどうなの?」   シノダ「そもそも色恋ではないよ。自分や対象となる相手が前向きな目標や時が進んでいく中で致し方なく発生していく別れの切なさだよ。ピュアな思いから生まれる別れだね。」   ゆーまお「なるほど。今回の曲は俺の曲だけど 何か俺をイメージするような部分ってあったの?」   シノダ「この曲に関してはゆーまおの要素は全くないね。」   ゆーまお「風と花が歌詞でも顔になってる曲だけど、なぜこの言葉を選んだの?」   シノダ「“さよなら風よ、花よ 眠ることのないストーリーよ”が語呂も流れも良いフレーズが浮かんだなって所が最初だけど、風が吹くことに理由はないし、その風によって花のおしべからめしべに運ばれていく過程も全て偶発的な出来事であって、それは人間関係も同じような時間が流れているなと思ったのよ。」   ゆーまお「ありがとう。具体的に歌詞の内容なんて聞かないからなんか変な感じするよね。野暮なこと聞くなよ、とか察してくれよ的な。」   シノダ「意図しない捉え方の声が大きい場面もたくさんあるけど、それはごく一部で本当に察してくれてる人もたくさんいるよね。一本筋の通った意志を持っておくことが大事だと感じるよ。」   ゆーまお「メンバーとしても全体感がいいのかどうかくらいの指標を揃える話をするくらいだから今回は良い機会だったよ。」   俺自身はストーリーを考えたり何か細かい人物設定を考えるのがすごい苦手だが、近しい人間の言葉を聞くと背中を押されるような感覚になる。前向きに創作に反映させていこうと思う。 <ヒトリエ・ゆーまお> ◆紹介曲「 風、花 」 作詞:シノダ 作曲:ゆーまお

    2022/05/26

  • FINLANDS
    岡村靖幸に2週間振り回されたい。
    岡村靖幸に2週間振り回されたい。

    FINLANDS

    岡村靖幸に2週間振り回されたい。

     2022年4月13日に“FINLANDS”が新曲「ピース」を配信リリースしました。約1年ぶりのリリースとなる新曲は、TBSドラマ『村井の恋』のOP曲です。ドラマ原作漫画の作者・島 順太がFINLANDSの大ファンであり、オープニングテーマの担当を熱望したことから起用が実現。塩入冬湖(Vo)がはじめて“ド直球”を描いた、ストレートな恋心を歌詞に乗せた強い意志の感じられる、FINLANDSの新境地ともいえる1曲となっております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“FINLANDS”の塩入冬湖(Vo)による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回が最終回。綴っていただいたのは、2018年にリリースした楽曲「 PET 」にまつわるお話です。常々、「岡村靖幸に2週間振り回されたい」と言い続けてきたという彼女。その根本にある想いとは…。ぜひ改めて、「PET」の歌詞を味わいながら、エッセイをお楽しみください。 私は常々、「岡村靖幸に2週間振り回されたい」と言い続けてきた。 突発的な衝動や理解の範疇外にある行為、行動に右往左往したい。 こんな事を思う度に勝手なイメージでごめんなさい岡村靖幸様。とも思っています。   「カルアミルク」を初めて聴いた時、仲直りを持ちかけるが自分から会いには行かない。 「六本木においでよ。」と歌う男性に一瞬で心を奪われた。 私の聴いて育ってきた音楽の中では大体男が好きな女に会いに行こうとするし、今から会いに行く。と言う。 でも岡村靖幸は違った。 その違和感が妙にしっくり心に落ちてきて、自分の好きな男像を映し出したような気がした。   それまでも、「あの人は誠実で真面目で優しい人よ」 といった褒め言葉にそれの何が魅力的なんだろうか。と思う事がしばしばあった。   高校生の時は兎に角足が速い人が好きだった。喋った事もなかったし、 全く優しさを感じる局面はなかったけれど、校内ストーキングを続け部活で走る姿を見るとそれだけで愛おしくなった。   高校を卒業した後は叫び方が格好いい人を好きになった。 叫んだ後の所作が俺は叫んでやった。 という如何にも悦に満ちた顔をする男が嫌いで、その中でとびきりこんなに叫び方が好きな男はいない。 そう思った。   そうだ、思い返してみれば優しさや誠実さ、忠実さが全面に押し出された売り文句に心が解けた事って無い。   私にどれだけ約束をくれようが、毎日を真面目に努めていようが、溢れんばかりの愛情を与えてくれようが、 私は誰かに違和感を感じていたい。 アンバランスな違和感を。   その人の娯楽になりたい。と思うし、それ以上に私の娯楽であってほしい。 あなたが私の未来であってほしいけれど、未来でも安心や安定なんて言わないで出来るだけ娯楽でいてほしい。 私も娯楽でいさせてほしい。   岡村靖幸に2週間振り回されたい。 痛々しいと思いながらも今現在この歳までそれが根底にあるんだ。 面白くいられたらいいじゃない。 無茶苦茶なあなたに一生振り回されたい。 死ぬその時までアンバランスな勝ち負けない娯楽であって。 たまに飽きてしまった時も、嫌になった時も どうせ訳の分からない主義主張に笑ってしまうからその時はまた一から振り回してくれ。 と思う。 兎に角面白い。と無茶苦茶さに興味を持ち続けていたい。 「 PET 」を描いた頃はずっとそう願っていた。 今でもどこかそう思う節はあるけれど、無茶苦茶さだけではない安らかな愛おしさも知った。 日々人は変化していくのだろうと思える変化である。 だけれど私の初恋は玉置浩二さんだ。 根本はきっと変わらないのではないだろうか。   近頃「PET」を聴き返してそんな事を思った。 <塩入冬湖> ◆紹介曲「 PET 」 作詞:塩入冬湖 作曲:塩入冬湖

    2022/05/25

  • SpendyMily
    掴もうとすればするほど愛とロマンは離れてく。
    掴もうとすればするほど愛とロマンは離れてく。

    SpendyMily

    掴もうとすればするほど愛とロマンは離れてく。

     2022年5月27日に“SpendyMily”が4th Digital Single「Distance」をリリース!2021年8月&10月にオリジナル楽曲「夏とブルー」「雨のリズム」を配信リリースし、今年1月にリリースした「後悔」はドラマ24『シジュウカラ』のエンディングテーマに大抜擢。そんな彼らの最新作です。    さて、今日のうたコラムではその“SpendyMily”の松永瀀による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、新曲「 Distance 」にまつわるお話です。愛と理想に飢えて、思い描く理想を掴もうとすればするほど、遠のく…。そんな主人公の物語を描いた歌詞と併せて、このエッセイをお楽しみください。 今回ここでは僕たち、SpendyMilyの4作目シングル「Distance」の事を綴ろうと思う。   この曲では愛に盲目で、大人になりたい1人の女性のもどかしい人生の途中を表している。色気漂う大人になろうと、香水やドレスを眺めたり、時には背伸びをしてたばこに火をつけたり…。   しかし、自分が思い描く理想の女性に近づこうとすればするほど、それこそが子供的な考えだと気付かされる。なんとも悲しいジレンマがそこには確かに存在するのだ。   彼女は愛とロマンに飢えているが、このままだと永遠にどちらも手に入らないだろう。作中最後に出てくる言葉からも分かるように、彼女は大人びた愛もロマンもどうでもよくなるのだ。   ただ、笑顔で幸せになりたい気持ちは何も変わらなかった。それと同時に、こんな哀れな私は、この先うまくいくことなんてきっとなくて、ただ独りよがりの愛を感じることしか出来ないのだろうと思ったのだ。   今の自分では手に入れられないことを悟ったその時から、彼女が大人の女性になれることは約束されていたのだ。その傷が増えていくことで、彼女が心から欲した愛もロマンも手に入れるだろう。   結局の所、欲のままにただ直向きに走っても、どの欲も本当の意味では永遠に満たされないのだろう。欲という名の哀れで残酷な悪魔は、追い求める事をやめた時にこそ姿を表すのだ。大人は希望や求めることを諦めている、そもそもそんなことは考えから捨てている人が多いように思う時がある。   もしかしたらそうすることが1番効果的だと気付いてのことなのだろうか。極端な話になってしまったが、大人でも希望や求めることを諦めていない人達も勿論いるだろう。僕自身は、どちらになりたいのか、なってしまうのか、まだ分からない。   ここまでした話を振り返って、こんなことを考えていてもきっと仕方ないんだろうとも思う。しかし、「そんな馬鹿なことを考えたって仕方ないだろ」と思う所にこそ、自分を成長させる答えの何かが隠れているのかもしれない。愛とロマンはきっと、生きる上では必要不可欠で、今見えている景色をより彩ってくれるものなんだろう。   大人になりたい、子供に戻りたい、大人のままがいい、子供のままでいたい。 そういうことはきっと、とてつもなく業が深い。 だからこそ考えることを止められない。 長くなってしまったけどここまで読んでくれてありがとう。 こういう物語には続きがある。   最後に…、答えが見つからなくても、「探す」ということこそが財産で、もし、答えが見つかったのならそれは所詮オマケ程度で、ラッキーだくらいに思えばいいんだと思う。   なにが正解かなんて分からない、分かりたくもない。 愛とロマンはそっけないくらいが丁度いい。 <SpendyMily(松永瀀)> ◆紹介曲「 Distance 」 作詞:Yuu Matsunaga 作曲:SpendyMily

    2022/05/24

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