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  • 黒木渚
    私は確かに今、ロマンを生きている。
    私は確かに今、ロマンを生きている。

    黒木渚

    私は確かに今、ロマンを生きている。

     2022年4月20日に“黒木渚”が、デビュー10周年を記念したベストアルバム『予測不能の1秒先も濁流みたいに愛してる』をリリースしました。「あたしの心臓あげる」「虎視眈々と淡々と」「ふざけんな世界、ふざけろよ」など、これまでにリリースされた作品の表題曲や人気曲、さらに「予測不能の1秒先も濁流みたいに愛してる」「ロマン」など新録3曲を含む全23曲が収録。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“黒木渚”による歌詞エッセイを2週連続でお届け。今回は【前編】です。綴っていただいたのは、今作に収録される新曲「 ロマン 」にまつわるお話。5年の月日を経て、新しく生まれ変わった歌声で放たれるこの曲。歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。 五年前に一度レコーディングが終わっていたロマン。   当時、咽頭ジストニアの症状が激しく出ていたため、レコーディングには苦労した記憶がある。   ボーカルブースにヨガマットを持ち込み、一行歌い終えるたびに体を解し、またマイクに向かう。思い通りにならない喉の筋肉がもどかしく、力技で高音をひねり出していたあの日。出来上がったボーカルデータは、ツギハギだらけの粗末な仕上がりだった。これを完成と呼ぶことは出来ない。   演奏してくれたミュージシャン達やプロデューサーの本間さん、会社のスタッフに、どうかリリースを伸ばして欲しいとお願いした。こんなに苦しい歌声は「ロマン」とは対極にある。そう感じていた。   いつ戻るのかわからない声を待ちぼうけて五年。 私は待つのを辞めた。新しい声を自分から迎えにいこう。   カタツムリのような緩慢なスピードで回復する喉との付き合い方を模索し続けたこの五年間の答えが出そうな気がした。   自宅にボーカルマイクを立て、五年前の演奏データを開く。冷凍保存されていた音が、私の周りで再び息をしはじめた。   ロマン。 私は確かに今、ロマンを生きている。 音楽というロマン、創作というロマン、人生というロマン、黒木渚というロマンを。   新しく生まれ変わった私の声は、水彩画の平筆みたいに豊かな倍音でバラードを歌う。ロマンを歌うのにふさわしい声だと思った。   ロマンを抱えて生きている 叶え難いものへの恋のような ロマンを抱えて生きている 取りこぼしたものへの未練のような   ロマンには、いつも欠けた場所がある。だからこそ私たちはそれを追うのをやめられない。あとちょっと、あとちょっとと手を伸ばし、届いたと思ったらまた新しいロマンを見つけてしまう。   ロマンとは欠落のことを言うのかも知れない。 <黒木渚> ◆紹介曲「 ロマン 」 作詞:黒木渚 作曲:黒木渚 ◆ベストアルバム 『予測不能の1秒先も濁流みたいに愛してる』 2022年4月20日発売 <収録曲> DISC 1 1. 予測不能の1秒先も濁流みたいに愛してる 2. あたしの心臓あげる 3. カルデラ 4. 骨 5. はさみ 6. 革命 7. 虎視眈々と淡々と 8. 君が私をダメにする 9. 大予言 10. アーモンド 11. 原点怪奇 12. ふざけんな世界、ふざけろよ 13. 灯台   DISC 2 1. 解放区への旅 2. 火の鳥 3. 美しい滅びかた 4. 檸檬の棘 5. ダ・カーポ 6. 竹 7. 死に損ないのパレード 8. 心がイエスと言ったなら 9. ロマン 10. V.I.P.

    2022/04/20

  • Thinking Dogs
    恋愛においての「終電」という言葉。
    恋愛においての「終電」という言葉。

    Thinking Dogs

    恋愛においての「終電」という言葉。

     2022年3月27日に“Thinking Dogs”が新曲「Collage」をリリースしました。本楽曲は、ひかりTVのオリジナルドラマ『ラブシェアリング』の主題歌にも起用されております。MVでは、見られる者と見る者を客観的な視点から、現代におけるソーシャルな監視社会を抽象的に表現。ぜひ、ドラマ、歌詞の世界観と合わせてお楽しみください。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Thinking Dogs”の大輝(Dr.) による歌詞エッセイを3回に渡りお届け!今回は第2弾。綴っていただいたのは、楽曲「 24:55 」にまつわるお話です。彼の「歌詞・溜め」から生まれたこの歌。終電を目の前にした<わたし>は、一体どんな選択をしたと思いますか…? ぜひ、想像を膨らませながら、このエッセイと歌詞をお楽しみください。 僕のiPhoneのメモには「歌詞・溜め」というフォルダがある。   日々を過ごす中で自分が見て、聞いて、体験して感じたことをホイホイ投げ込んで溜めておく場所。言い換えれば、歌詞へと成長し得る種を溜めておく場所。   単語が1つ書いてあるだけの物もあれば、入った飲食店で隣の席のカップルがこんな話をしていてどう思った、とつらつら書いてある物もある。   その瞬間に感じたことをとりあえず殴り書きしているだけなので、見返すと何のこっちゃ分からない物も多々…。   色々な物があるけど、僕が書いてきたThinking Dogsの歌詞は、そんな数ある種の中から芽を出した物だということには変わりない。     そんな「歌詞・溜め」の中に、ずいぶん前からあった種の1つに「終電」という物があった。そこから芽を出したのが「 24:55 」という歌詞。     「終電」という言葉は、それを迎えた時のその人の境遇によって、受ける印象が変わる不思議な言葉だ。   仕事をして終電を迎えた人は 「今日もこんな時間になっちゃったよ。くそー。」 なんて、嫌な物だったり。   友達と遊んでついつい飲み過ぎた人は 「やべー、明日も朝早いのに。やっちまった…。」 なんて、悔いる物だったり。   基本的には煩わしい物、意識のどこかで越えてはいけない、越えたくないリミットとしての印象があると思います。   だけど、恋愛においての「終電」という言葉は、時に他とは少し違う印象を孕む場合がある。     歌詞の中に登場する主人公の女性。   この女性にとって「終電」は、意中の人との関係を進展させる可能性を持った、言わば「切り札」なんです。まあ「切り札」というよりは「諸刃の剣」かもしれませんが…。   どちらにせよ、誰かにとっては煩わしい物でも、違う誰かにとっては希望だったりもする。言葉にはそんな面白さがあると思います。     主人公の女性が最終的に「切り札」を使ったのか、そしてこの恋愛が成就したのかまでは歌詞中にはあえて書きませんでした。   その先は曲を聴いた方、歌詞を見た方の妄想で物語を紡いでもらう為の余白として残しました。   仲の良い友達のままでいるのか、やっぱりその1歩先の関係を望むのか。自分のことに当てはめたりして楽しんでもらえたら嬉しいです。 <Thinking Dogs 大輝(Dr.)>   ◆紹介曲「 24:55 」 作詞:大輝 作曲:わちゅ~

    2022/04/19

  • erica
    この瞬間がどうかいつまでも終わらないでほしいと願う。
    この瞬間がどうかいつまでも終わらないでほしいと願う。

    erica

    この瞬間がどうかいつまでも終わらないでほしいと願う。

     2022年3月23日に“erica”がデジタルEP『告白日和~白と赤の真ん中~』をリリースしました。今作には、春の訪れ×恋愛をメインに楽曲を収録。新曲「卒業ソング」を新たに書き下ろし。そして、ファンからの恋愛に関するお悩みへのアンサーを自身のYouTubeチャンネルにアップしていた『Mlogシリーズ』(Music×Blog)より「春は来ない」「桜フラペチーノ」「桜、輝け」「笑っていてよ」を収録しております。    さて、今日のうたコラムでは、最新作を放った“erica”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第2弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 桜フラペチーノ 」に通ずるお話です。桜と花火、そして片思いの共通点とは…? あなたにとって大切な春の恋を思い浮かべながら、このエッセイを歌詞を受け取ってください。 桜は花火に似てる。 見るものの心を一瞬で奪ったかと思うとあっけなく消えていく。 美しさとは儚さなのかもしれないとさえ思う。 まるで夢を見ていたかのような、瞬きをすることさえ惜しいほど、できることならばずっとずっと見ていたいと願う。   そんな気持ちは片想いと似ている。 出会い、恋に落ちたその瞬間、まるで満開の桜を見上げた時のように心が弾み、空いっぱいに上がる花火を見た時のように胸が高鳴る。 毎日歩いている道なのに景色もすれ違う人も何かがいつもと違う。 普段なら気にならないような脇道に咲く花を見つけて嬉しくなったり、優しくなれたり、好きな人の何気ない一言に舞い上がったり、目と目が合う度にドキドキしたり、、、 この瞬間がどうかいつまでも終わらないでほしいと願う。   そうかと思えば突然、強い風が吹き不安が押し寄せたりもする。 昨日まであんなに穏やかだったのに、一枚また一枚と花が散るたび時間ばかりが過ぎていく。 早く伝えなくちゃと焦る気持ち。 でも想いが届かなかったら? 片想いはいつだって忙しい。 白でもない赤でもない。心の中を行ったり来たり。 そうやって混ざった色がこの世でたった一つの恋の色に育っていく。 自信も勇気も淡く、切なく、散りゆく涙もやがて強さに変わると信じて。   同じ恋などない。 どの恋にもそれぞれのストーリーがある。 例え実らなくてもその恋には意味があって沢山の気づきをくれたはずだ。 だからこそ、かけがえのない人に出会えた時、過去の自分にありがとうと感謝できる。   「今日はどこに行く?」   「どこでもいいよ」   「早く会いたいね」   そんななんてことのない会話さえ大切な人となら喜びに変わる。   今年も春がやってきた。 ゆらゆらゆれる雲。影法師が踊る。   いつものカフェで待ち合わせして、いつものフラペチーノを飲みながら、いつものように穏やかな時が流れる。 ふと、どこからかひとひらの桜の花びらが舞い落ちてきた。 その色もまた白でもない赤でもない色をしていた。   「きれいだね」   そう言って見上げた空にあの日流した花びらは優しくいつまでも舞っていた。 <erica> ◆紹介曲「 桜フラペチーノ 」 作詞:erica 作曲:nao   ◆デジタルEP『告白日和~白と赤の真ん中~』 2022年3月23日発売   <収録曲> M1 卒業ソング M2 春は来ない M3 桜フラペチーノ M4 桜、輝け M5 笑っていてよ

    2022/04/18

  • ulma sound junction
    歌詞が降りてくる事なんてない。
    歌詞が降りてくる事なんてない。

    ulma sound junction

    歌詞が降りてくる事なんてない。

     沖縄県石垣島出身の4人組プログレッシヴ・ロック・バンド“ulma sound junction”が、2022年4月13日にメジャー1st EP『Reignition』をリリースしました。新曲「Modern Bleed」に加え、インディーズ時代の代表曲やライブ定番曲の再録バージョンが収録。タイトルには、「バンドを再認識してもらい、自分たちの音楽を“再着火”させる」という意味が込められております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“ulma sound junction”の田村ヒサオ(Ba.&Vo.)による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、歌詞への向き合い方についてのお話です。「歌詞が降りてくる事なんてない」という彼が、一体どのように歌詞を作り上げてゆくのか。そして、どんな音楽の在り方を目指しているのか。ぜひ、今作と併せて、エッセイをお楽しみください。 「歌詞が降りてくる事なんてない」   言葉という概念や知識の一部を一つの芸術としてアウトプットしようという瞬間において、それは外部から流れ込んで来るのではなく、どちらかと言えば蓄積された記憶の中から掘り起こす作業に近い、と常日頃思っているからです。   私は自身のバンドの楽曲を製作する上で、コンポーザーとして、ベーシストとしてヴォーカリストとして常に携わります。作曲編曲においては誰も気づかない精度のニュアンスやディティールにもこだわり、無駄かと思うほど長い時間をかける様な人間です。   “今日のうたコラム”初めて書かせて頂きますが、そんな私の様な人間の歌詞への向き合い方に、どうぞ少しだけお付き合い下さい。     作詞のプロセスは音楽家の数だけ存在すると思いますが、私の場合それはかなり終盤に訪れます。各楽器のレコーディングが済んでから、作詞をするなんて事も時折ある位です。   私は声で奏でる詞を「音響」の一部と捉える、作詞をする人の中でも恐らくマイノリティであろうプロセスを踏みます。発せられたその瞬間に言葉がもつ概念や思想、エネルギーなど一切を忘れ、音としての響きに重きを置きます。   ざらつき、濁り、艶やか、柔らかい、鋭い、等の様々なニュアンスでもって言葉はただ並べられ、メロディやリズムに乗るものをまずは選択していくのです。   子供がパズルのピースを薄い色から濃い順番に並べるかの様な作業。若しくはそのピース一つ一つが与えられている形や居場所を完全に無視して、そのピースをまるで切り絵の紙の様に並べ、重ね、本来出来るはずのない絵画を作る様なイメージに近いかもしれません。   このピース達はもっと自由であって良いものだと思うのです。   感覚的な表現ばかりで申し訳ありません。私が世に放つ歌詞はあくまで二次元的で、それが皆様に届いて初めて三次元に形成されるのですが、それは一人一人が言葉に持つ思い、深さ、印象により様々です。   例えば「赤」という言葉で誰が何を想像するかなんて分かるはずがないのと同じく、私達が作り上げた作品をどう理解してくれようと構わないのです。それくらい歌詞というものの解釈は自由であって欲しい。   なるべくなら私自身は言葉以外の楽曲の力だけで、どこまで表現出来るのかを追求しなければならないと思っています。歌詞はリスナー皆様との最後の、そしてほんの少しの答え合わせでいい。   今の所それが私の目指す音楽の在り方です。     数多くご活躍されてる音楽家、作詞家の皆様や、これから音楽を志す方々にとっては、些か邪道かもしれないと思いつつも、これも音楽の向き合い方の一つだと思って大目に見て頂ければ幸いでございます。   楽しく書かせていただきました。 最後まで読んでいただきありがとうございます。 <ulma sound junction・田村ヒサオ> ◆メジャー1st EP『Reignition』 2022年4月13日発売 https:// king-records.lnk.to/Reignition   <収録曲> 01. Modern Bleed 02. Rotten Apple 03. Utopia 04. Idea 05. Elem-5/6/7

    2022/04/15

  • THE BACK HORN
    「ロックとは何だと思いますか?」
    「ロックとは何だと思いますか?」

    THE BACK HORN

    「ロックとは何だと思いますか?」

     2022年4月13日に“THE BACK HORN”がニューアルバム『アントロギア』をリリース。アルバムタイトルの“アントロギア”は、古代ギリシャ語で<花を集めること>を意味し、今日では詩文を集めた詩集を表すことに由来。様々な花が持つ色彩のように4人の“今を生きる希望”が描かれた作品となっております。今作には、これまで通りメンバー全員が作詞作曲で参加し、様々な組み合わせにより制作された全12曲が収録。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“THE BACK HORN”による歌詞エッセイを4週連続でお届け。第2弾は山田将司が執筆。綴っていただいたのは、「ロックとは何だと思いますか?」という質問に対する気持ち。そしてメンバー全員が作詞作曲をするTHE BACK HORNが、どのように音楽に向き合ってきたかのお話です。今作の歌詞と併せて、受け取ってください。 「ロックとは何だと思いますか?」   インタビューなどでこの質問をされた時が1番困る。そんなデカい言葉を一言で表すことで見えてしまう自分の小ささ、それを感じさせないで欲しかった。   それは結成した頃から今まで、ずっとそうだ。THE BACK HORNが結成されて3年後、メジャーデビューしたばかりの頃の取材で、インタビュアーがしたその質問に対し、「俺たちは生と死をテーマに歌っていて別にロックとかどうでもよくないですか? じゃあ逆に何だと思ってるんすか?」とメンバー一同インタビュアーに食って掛かっていた。   と言っても俺は当時コミュ障中のコミュ障。インタビューでも他のメンバーに喋りは任せっぱなしで口を開くこともなく、威圧的な視線をインタビュアーに向けながら(無意識)黙々とタバコを吸うだけで終わる取材も多々。自分の発言に何の自信も持つ事ができず大人に片足を踏み入れることもできていないクソ生意気な青年だった。   そんな俺でも、「ロックとかそういうのマジでどうでもいいわ」と心の中で同意していた。   THE BACK HORNはメンバーそれぞれが作詞作曲をする。今回、4月13日にリリースされたアルバム『アントロギア』でも、それぞれの作詞作曲がさまざまな組み合わせのもと作られた作品となっている。メンバー全員で作詞作曲をするこのスタイルはもう15年以上続いていて、きっかけは菅波(Gt)の、「皆んなで作った方が面白い」という言葉からだった。   全員が[THE BACK HORN]という光も闇も混在させた得体の知れないモノに向かい曲を書く。もちろん作詞や作曲が得意なメンバーもいればそうでないメンバーもいる。それでも少しずつ歩み寄り擦り合わせ続け一曲一曲をカタチにし続けてこれたのは、他のどのバンドにもないTHE BACK HORNだけのオリジナルなスタイルを確立していけているという実感と共に、CDを出したりカタチにしていける喜びは勿論、「生きる」というこのバンドが発するエネルギーを自分が歌として表現していくことで、その曲からも自分自身も力を貰い、聴いてくれるお客さんからも力を貰い、どんな姿であれ生きていていいんだと実感できていたこと、そして根っこには「やっぱりこのバンドが好きだ」という気持ちからなのだと思う。   メンバーを代表したような言葉になってしまっているが、今は俺が思う気持ちだけを。誰が曲を書こうと詞を書こうと、この4人で演奏する曲達は自然と[THE BACK HORNらしさ]になっていく。その時々の時代に感じた事を結晶として残してゆける。こういう歌詞を書かなければいけないなんていう決まりは無い。この4人が今感じている事をカタチにする。それが事実でありTHE BACK HORNとしての正解だ。   「気持ちなんてものは変化していく」それもリアルな事で当たり前のこと。また、メンバーのそれが許されるくらい、想いの宿った軽はずみではない言葉をその時々で表現してきたからこそなのだと思っている。   心が折れかけ、もうダメだと限界を感じた事は何度もあるが、その度に自分達の曲に励まされ、奮い立たされるこの感覚は何にも変え難く、自分の人生の半分以上を捧げてきたこのバンドにいられる事がなによりも誇りだ。十何年前だったか、「最後は希望を感じられる音楽をやろう」それをメンバー間で共有しながら曲を作るようになった。   希望をリアルに描く事は容易では無い。人生で一度でも大きな悲しみを経験してしまうと、どれだけ自分の闇を理解してくれているのか? という疑いから感情移入できなくなる、気がする。だからこそリアルな希望を描くために「闇」というものの理解の深さが必要となる。   しかし、肌感覚で理解できる闇は自分が経験したまででしかない。自分の場合、結成当初に抱えていた闇は十代に経験した父の死が大きな原因だった。いつか人は死ぬ。どうせ死ぬ。今、どれだけ想いを燃やせるのか、この瞬間に命が燃え尽きてもいい覚悟で、これでもかこれでもかと叫び狂った。それで自分が生きている実感を得られた。気がしていた。叫べば叫ぶほど心にポッカリと空く穴。フィジカルの犠牲がメンタルを超えた時に大体思う。   「何で俺はこんなにムキになって歌ってるんだろう」   もう既に埋まっているはずの穴で満足できないのは、ただ自分が持ってしまう渇望感だった。闇は消えてはいない。自分自身が持つ闇。自分ではない人が感じている想像もできない程の大きな闇。答えばかり出して生きる事は失礼だぞ。逃げるな。答えを出した途端になにかを諦めたような気分になってしまうから。悲しみの重さ? 自分が経験した分しか分からねえ。幸せの形? 人それぞれあっていいじゃない。幸せを感じられることもまた必要だが、悲しみを感じてしまう事から逃げないのもまた必要な事なのだと思う。瞬間の話であって、引きずっていくと言う意味ではなく。   「何が起こるか分からない」と怯えて生きるなら「どんないい事が起こるか分からない」と同時に思う事ができるか? 「思う事ができるか」なんて「課題」みたいな言い方になってしまっているが、本来「思っていいはず」なんだ。「生きる」という誰にでもできそうな事が誰にとってもの超難関になっている。   おこがましくも、THE BACK HORNの音楽を聴いてくれている皆を通じて「生きる」を感じさせてもらっている。ファンの皆さんと共に「生きる」を感じていきたいと思っている。THE BACK HORNは主に日本語詞を大事にしているバンドだが、言葉だけではなくサウンドが作り上げる情感、各々のセンスの光るプレイは勿論、全身を刻みつけるほどの全てが合わさった「音楽」としてTHE BACK HORNから「生きる」を感じて貰えればと思う。   話はだいぶ逸れたが 「ロックとは何だと思いますか?」 この質問に対し 「執着だと思います」   なんて答えた事もあったが、なんかむむむ、、、という感じだ。「ロックとは何だと思いますか?」「分かりません」やっていけば何か言葉に変わる日が来るのか。言葉にならなくともロックは死なないし、無理矢理カタチにされた言葉ほど薄っぺらいものはない。本意や実態が分からなくても、好きなものは好きだということ。いつか分かるんじゃない? それでいいじゃねえか。 <THE BACK HORN・山田将司>

    2022/04/14

  • saji
    鞦韆と庭の薔薇。
    鞦韆と庭の薔薇。

    saji

    鞦韆と庭の薔薇。

     2022年4月13日に“saji”がNew Digital Single「灯日」を配信リリースしました。同曲は、4月より放送開始のTVアニメ『トモダチゲーム』エンディングテーマに起用。sajiが現在までにリリースしてきた歴代のアニメタイアップソングの中では珍しく、ベーススラップから始まる、深みあるギターサウンドが特徴的なオルタナティブロックサウンドに仕上がっております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“saji”のヨシダタクミ(Vo.)による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、新曲「灯日」に通ずるお話です。彼が子どもの頃に身につけたとある工程、覚えた感覚とは…? 今作のタイトルや歌詞にもつながっているエピソードを、ぜひ楽曲と併せて受け取ってください。 突然ですが皆さんこれを読めるでしょうか。 鞦韆 (※スマホの調べる機能使っちゃダメよ)   これは―しゅうせん―と読みます。 馴染みのある言い方にするとブランコ。 公園に必ずあるアレです。   ちなみに鞦韆は鞦でも韆でも、どちらもブランコという意味があります。ぶらさがって遊ぶ器具の事です。余談ですが、ブランコは本来、中国で夜のおもちゃ(大人の嗜み)として誕生したそうで、それがいつしか遊具として広く親しまれるようになったそう。   話が逸れましたが何故こんな言葉を持ち出したのかと言うと、この鞦韆という言葉が僕の人間性を創造(改造)したからです。   僕は昔から本、主に漫画を読むのが好きで、家の中にある本はジャンル世代問わず全て読みました。両親が漫画好きであった為、たぶん家の中に本棚が10個以上はあったと思います。   中には当然、子供向けの漫画ではないモノも数多く存在した為、当時では意味の分からない言葉やシチュエーション、それこそ漢字なんかが出てきて、知らない言葉を調べて覚えるという工程はこの時に身につけました。   <難しい言葉が出てくる→調べる→使ってみたい→頑張ってインプットする>を繰り返すうちに、勉強面でも国語が得意になったし、<イヤイヤさせられているという感覚がないから>授業も熱心に楽しく受けられた気がする。   そんなある日、本棚の奥から『蘊蓄事典』なる古い辞書が出てきまして、中を開くと脳がちぎれそうになる位難しい漢字が大量に載っていました。   そのたまたま開いたページに載っていた言葉こそが<鞦韆>で、書けるようになるまでひたすら書き取りを自らにノルマとして課し、来る日も来る日も書き続けました(ちなみに今はもう韆は書けません)。   この、誰も知らない言葉を自分だけが使えるという感覚がとても嬉しくて、単語だけではなく使用例なんかもずっと調べては誰かに実践してみたり。今考えると相当ウザい子どもですが、この時に憶えた言葉の引き出しが、今の仕事に繋がっているので、昔の自分にとても感謝しています。   その時の感覚が今回の新曲「灯日」というタイトルであったり、歌詞に投影されているので気になる方は聴いてみてね。   人間、何が将来を支える武器になるか分からないから、とりあえずは何でもやってみるべきだなあと、ふと思い出した昼下がりの電車内にて。 <saji・ヨシダタクミ(Vo.)>

    2022/04/13

  • Thinking Dogs
    本当の自分とは何なのか。
    本当の自分とは何なのか。

    Thinking Dogs

    本当の自分とは何なのか。

     2022年3月27日に“Thinking Dogs”が新曲「Collage」をリリースしました。本楽曲は、ひかりTVのオリジナルドラマ『ラブシェアリング』の主題歌にも起用されております。MVでは、見られる者と見る者を客観的な視点から、現代におけるソーシャルな監視社会を抽象的に表現。ぜひ、ドラマ、歌詞の世界観と合わせてお楽しみください。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“Thinking Dogs”の 大輝 (Dr.)による歌詞エッセイを3回に渡りお届け!今回は第1弾。綴っていただいたのは、新曲 「 Collage 」にまつわるお話です。歌詞のテーマは「本当の自分とは何なのか」。好きなもの、好きなひと、好きな場所、自分にとっての“好き”を思い浮かべながら、このエッセイと歌詞を読んでみてください。 皆さんは「自分」という人間が本当はどんな人間なのか、じっくりと考えたことはありますか?   どんなモノが好きで、どんな人が好きで、どんな人間になりたいのか。   よくよく考えると、自分のことって分からないことだらけだったりしますよね。かくいう僕もその1人で。   今回の 「 Collage 」 という曲は「本当の自分とは何なのか。」をテーマに歌詞を書きました。     そもそものCollageという言葉。これはフランス語で「糊付け」という意味で、新聞や雑誌などから切り抜いた写真や絵、文字などを画用紙などの台紙に貼って1つの作品にする技法のこと。   所謂美術の表現技法ですが、実は人間も同じで「自分」という台紙に服やメイク、音楽や映画といった娯楽、食べ物、はたまた付き合う相手といったモノを自分の趣味趣向に合わせて切り取って貼り付ける、一種のCollageなのでは? と感じました。     そんな中で浮かんだ疑問が1つ。 自分が好きだと思って貼り付けているそれらのモノは、果たして本当に自分が好きなモノなのか。     「SNSで話題だから。」 「友達みんなが観てるから。」 「憧れのあの人が使ってるから。」 「映えるから。」     他にも沢山あると思うけど、そういった理由で買った物、食べた物、観た物、行った場所が皆さんにも1つはあると思います。もちろん僕もあります。   ただ、そうやって手を伸ばしたモノは本当に自分が欲しかったモノなのか。選んでいるようで選ばされているだけなんじゃないのか。   流行りのモノが悪い訳じゃない。ただ、流行りのモノばかりを追いかけていても、それは「いつになっても誰かのオマージュ」なんじゃないのか。     良くも悪くも、何も考えなくても、色々なところから色々な情報が入ってくる今の時代。そんな時代だからこそ、そこから何を選ぶのかがとても大事な気がしています。そしてまた、その選択が「自分」というモノを形成していくのかなと思います。     「本当の自分とは何なのか。」 僕もまだ探している途中です。そしてこれはきっと、生きている間ずっと付きまとうテーマだと思います。   最後の日にどんな答えが出せるのか。 そんなことを楽しみにしながら、人生という長い長い自分探しの旅をこれからも楽しみたいと思います。 <Thinking Dogs・ 大輝> ◆紹介曲「 Collage 」 作詞:大輝 作曲:わちゅ~

    2022/04/12

  • erica
    あなたの目に今年の「春」はどう映って見えるだろう。
    あなたの目に今年の「春」はどう映って見えるだろう。

    erica

    あなたの目に今年の「春」はどう映って見えるだろう。

     2022年3月23日に“erica”がデジタルEP『告白日和~白と赤の真ん中~』をリリースしました。今作には、春の訪れ×恋愛をメインに楽曲を収録。新曲「卒業ソング」を新たに書き下ろし。そして、ファンからの恋愛に関するお悩みへのアンサーを自身のYouTubeチャンネルにアップしていた『Mlogシリーズ』(Music×Blog)より「春は来ない」「桜フラペチーノ」「桜、輝け」「笑っていてよ」を収録しております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“erica”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第1弾。綴っていただいたのは、様々な春の歌が収録されている今作に通ずるお話です。みなさんには、忘れられない春の記憶はありますか? ericaの心に今も鮮明に残っている、ある春の出来事とは…。 春の歌はごまんとある。 同様に、季節にちなんだ歌も沢山あるがなぜだろう。 春の歌が少し特別に思えるのは私だけだろうか。   長い冬を越え、蕾は花を咲かせ、動物は冬眠から目覚め、人間は別れと出会いの時を迎える。街は桜が満開に咲き、パステル色に染まるショップの洋服たち。 これがおとぎ話だったら、きっと妖精が空を舞い花が歌っている。 それがこの地球の「春」だ。   あなたの目に今年の「春」はどう映って見えるだろう。 まだ暗いトンネルの中を歩き、光を探している人もいるだろう。 新しい出会いに期待している人もいるだろう。 私にもこれまでにいろんな「春」があった。   あれは小学校の卒業式。 もう随分昔の話になるが、今でも鮮明に覚えている出来事がある。 担任の先生に何かサプライズがしたくて考えていた時、たまたまテレビで見た番組がきっかけで、とある企画を思いつきクラスのみんなに提案をした所、みんなも心よく賛成してくれた。   その企画というのは、一人一輪ずつバラの花を机の中に隠して置いて卒業式が終わり、教室に戻った時「せーの」の合図でバラの花を掲げ、先生にお礼の言葉を全員で言う。といった内容だ。   今思えば大したことのない企画かもしれない。 でも当時の私たちにとってはとんでもなく大事だった。 強いて言うなら全国ツアー並みのプロジェクトだ。 まずは先生にバレないようにすることはもちろん、クラスの全員から花代のお金をもらわないといけない。 一人たった250円。ではない。250円も出さないといけないのだ。 小学生にとっては大金である。   私は発案者だったこともあり、集金係としてお金を集め、お花屋さんに電話し、卒業式の日にバラを取りに行き、みんなに配り、掛け声の練習もする。 そんな全てのことをやらなくてはいけなかった。 払えない人はどうすれば良いか。 お金をもらうということの責任を初めて考えた。 学級便りみたいにそれぞれの親に向け手紙を書いて渡してもらう。 それでも払えない人は払える人が20円ずつ多く払ってなんとか賄った。 全ては順調だった。あとは当日を迎えるだけだった。   そんな時事件が起こったのだ。   卒業式の3日前、集めたお金が無くなった。 どこを探してもない。 学校中みんなで探した。それでもなかった。 誰も疑いたくない。でも誰かが盗んだとしか思えなかった。 もうどうしようもなかった。   卒業式の前日、私はクラスのみんなに言った。 本当に申し訳なかった。全て私のせいだと謝った。 何度も何度も謝った。みんな泣いていた。 とっくにみんな許してくれていたけどやっぱりどうしてもちゃんともう一度言いたかった。   そしてこんなことも言った。 「最後にお願いがある。もしこの中に出来心で盗んでしまった人がいるなら決して怒らない。絶対に責めないし犯人も捜さない。だからどうかまだそのお金があるのなら何も言わず私のロッカーに返してほしい。」 そう言って私は泣きながら頭を下げてお願いをした。   当日の朝、私は誰より早く学校に行った。 恐る恐るロッカーを開ける。 あった。 巾着袋に入った見覚えのある集金袋が確かにそこにあった。 卒業式の当日、戻ってきた。 奇跡が起こったのだ。   そこからのことはもう何がなんだか、今思えば小学生の私によくできたなと感心する。 急いで学校の近くの花屋に行く。 開店を待っていたら卒業式に遅れる。 張り紙にある電話番号に公衆電話から電話をかける。 留守番電話にメッセージを残す。 時間と場所を指定する。 学校に戻り、時間になったらトイレに行くと嘘をついて教室を出る。 初めて今でいう“代引き”というやつを小学校の門でした。 花を受け取って隠す。 卒業式が終わったタイミングで先生にバレないように数名で机に花を入れる。 こうしてようやく私のミッションは終わった。   「せーの」 「先生今日までありがとう。」   教室にバラが咲いた瞬間だった。 泣きながら喜ぶ先生の顔を、みんなで泣きながら抱きしめ合ったあの日を私は今でも忘れない。   人は間違いを起こす。 完璧な人なんて一人もいない。 大切なのは信じる気持ち。 悔い改め反省できる心。 そして、支えてくれる仲間の大切さだと思う。 皆違くて皆それでいい。   今年もきっと数えきれない物語があっただろう。 あなたの心に咲く桜は今年もあの頃と変わらず咲いているだろうか。 出会えた友 出会えた夢 過ごした宝物の日々を この胸にずっといつまでもずっとお守りにして 私たちは今日もそれぞれの道を歩いていく。 <erica> ◆デジタルEP『告白日和~白と赤の真ん中~』 2022年3月23日発売   <収録曲> M1 卒業ソング M2 春は来ない M3 桜フラペチーノ M4 桜、輝け M5 笑っていてよ

    2022/04/11

  • LM.C
    君に作り話を唄うウソつきな僕
    君に作り話を唄うウソつきな僕

    LM.C

    君に作り話を唄うウソつきな僕

     2022年4月6日に“LM.C”がニューアルバム『怪物園』をリリース!今作は、前作『FUTURE SENSATION』以来、約3年8カ月ぶりとなるオリジナルアルバムです。2020年にリリースされた「Campanella」「No Emotion」「Happy Zombies」の3曲を含む全11曲が収録。なお、LM.Cは現在アルバムリリースを記念した全国ツアーを開催中。ツアーファイナル公演は4月26日に東京・LIQUIDROOMにて行われます。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“LM.C”のmayaによる歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、作詞についてのお話です。作詞を始めたきっかけとは。歌詞に変化が生まれ始めた理由とは。そして、自身にとって大きな存在となった楽曲とは…。作詞作業真っ最中の方にも是非、読んでいただきたい歌詞エッセイ。今作と併せてお楽しみください。 今、正に作詞をしていて その作業の合間にこのサイトを訪れ このページにたどり着いてくれた そんな人がいるかもしれない   そう意識しながら書き始めました。何故なら私にその経験があるからです。普段は元より作詞の合間、休息のために歌ネットを訪れることがあります。   そこに作詞の直接的な答えは存在しないし、数多の歌詞があれど曲さえ知らないことがほとんどです。だけど、どこかの誰かが思いを乗せて完成させた沢山の詞を見て読んで感じることで、作詞という孤独な時間を肯定してもらえる気がするのです。非常にありがたいです。サイト内の『言葉の達人』や『言葉の魔法』にはかなり前からお世話になっております。   私が作詞を始めたきっかけは単純でした。   LM.Cを始める数年前、バンドがやりたくて作曲をし始めたものの、メンバーがおらず全パートを自分で担当するという選択肢しかなく、メロディーに対し言葉がないのは味気無いなと感じて書き始めました。そこから時を経て、作詞や作曲を積み重ね続け、気付けば100曲以上の歌に詞を乗せてきました。   LM.Cを始める前、そして活動を開始してからしばらくの作品の言葉は、日々感じていることや気持ちを反映させたものではありましたが、それは対外に向けたものではなく、多くが自分自身へ向いたものでした。   そこに変化が生まれ始めたのは、応援をしてくれる存在を認識するようになってから。そして、その存在を初めて強く意識して完成させたのが、活動開始から1年後にリリースした「 LIAR LIAR 」という曲です。当時は今より作詞も作曲も経験が浅く、どのように気持ちを形にすればいいかを沢山考えて曲に向き合いました。   広がるこの世界のどこにいたって すぐ逢いに行くから 君に作り話を唄う ウソつきな僕を許して   他の曲に通ずる、この“作り話”が何を意味するのかは、そのときの状況や受け止め方によって変わりますが、それが何であれ、それを伝えたいという気持ちがあり、そこに偽りはないことを歌っておきたかったのです。   当初は上記の箇所と最後のサビは同じ歌詞だったのですが、レコーディングスタジオで気持ちを声にして残していくなか、最後の言葉を書き替えました。   レコード会社のディレクターに、「言葉が強くてLM.Cっぽくないから変更しないほうがいいのでは?」と提案されました。その通りでした。当時の自分、当時のLM.Cにとってはそうでした。だけど、そこから積み重なってゆく未来を想像したときに必要な言葉だと直感したのです。   広がるこの世界のどこにいたって すぐ逢いに行くから 君に作り話を唄う 目の前の僕を信じて   どんなバンド、グループ、ミュージシャンにも、大切や特別を超越したような曲が存在すると思います。この曲は、我々にとってのそれなのです。それ故、ライヴのセットリストにほとんど並ばないという現象が起きている程であります。   そんなことを経て、今では全ての作品、全ての言葉は自分にだけ向けたものではなくなりました。新しく完成した『怪物園』というアルバムもしかりです。色々な状況やハードルを越えて今でも仲間でいてくれる存在、その期待に応える音楽が揃いました。これをきっかけに出会う人にとっても申し分のない作品となっております。   そして、冒頭で述べた作詞作業真っ最中の方。キャリアも状況もそれぞれであろうし、そもそもそのような方がこの文章を目にする機会があるのかも分かりませんが。どんなに楽しく臨めたとしても歌に言葉を乗せるという行為は簡単にはいきませんよね。作詞を担当する多くの方がそうだと思います。   もし現在、作詞が思うように進まず頭を抱えているのならば、勝手ながら応援させていただきます。テキトーに言葉を並べて形にすることはできるのに、そうしない、そうできないのは歌詞をぞんざいに扱っていない証拠です。向き合った分だけ大切なものになるのです。   書いていて気付きました。 これ、 未来の自分が読むやつです。 完全にそうなるやつです。 なのでもっと押しておきます。 大丈夫。やれるよ。 今までもそうしてきたじゃん。 これからもそうするんだ。 もう分かってるでしょ。   もっと自分と、その言葉を待っている存在、そしてこれを書いている私、あなたを信じている私を信じて突き進んでください。   ご高覧いただきありがとうございました。 <LM.C・maya> ◆紹介曲「 LIAR LIAR 」 作詞:LM.C 作曲:LM.C ◆ニューアルバム『怪物園』 2022年4月6日発売 収録曲歌詞一覧: https://www.uta-net.com/album/ WHR-3/ <収録曲> 01. 開園 02. Elephant in the Room 03. Valhalla 04. No Emotion 05. Panic Time 06. Campanella 07. Montage 08. Lost Summer 09. Happy Zombies 10. End of the End 11. 閉園

    2022/04/09

  • 日食なつこ
    クロソイド曲線
    クロソイド曲線

    日食なつこ

    クロソイド曲線

     2022年3月30日に“日食なつこ”がニューアルバム『ミメーシス』をリリース。今作は、多岐にわたるジャンルからさまざまな感性を吸い上げ、“擬態”をテーマに作り上げられました。「この世界たちをいま音と言葉で自分なりになぞったら絶対面白い曲が書ける!」という強いアウトプット欲が生んだ全13曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“日食なつこ”による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回が最終回。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 クロソイド曲線 」のお話です。 ずっとずっと強くなった今 もう二度と手には入らない光   ずいぶん昔の話です。私たちは夜明け前の下北沢にいました。   まだ夜の早いうちから始まった談合は、過去の話、未来の話、人の話、笑い話、愚痴、噂、さまざまな話題で盛り上がったり盛り下がったりして延々と続きました。決して豊かではない財布をひっくり返し、気分のままにお酒と肴を頼み続け、居酒屋の一席につっぷして居座り、ラストオーダーを取りに来た店員の声で気付けばあっという間に夜の終わりはやってきていました。   おもてに出ると空はうすぼんやりと明るんでいて、リセットされた清潔な空気で通りはしんと静まり返っていました。居酒屋から出てきた私たちだけが、アルコールの臭気と煮詰まった疲労感を纏わりつかせて異質に突っ立っていました。始発の電車はもうとっくに走り出していました。駅へ向かいましょうか。どちらともなく口にして歩き出しました。   東口改札まではまっすぐな坂道がだらだらと伸びています。鈍牛の如き重たい足取りを急勾配がじわじわ攻めつけます。私より幾分酷い酔い方をして君はもうほとんど地面を向いて歩いています。酩酊しながら何か口走っていますがそれを聴き取れないほど私の耳ももう半分眠りこけています。まっとうな朝を迎えたであろうスーツ姿の男性が颯爽と抜き去っていきました。彼の目に私たちはどれほどだらしない生物に映ったことでしょう。   こんなみっともない夜の終わり、よれよれで登る坂の先、そこにまともな続きがあるなんて信じられるような無鉄砲な時期はその頃もうとっくに通り過ぎていました。いい歳して夜通し酒を飲んで明け方路上に半ば転がりかけながらふらつくような生活が許されている惨めな猶予を、心のどこかで自覚しながら気づかないふりをして笑っていました。穴だらけの羽で飛び続ける日々にそれでもなお固執していました。選べる道などもうありませんでした。私たちは非力でした。   体感速度よりずっと早く、世界が回っていた頃の話です。   2021年春、私は初めてひとりで首都高速道路を走りました。急カーブに翻弄されつつ猛スピードでよその車を抜いたり抜かれたりしながら、なぜかふとよぎったのは、あの下北沢のどうしようもない夜明けでした。危機感溢るるドライブに駆け巡った走馬灯だったかもしれません。欠伸を噛み殺しながら少しだけ笑いました。   クロソイド曲線とは、道路のカーブなどに用いられるゆるやかに曲がりが強くなる曲線のことだそうです。徐々に急カーブを描き出す人生の難易度になんとか食らいつき続け、私はいつしかこんなスピードも複雑な道も乗りこなせる器用な大人になっていました。愚直にまっすぐ飛ぶしかなかったあの頃を笑うことだってもう出来るはずですが、一向にそんな気持ちにならないのはもう二度と戻らない穴だらけの日々にしか放てなかった光の価値を理解しているからなのです。   ここまで「√-1」「meridian」「クロソイド曲線」3曲分のバックボーンについて、3つの記事を綴らせていただきました。明るい話が1つもありませんでしたね。ごめんなさい。   全然楽しくもない納得もいかない日々を越えるために、私は歌を作り続ける人種ということなのでしょうね。   これを書いている翌日はまた首都高をひとり運転しなければいけません。厄介な走馬灯を見ないよう、荷造りを終えたら早めに休もうと思います。それではまた、どこかで。 <日食なつこ> ◆紹介曲「 クロソイド曲線 」 作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ   ◆4thフル・アルバム『ミメーシス』 2022年3月30日発売   <収録曲> 1. シリアル 2. √-1 3. クロソイド曲線 4. meridian 5. 必需品 (album ver.) 6. 夜間飛行便 7. vip? 8. un-gentleman 9. hunch_A (album ver.) 10. 小石のうた (Natsuko singing ver.) 11. 悪魔狩り 12. うつろぶね 13. 最下層で

    2022/04/08

  • THE BACK HORN
    ウロボロスを知ってますか。
    ウロボロスを知ってますか。

    THE BACK HORN

    ウロボロスを知ってますか。

     2022年4月13日に“THE BACK HORN”がニューアルバム『アントロギア』をリリース。アルバムタイトルの“アントロギア”は、古代ギリシャ語で<花を集めること>を意味し、今日では詩文を集めた詩集を表すことに由来。様々な花が持つ色彩のように4人の“今を生きる希望”が描かれた作品となっております。今作には、これまで通りメンバー全員が作詞作曲で参加し、様々な組み合わせにより制作された全12曲が収録。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“THE BACK HORN”による歌詞エッセイを4週連続でお届け。第1弾は菅波栄純が執筆。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 ウロボロス 」にまつわるお話です。併せて、歌詞も先行公開中! ぜひ、エッセイとともにお楽しみください。 この曲には、コロナ禍においてライブを含めた音楽活動がなかなかできず鬱屈とした時の気持ちや、いつ終わるともしれない絶望感が渦巻いてます。それをベースにしながらも、無限の絶望のループをこの手でぶっ壊して進んでいくんだ!と宣言する力強いロックミュージックでもあります。   ウロボロスを知ってますか。古代の「無限や永遠」の象徴で、蛇が自分の尾を噛んで輪っかになってる姿をしています。破壊と創造や生と死など色んなイメージが重なっていて、ちょっと不気味、ミステリアスな存在でもあります。そのイメージを使ってループする絶望感を表現しました。   歌詞で気に入ってる部分は、<先生、最近「夢を持て」って言わなくなりましたね>というところです。完全な妄想なんですけど先行き不透明な時代において、学校の先生も「不用意に夢を持て、なんて言えないなぁ」って思ってるんじゃないかな、と。演出的にも語りっぽく唐突に入ってくるので怖くて好きです。   あとは楽曲の中盤で神様が出てくるところも好きですね。この世の何もかもが記載されてるとされる「アカシックレコード」を、神様がブログを書くみたいに更新してる様子で、あんまり深い意味はないんですけど味があります。   ブログの更新通知的に「この世が終わりますよ~」って通知がスマホに来るっていう。その通知を信じた者だけが方舟に乗って生き延びる。以前「惑星メランコリー」という歌詞で似た内容を書いたので、セルフオマージュみたいな感じですね。ちょっとユーモラスな描写になってるのが「ウロボロス」バージョンの特徴です。   一応断っておきますが、そんなに神秘的な思想が強い方ではございませんのであしからず。ただこの世にある素材を様々組み合わせて歌詞を作るのが好きだっていうだけです。   そういう、どこからでも素材を持ってきて歌詞にするからか、自分の場合、歌詞を書くと自然に「この時代を生きていて今感じてること」が混じってきます。なので「メッセージの強い曲にしよう」とか「時代を反映しよう」っていうことはあまり考えていません。   考えてはいないんですが、逆に「普遍的なものにしよう」とも思っていないので、振り返ると「あぁ、あの頃の感じがするなぁ」と、自作の歌詞を読むと思ったりしますね。そこに唐突に時空を超えたような題材がミックスされたりするので、ウチの味はちょっとクセが強いかもしれません。   そんな感じでしょうか。いやぁ、しかしニューアルバムの歌詞はどれもとても良いのでぜひ聴いてみてくださいね!それではまた「アントロギア」の世界でお会いしましょう。   <菅波栄純(THE BACK HORN)> ◆紹介曲「 ウロボロス 」 作詞:菅波栄純 作曲:菅波栄純 ◆ニューアルバム『アントロギア』 2022年4月13日発売   <CD 収録内容> 01. ユートピア 02. ヒガンバナ 03. 深海魚 04. 戯言 05. 桜色の涙 06. ネバーエンディングストーリー 07. 夢路  08. 疾風怒濤 09. ウロボロス 10. 希望を鳴らせ 11. 瑠璃色のキャンバス 12. JOY  

    2022/04/07

  • 半崎美子
    過去から託された大切なメッセージを歌にして未来へと手渡していく。
    過去から託された大切なメッセージを歌にして未来へと手渡していく。

    半崎美子

    過去から託された大切なメッセージを歌にして未来へと手渡していく。

     メジャーデビュー5周年を迎える“半崎美子”が、2022年4月6日にニューシングル「蜉蝣のうた」をリリース。タイトル曲の作詞作曲を手がけたのは森山直太朗。儚くも力強いメロディーと、忘れ得ぬ思い出を慈しむような歌詞となっており、「言葉にできない思いを歌う、声なき声を聴く」半崎の音楽活動にもリンク。歌い手として新たな表現が生まれました。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“半崎美子”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 地球へ 」に通ずるお話です。歌手・本田美奈子.が自然との共生を願い書き記した散文からメッセージを受け取り、半崎が書き下ろしたハートフルなバラード。そこに込めた想いとは…。 影響を与える才能と影響を受ける才能。   私は間違いなく後者の才能があると薄々気づいていました。   アーティストであるならば、影響を与えてこそと思われるかもしれませんが、よくよく振り返ってみると、歌手という夢を強く意識した時も、北海道から上京を決意したときも、自分で曲を書き、歌い始めた頃もずっとあらゆる人に、事象に、音楽に、影響を受け続けてきました。   自分で楽曲を書いていても自分で書いているような気がしないのは、誰かの思いを歌にしているからであり、その人に書かせてもらっているような感覚があるからだと思います。   自分の思いを表現するのではなく、あなたの思いを歌にする。   託された言葉を歌にする。   自己を手放すことで表現する、それが私の自己表現であると。   私自身は器となって、出会った方達の大切な声を、声なき声を受けとっていきたい。   一昨年、そんな思いをまた一つ形にする機会に恵まれました。   歌手の本田美奈子.さんの思いを引き継ぐ活動「LIVE FOR LIFE」が、毎年開催している本田美奈子.さんのメモリアルコンサートで歌うテーマ曲の制作依頼です。   本田美奈子.さんが生前に遺されたいくかの散文の中にあった「地球へ」に触れた時、どこか予言的であり、祈りにも似たこのメッセージを歌にしたいと強く思いました。   地球という一つの星、地球という一つの命の声を聴く。   きっと本田美奈子.さんの受信力は万物に対して働いていたのだと思わずにはいられない。   森のささやき、海の祈り、山の便り、空の願い、鳥や虫たちの声を、聴くことができる人であったのだと。   多言語を聞き取れるというのは、なにも外国語だけに限らない。   親が赤ちゃんの言葉を理解できるのは、側にいて常に気にかけているからであり、何を求めているのかわかるようになっていく。   共に暮らすペットの言葉もきっと聞き取れる。観察し、気にかけることで変化に気づける。   言葉を介さずともみんな語っている。   そこに対話が生まれる。   亡き人の声も聞こえてくる。   耳を澄ますことで聞こえてくる小さな声を、私も受け取れる人でありたいと常々思う。   一人一人がそういう気持ちでいたならば、本田美奈子.さんの願う形の共生が、いつか叶う日がくるかもしない。   過去から託された大切なメッセージを歌にして未来へと手渡していく。   「地球へ」がまた何年後かの未来で誰かに受け取ってもらい、手渡されていくことを願いながら。 <半崎美子> ◆紹介曲「 地球へ 」 作詞:半崎美子 作曲:半崎美子 ◆ニューシングル「蜉蝣のうた」 2022年4月6日発売   <収録曲> 1.「蜉蝣のうた」 2.「地球へ」 3.「私に託して」 4.「地球へ 合唱ver.」  

    2022/04/06

  • LEGO BIG MORL
    自己否定。
    自己否定。

    LEGO BIG MORL

    自己否定。

     2022年3月16日に“LEGO BIG MORL”が、ニューアルバム『kolu_kokolu』をリリースしました。このアルバムは、バンドの結成15周年を記念した、メジャー復帰第1弾作品。昨年配信リリースされた「潔癖症」「愛を食べた」のリマスタリング音源、新曲8曲の全10曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“LEGO BIG MORL”のタナカヒロキによる歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回が最終回です。綴っていただいたのは、作詞をする際の「決め事」について。そして、今回のアルバム曲でおこなった、自身の過去の歌詞に対する「自己否定」についてのお話。ぜひ、今作の歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください…! 同じ歌詞の中に「僕」と「私」の両方の一人称が出てきたら違和感がありますか? それが文字数やリズムの都合だけで使い分けられていると美しくない気がするのです。   ちなみに個人的な話になるが、僕は歌詞で「俺」を使ったことがない。しかし、LEGO BIG MORLの歌詞に「俺」が出てくる曲がある。「 memento 」だ。これは15周年のLEGOの歴史の中でボーカルのキンタが歌詞を書いた2曲のうちの1曲だ。   僕も私生活で「俺」を使うことはあるが、歌詞になると「僕」が一番座りがいいのだ。しかし歌う本人が歌詞を書くと自然と一人称が「俺」になったことは横でそれを見ていた僕にとって興味深かった。   もちろん歌詞に正解はないし、ルールもない。かっこよければいいという、「それを言っちゃあ、お終えよ理論」をさらりとかわし、アイデンティティを刻み込む。歌詞なんて誰でも書ける。でも僕じゃないとダメな理由を突き立てるのだ。   気をつけていることがある。それは自分の中でのルールとまでは言わないものだ。年々変化するし、増えていったものもあるし、実行できなかったものもある。さっきのLEGOでは「俺」を使わないのもその1つ。無意識で体が勝手に気をつけているものもあるが、今思いつくものを並べてみようと思う。     ●共感を求めない  あるあるネタ合戦ではないのだ。  書くべきことを書いた上で共感がついてくるなら嬉しい。    ●上手いこと言おうとしない  大喜利ではないのだ。  僕の場合はそれをやるとオナニーになり駄文になることが多い。    ●言葉の都合を押し付けない 僕が書いているのは詩ではなくで歌詞だ。  良い歌にするために歌詞がある。  音符とリズムとタッグを組むのだ。   ●ボーカルの口の開け方に注意する  自分が歌わないからこそ気をつけたい。  伸びやかなメロディの語尾や叫びのような語尾はなるべく、イ段やウ段は避けてあげたい。   ●嫌なところを突く   毒にも薬にもならない歌詞は無言と同じだ。    ●揚げ足取るんじゃなくて物事の軸足ごと蹴り上げる  木を見て森を見ずにはなりたくない。     偉そうに並べましたが、これら全て実践できているわけではないし、このエッセイを提出した後にも、「あ!あの決め事もあったのに!」とか思い出すのでしょう。 如何せん15年も歌詞を書いているのだ。自転車の乗り方や注意点を1から言語化してみろと言われている気分になる(誰も言語化しろとは言ってない)。   今回のアルバムの曲の歌詞で僕は過去の自分を否定した。「 ただそこにある 」という曲のサビでの歌詞はこうだ。   「あなたのため」 その言葉はどこで聞いても美しくない   しかし、今回の新しいアルバムのリード「 心とは 」の歌詞ではこんな事を書いている。    刃は研いだら隠しておけ それを抜く時は あなたのため   「あなたのため」という言葉を否定したり肯定したりしている。 もう1つ。「 大きな木 」という曲がある。僕らのベストアルバムにも入っているから聴いて欲しいが、そこにはこんな歌詞がある。   届け 君の奥の方へ 溶けてなくなるように 僕らはすべて混ざり1つになる   しかし、今回の新しいアルバムの「 Gradation~多様性の海~ 」という歌詞ではこんな事を書いている。    僕らは違うから そのまま 一つになれない だから愛し合う   ひとつになったり、なれないと言ったり。 「あなたのため」も「ひとつになる、ならない」も僕はどちらも正しいと思っている。    先のエッセイでも書いたように僕は日常を、心を書いているつもりだ。 整合性を取ろうとしたり、その辻褄の合ってなさを隠したいという人間らしい揺らぎはもちろん僕にもある。それなのに、その自己否定すら書けた。どちらも正しいと思っているのだから本当は自己否定ではないのだが、そう思われてもおかしくない。   「あいつ言っていること違うやん」   僕はそれをわかった上で書いたし、だからここにも書いている。日常を、心を、人間を書こうということは、矛盾を描く作業なのかもしれない。   最後に歌詞で「あなた」と「君」の二人称はよく使われるだろう。他の作詞家がどのように使い分けているのかはわからないが、僕には僕の中での決め事がある。    それは種明かしをしないまま、「あなた」に判断を委ねようと思う。 <LEGO BIG MORL・タナカヒロキ> ◆New Album『kolu_kokolu』 2022年3月16日発売   <収録曲> 1. ラブソングを聴いてしまった 2. Hello Stray Kitty 3. 潔癖症 (Remastered version) 4. 心とは~kolu_kokolu~ 5. Gradation~多様性の海~ 6. 痛い春 7. アソビ 8. 愛を食べた (Remastered version) 9. 分かつ 10.タイムマシン

    2022/04/05

  • 優河
    絶対に夜は明けるから。
    絶対に夜は明けるから。

    優河

    絶対に夜は明けるから。

     2022年3月23日に“優河”がニューアルバム『言葉のない夜に』をリリース。タイトルには、アルバム制作に費やしたこの2年の想いが込められております。聴くものの心を震わせる唯一無二の歌声と、紡ぎ出す心象と心情の描写で織りなす世界観が高い評価を得る彼女。ドラマ『妻、小学生になる。』主題歌「灯火」も大きな話題に。    さて、今日のうたコラムでは、最新作を放った“優河”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 夜明けを呼ぶように 」に通ずるお話。自分で自分を大切にできない、自分を認めてあげられない、そんなあなたへ。歌詞と併せて、このエッセイを受け取ってください。 ちょっとした言葉や景色 誰かの表情や声色で 硬くがんじがらめになっていた心がふと 解れることがある     この数年間思い返せば私はずっと 迷い子のような気持ちだった 体の真ん中にあるはずの心が どこか遠くへ行ってしまっているようで   放っておくとどんどん歌から離れてしまって 私って何ができたっけ  何かできるっけ という言葉を胸の奥で繰り返し 繰り返せば繰り返すほど 胸が硬い鋼でぐるぐるに縛られていくようだった     自分で自分の価値をきちんと認めてあげることは 誰かに自分を認めてもらうより難しいのかもしれない 私は誰かに自分の価値を 自分の思っている分 目に見えるように 認めてもらいたかったのだと思う     私はそんな気持ちで数年過ごしてしまったけれど やっぱりこのままじゃいけないと思って 魔法バンドとコンタクトを取ったのが今作のきっかけ   魔法バンドと会話を重ねていく中で 音を重ねていく中で 今まで閉まりきっていた扉が開いて そこにさっと光が流れ込んできたようだった     自分で自分を大切にできない時は 体が冷えて寒くて 誰もいない夜のような感じがする だけどそこから抜け出すきっかけは 案外日常の中にたくさん散りばめられているのだと思う     ちょっとした言葉や景色 誰かの表情や声色 どんなに些細なことでも 心がほぐれていくきっかけは どこかにきっとあるから 絶対に夜は明けるから     無理に探そうとしなくて大丈夫 そういう気分になったら散歩に行くような気持ちで 少しの時間 世界と目を合わせてみると 心にさっと光は流れ込んでくるから   絶対に夜は明けるから 大丈夫 < 優河> ◆紹介曲「 夜明けを呼ぶように 」 作詞:優河 作曲:優河 ◆ニューアルバム『言葉のない夜に』 2022年3月23日発売   <収録曲> 1.やわらかな夜 2. WATER 3. fifteen 4.夏の窓 5.loose 6.ゆらぎ 7. sumire 8. 夜明けを呼ぶように 9. 灯火 10. 28

    2022/04/01

  • 日食なつこ
    meridian
    meridian

    日食なつこ

    meridian

     2022年3月30日に“日食なつこ”がニューアルバム『ミメーシス』をリリース。今作は、多岐にわたるジャンルからさまざまな感性を吸い上げ、“擬態”をテーマに作り上げられました。「この世界たちをいま音と言葉で自分なりになぞったら絶対面白い曲が書ける!」という強いアウトプット欲が生んだ全13曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“日食なつこ”による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第2弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 meridian 」のお話です。 光が空に満ちた日 それを望んではいなかった誰かの絶望   高校3年生の時に「meridian」という曲を書きました。当時たいへん勉強のできる同級生が、その成績の良さだけで半ば強制的におりこう大学への進学を勧められ続けており、「本当は違う道に進みたいのに進路指導や担任のゴリ押しが強すぎて断れない」というようなことを女子トイレで泣きながら話してくれました。   ぶっちゃけその子とは特別仲が良かったわけでもなんでもなく、悩みを打ち明け合えるほど親密な関係を築けていたわけでも全然なく、クラスも部活も交友関係も別。今思い返すと一体どういう経緯であの子の胸中を女子トイレで聞くような流れになったのだったか全く思い出せないのですが、本当の意味で賢い同級生が絞り出したそんな嘆きを、特段賢くもなんともなかった私は何故か聞いていたのでした。   当時の私は教科によってはテストで学年最低点を取れちゃうようなもう誰からも何の期待もされていないような存在で、学校の行事なども既に気乗りしなくなってきていたのでライブや音楽オーディションの予選日程をわざとぶち当てて休んでみたりして、文武両道のスローガンに勤しむ同級生たちにこれ以上ない不信感と不愉快さを振り撒きながら過ごしていた出来の悪い逆流みたいな生徒でした。もう少し上手く立ち回れたんじゃないかという苦々しさと、それでもよくやりきったなその姿勢でという気持ちと、振り返るならば半々です。   とりわけ辞書を使う科目、英語や現文、古文、漢文なんていう授業では、ろくすっぽ話も聞かずに延々と辞書をめくり続けて面白そうな単語を探しては「これは曲に使える!」なんて目を輝かせながらノートの端っこばかりをその類の言葉で埋め尽くして、そうやって日々を何とかやり過ごしていたような時代でした。   その単語ストックの中に「meridian」という言葉がありました。太陽が最も高く昇った瞬間のことを指すその英単語は、陽光を浴びて光り輝く“難関大学○○名合格!”の立て看板や垂れ幕、それを絶やすことを恐れて生徒に迫る学校の姿勢そのものを揶揄する言葉のように当時の私の目には映りました。   光を望まない者たちが見据える影の道の存在など考えもしない、隠れ場所を見失って溶ける嘆きに気が付くこともない、導き終えたその先の未来にはもう興味がない、そんな先導者たち。   生徒が身を削ってようやっと打ち上げる光のことを、この学校は一体何年先まで覚えていてくれるんだろうか? 暗がりの女子トイレで吐露された悲しみのことを、私だっていつまで忘れないでいられるんだろうか?   乾いた壁に吸い込まれていくように続く啜り泣きの向こうで、太陽の光がすりガラスに当たって、幻のように揺らめいていました。   結局あの子は散々勧められたおりこう大学へと見事進学を果たしました。一度だけフェス会場で偶然会ったことがありましたが、案外元気そうにしていたのでまあよかったのかもしれません。   Twitterのフォローをいつの間にか外されていたのを確認した日を最後に連絡手段が潰えたため、幸福だろうとそうでなかろうと、あの子の行く末を知る機会はもう当分なさそうです。 <日食なつこ> ◆紹介曲「 meridian 」 作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ ◆4thフル・アルバム『ミメーシス』 2022年3月30日発売   <収録曲> 1. シリアル 2. √-1 3. クロソイド曲線 4. meridian 5. 必需品 (album ver.) 6. 夜間飛行便 7. vip? 8. un-gentleman 9. hunch_A (album ver.) 10. 小石のうた (Natsuko singing ver.) 11. 悪魔狩り 12. うつろぶね 13. 最下層で

    2022/03/31

  • カノエラナ
    あたしのお腹がどうしてこんなに永遠に満たされないのか。
    あたしのお腹がどうしてこんなに永遠に満たされないのか。

    カノエラナ

    あたしのお腹がどうしてこんなに永遠に満たされないのか。

     佐賀県出身のシンガーソングライター“カノエラナ”が2022年デジタルシングル3作連続リリース!その第3弾シングル「グラトニック・ラヴ」を3月30日にリリース!<グラトニー(暴食)>×<プラトニック・ラヴ(精神的恋愛)>を掛け合わせた造語で、ジャジーな昭和歌謡を彷彿とさせる<肉食系女子>の妖艶な恋愛模様を描いた1曲です。    さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“カノエラナ”による歌詞エッセイをお届け。今回が最終回。綴っていただいたのは、今作「 グラトニック・ラヴ 」に通ずる想いです。心地よさ、目まぐるし、痛み、虚しさ、様々な感覚が<あたし>を巡るなか、<お腹が減る 何か口に入れなければ>と絶えず繰り返される本能の欲望…。歌詞と併せて、「 グラトニック・ラヴ 」の世界をご堪能ください。 香は煙を縦に引っ張り やがて広がり溶けていく 空気の真中(まなか)で絡まる密度は 思った三倍心地が良い そろそろ時計がゾロ目を弾いて また巡り擦り離れてく 戸棚に飾った愛の痕跡は 戦利品とでもいうべきか   ーお腹が減るー ー何か口に入れなければー ひもじいとヒトは誰だって 生きては行けないのだから   変わらない日々に口付け食んでは 切り込みを入れてまた閉じる 裁縫道具は細胞の奥に 返し縫い還(かえ)しあたたかい 眼鏡に適ったようでよかったよ どうせ明日には無いけれど 戸棚に飾った本当の証 これだけがあたし 確かだもん   ーお腹が減るー ー何か口に入れなければー さびしいとヒトは誰だって 生きては行けないのだから   それから何度も色んな夜中を 誰これ構わず歩いたよ 化学繊維塗れのネオンの城 いつだってあたしお姫様 酒に酔うヒトも明日迷うヒトも 金が有るヒトも無いヒトも ひとたび脱いで手繰って配ったら ほらもう誰がjOKERでしょう   ーお腹が減るー ー何か口に入れなければー 等しいとヒトは誰だって 生きては行けないのだから   なんだかお外が騒がしくなった 嗚呼ヤダ五月蝿い 夜なのに 真っ赤な光がチカチカ迫って 目が回る地球ごと廻る 郵便受けにはぎゅう詰めのチラシ 裏紙にだってなりゃしない 戸棚に飾ったフイルムの写真 深紅に隠して蔵(しま)わなきゃ   ーお腹が減るー ー何か口に入れなければー 限界を超えたら誰だって 好き嫌いはしないのだから   ーいただきますー ーごちそうさまー 嗚呼でもなんだか今日の食事は 凄く薄味だったなぁ   散々暴れて千切って裂いたら 全部全部思い出したよ あたしのお腹がどうしてこんなに 永遠に満たされないのか ねぇダーリン君はあたしに言ったよ ずっと一緒に居てくれると それなのに君は嘘ばっか吐いて 終いには逃げてしまったね あの子のどこがそんなに良かったの? あたしちっとも分かんないよ 運命に出会った様な顔して 平穏平気で棄て去った 散々殴って砕き嫐ったら 全部全部思い出したよ あたしの心をこんなにしたのは 戸棚の奥底マイダーリン   ーお腹が減るー ー何か口に入れなければー おかしいねアタシ今絶頂 生きてる感じがするんだ   ーいただきますー ーごちそうさまー 嗚呼そろそろ満開になる頃か それとも散って去った後か   飽きず桜の下に群れるヒトは 埋まった命に気付かない <カノエラナ> ◆紹介曲「 グラトニック・ラヴ 」 作詞:カノエラナ 作曲:カノエラナ

    2022/03/30

  • LEGO BIG MORL
    心とは。
    心とは。

    LEGO BIG MORL

    心とは。

     2022年3月16日に“LEGO BIG MORL”が、ニューアルバム『kolu_kokolu』をリリースしました。このアルバムは、バンドの結成15周年を記念した、メジャー復帰第1弾作品。昨年配信リリースされた「潔癖症」「愛を食べた」のリマスタリング音源、新曲8曲の全10曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムでは、最新作を放った“LEGO BIG MORL”のタナカヒロキによる歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第2弾です。綴っていただいたのは、収録曲「 心とは~kolu_kokolu~ 」に通ずるお話。どうして彼らはずっと、心や心臓を歌い続けているのか。そして、心とは一体なんなのか。そんな問いを考えながら、この歌詞とエッセイを受け取ってください。 心とはどこにあると思いますか? 誰かを想う頭か、誰かを想うと痛くなる胸か。   聴診器を胸に当てる。うちのボーカルの心臓音がマイクを通してパソコンの画面で波形になる。僕らのデビューアルバムの冒頭はドクンドクンと心臓音が聞こえた後1曲目のイントロが流れる。   心とか、心臓とかずっと歌っている。僕が歌詞を書いているのでその辺の苦情やご意見は僕に言って欲しい。他のメンバーに責任はございません。LEGO BIG MORLの歌詞は心、心臓などの言葉が多い。生死、光と闇などを歌う僕らにとってそれらを感じる心という概念は避けれないのだ。   しかし改めて思った。 心とはなんだろうか。 そんな臓器はないし、気持ちを味わう上では脳がある。 心とはどこにあるのだろうか。   もし心臓が打つ鼓動の数が生涯で決まっているとしたら。そんな空想の元、書いた歌詞がある。「 end-end 」という曲だ。タイトルは終わりから終わりへ。始まりから終わりや、終わりからまた始まりへ、みたいなテーマはよくあるとは思う。しかしこれは「終わりからまた次の終わりへ」がテーマだ。   そのテーマと空想を組み合わせたこの曲は、鼓動の数が決まっているが故に心拍数をあげないように生きるのか、短命でもトキメキを追い求めて死んでいくのかという物語である。これもまた心臓の話だ。   バンド結成10周年のタイミングでリリースされたアルバム『心臓の居場所』。これは心臓の“場所”ではなく“居場所”なのだ。心臓というものに人格があるが如く、僕という人格の中にまた小さな心臓という人格があるが如く。彼はここにいるよと毎日、毎秒、胸の少し左側で叫んでいる。 その叫びはトキメキとも呼ぶ。ドクンドクンと。   心とはなんだろうか。15年も心を歌っているのにまだわからない。まず「心」の語源を調べてみた。禽獣の臓物を見てコル(凝)やココルなどと言ったことが始まりとある。後に、人の内腑の通称を経て精神を表す意となった。諸説あるそうだ。昔の人は心が内臓に関与すると考えていたのだろうか。   何も壮絶な死生観ばかりを歌いたいわけではない。心や心臓というと、どうしても壮大で厳かな雰囲気を纏ってしまう。しかしコーヒーを飲んだり、ソファに寝そべったり、電車に揺られたり。そうしながらもこれを読んでいるあなたの心臓は今も脈打っているのだ。それは日常の話だ。    LEGOは心とか、心臓とかずっと歌っている。それはLEGOは日常をずっと歌っているということなのだ。喜怒哀楽も、恋も、美しい景色も、底がないような絶望も、ドラマも、それは全て日常の中にある。それを掬い上げ歌詞にしているつもりだ。   これは答えではない。 たぶん死ぬまで答えを導き出せない。  それでも書き続ける。    15年間書き続けて、今提示できるものが「 心とは 」という曲の歌詞にある。明日には違うことを書いているかもしれない。その矛盾や揺らぎすらも「心」みたいで愛おしい。  <LEGO BIG MORL・タナカヒロキ> ◆紹介曲「 心とは~kolu_kokolu~ 」 作詞:LEGO BIG MORL 作曲:LEGO BIG MORL ◆New Album『kolu_kokolu』 2022年3月16日発売   <収録曲> 1. ラブソングを聴いてしまった 2. Hello Stray Kitty 3. 潔癖症 (Remastered version) 4. 心とは~kolu_kokolu~ 5. Gradation~多様性の海~ 6. 痛い春 7. アソビ 8. 愛を食べた (Remastered version) 9. 分かつ 10.タイムマシン

    2022/03/29

  • ダズビー
    声の在り処、私の在り処。
    声の在り処、私の在り処。

    ダズビー

    声の在り処、私の在り処。

     2022年3月2日に“ダズビー”が1stデジタルシングル「声の在り処」をリリースしました。2011年からニコニコ動画で“歌ってみた動画”の投稿を始め、ボカロPをはじめ様々なジャンルのJ-POPをカバーし、独特な存在感と圧倒的な歌唱力で人気上昇中! 今作の作詞には本人も参加。デビューに向け未来へ一歩踏み出す想いが込められております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“ダズビー”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、今作「 声の在り処 」についてのお話です。初めての作詞にどのような気持ちで臨んだのか。そして、どのようなメッセージを込めたのか。ぜひ、歌詞と併せて受け取ってください。 2022年3月2日、私ダズビーのデビュー曲「声の在り処」がリリースされました。   初めて作詞に参加しましたが、初挑戦でしたので、相当勇気が必要でした。   伝えたいことをまとめて歌詞として書くことは、私にとってとてもワクワクする作業でしたが、「素敵な歌詞を書きたい」というプレッシャーや色んな思いが頭の中をくるくる回り、途中からは、「やはり歌詞を書くことって難しいな、、」と思ったりもしました。   今まで長い間、ずっと楽曲カバーをメインにした活動をしてきましたが、今回のデビュー曲では、カバー曲で表現できなかった「本当の私」「私の内面」をリスナーの皆さんに伝えたかったです。鏡のように、この曲を通じて自分自身を見つめたいという気持ちもありました。   そこで、私だけの「新しい世界」を作っていく作業を始めました。   私の中の抽象的な感情を分かりやすくまとめたいと思いましたし、一つのテーマの中で、色々な素材を使って私の感情を表現したかったです。   普段私が好きな素材をたくさん込めて、まだ形が整ってない何かを手探りで確認するような感覚で、私だけの世界観を作ってみましたが、作詞は初めてでしたし、私自身を振り返って歌詞を書いたり、自分の世界を創造するのは、想像以上に難しかったです。   時間をかけて歌詞を何度も修正したり、ストーリーの肉付けをしたり、整えていく作業を経て、私の心の中の星を見つけることができました。   「声の在り処」は、皆さんを私の世界に案内する道しるべのような曲です。これからもこの世界観をベースにして、様々なジャンルにチャレンジしていきたいと思います。   MVにも私が考えた世界観に関してのヒントが隠れていますので、探してみてくださいね!   メロディーについてもお話させてください。   レーベル側からもらったたくさんのデモ曲を聞いてみましたが、この曲を初めて聞いた瞬間、思わず感嘆の言葉が出てきました。イントロはエモーショナルな感じだったのに、突然ビックバンドが入って堂々とした雰囲気に変わっていく構成に惚れまして、この曲に決めました。   最初はサビのメロディーと2のVERSEがなかったのですが、作曲家さんと何度もコミュニケーションを重ねて、今のメロディーに完成することができました。   レコーディングも何度も繰り返しました。レコーディング中に歌詞を変えたり、もっと派手な感じにしたくてコーラスやハーモニーを追加したり、この曲を通じてたくさんのことをお伝えしたかったです。この曲の全てが聴きどころになってほしいと思いながらレコーディングしました。   その悩みと努力が実って、皆さんにも伝わったらいいなと思います。   これからも新しいことにどんどんチャレンジしていきたいと思います。色々と準備していますので、暖かく見守ってくださいね。 <ダズビー> ◆紹介曲「 声の在り処 」 作詞:ダズビー・REQ 作曲:木下龍平

    2022/03/28

  • 優河
    ただ喉を貸しているだけ。
    ただ喉を貸しているだけ。

    優河

    ただ喉を貸しているだけ。

     2022年3月23日に“優河”がニューアルバム『言葉のない夜に』をリリース。タイトルには、アルバム制作に費やしたこの2年の想いが込められております。聴くものの心を震わせる唯一無二の歌声と、紡ぎ出す心象と心情の描写で織りなす世界観が高い評価を得る彼女。ドラマ『妻、小学生になる。』主題歌「灯火」も大きな話題に。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“優河”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第2弾です。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 WATER 」のお話。ふと降りてきたワンフレーズ。その一文からどのような気持ちが生まれ、歌詞が広がっていったのでしょうか…。 'Take me to the water and you know'     声が重なることの美しさをやっと知った私は コーラスからだって曲を書いて良い、という当たり前のようなことが とても新鮮で嬉しかった、のと同時に 具体的な言葉をつけていくことが出来ずにいた   幾重にも重ねた声の中に いくつもの言葉が隠れているようで   それは気持ちなのか 景色なのか 香りなのか記憶なのか   考えているうちに、ふとこの言葉が降りてきた   'Take me to the water and you know'   私はなんのことかわからなかったけれど とにかくこの一文でメロディをつなげていった   言葉の聞き心地も悪くないし歌い回しもとても好きだったけれど 流石にこの一文で歌にする勇気は出ず 気分転換に散歩することにした     いつも歩いている道に水の湧く一角がある 私はそこが大好きで いつものようにぼうっと目を瞑ると   'Take me to the water and you know'   この言葉がまた心に現れて 水の湧く音に体の中が洗われているような気持ちになった   'Take me to the water and you know' '私を水辺に連れて行って そしたら分かるわ'     水の湧く音に耳を澄まして せせらぎに身を委ねる   深呼吸を数回して 私は家に帰ってこの曲の歌詞を書き上げた     曲の持つメロディが 訴える心が 気持ちが それを受け取る人の体を通して人々に伝わる   私はなんでもないのだ ただ喉を貸しているだけ   曲という存在が 私というちっぽけな人間より遥かに大きくて豊かな存在であることを 一つの文を通して思い知らせれたようで   なんだか不思議な体験だった <優河> ◆紹介曲「 WATER 」 作詞:優河 作曲:岡田拓郎・優河 ◆ニューアルバム『言葉のない夜に』 2022年3月23日発売   <収録曲> 1.やわらかな夜 2. WATER 3. fifteen 4.夏の窓 5.loose 6.ゆらぎ 7. sumire 8. 夜明けを呼ぶように 9. 灯火 10. 28

    2022/03/25

  • 日食なつこ
    √-1
    √-1

    日食なつこ

    √-1

     2022年3月30日に“日食なつこ”がニューアルバム『ミメーシス』をリリース。今作は、多岐にわたるジャンルからさまざまな感性を吸い上げ、“擬態”をテーマに作り上げられました。「この世界たちをいま音と言葉で自分なりになぞったら絶対面白い曲が書ける!」という強いアウトプット欲が生んだ全13曲が収録されております。    さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“日食なつこ”による歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第1弾。綴っていただいたのは、今作の収録曲「 √-1 」に通ずるお話です。 血色の悪い真っ青な手とひび割れそうな真っ赤な手で いくら手繰って寄せ合ったって存在しない数を   漫画を読み耽っていた最中に飛び込んできたのは同業仲間の訃報でした。   連絡をくれたのはマネージャーで、「ニュースサイトなどで知るよりもよいかと思いまして」と普段にも増して一層の気遣いを見せてくれたことが今となっては本当にありがたかったと思います。ネット上でいきなりその報せに出会した日にはどれほど動揺したことかわかりません。   ともあれ、その訃報に頭のどこかが大きく抜け落ちたような気分になりながら、ひとまず「ご一報ありがとうございます」とだけ返信をしました。信じられなかったというよりも、理解にひどく時間がかかった、という状態でした。空っぽになった頭をそのまま放置しておくとよくない感情に入り込まれそうな気がして、何かを振り切るように漫画の続きに戻りました。   読んでいる間は漫画の世界にのめりこんでいました。その時読んでいた箇所は作中でも重要な過去編にあたり、そこそこの衝撃展開の連続に時間も忘れて没頭し、買いためていた数冊分をひといきに読破して、最後の一冊を山の上に積み上げて、はたと現実に戻りました。静かな部屋の中でした。つい数ヶ月前にラジオで私の曲をかけてくれていたばかりでした。スマホには連絡先が残っていて、送ろうと思えば知らないふりをして普通に連絡ができる状況でした。マネージャーから届いた報せの文面が目の奥に浮かんでは消えていきます。   口をついて出たのは子供じみた言い訳でした。「最新巻までの残り数冊、今からぜんぶ買いに行こう」。気がついたら車に乗り込んで家を出ていました。自宅から市街地の大型書店へは片道1時間。けして気楽な距離ではありません。ひたすらに車を走らせどこにも辿り着けないままに思考し頭を何かで埋め立て続ける時間が、あの時冷静なふりをして実は全くもって混乱しきっていた私には必要だったのだと思います。   市街地に近づくにつれて帰宅時間帯にさしかかった道路は混み始め、やがて渋滞にはまった私は坂道の途中でブレーキを引いて車を止めました。西へ向いたフロントガラスいっぱいに、ひび割れたような雲からにじんだ真っ赤な夕焼けが広がっていました。   かなしい絶景をぼうっと見上げながら、ふと自分の手がひどく冷えきっていることに気がつきました。血色の悪い手は暗い車内で青白く浮かび上がり、それでもハンドルを握って目的地に辿り着こうとする意志を見せていました。何一つままならない生き物の手でした。   あの空の向こうにひとりあがりしてしまった人。   …得心して見送るような気持ちには、今もまだ至っていません。 <日食なつこ> ◆紹介曲「 √-1 」 作詞:日食なつこ 作曲:日食なつこ ◆4thフル・アルバム『ミメーシス』 2022年3月30日発売   <収録曲> 1. シリアル 2. √-1 3. クロソイド曲線 4. meridian 5. 必需品 (album ver.) 6. 夜間飛行便 7. vip? 8. un-gentleman 9. hunch_A (album ver.) 10. 小石のうた (Natsuko singing ver.) 11. 悪魔狩り 12. うつろぶね 13. 最下層で

    2022/03/24

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