声をあげている「少数派」は本当に少数派なのか?

 2022年4月27日に“伊東歌詞太郎”がニューシングル「サイレントマイノリティー」をリリースしました。タイトル曲は、TVアニメ『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』のオープニングテーマです。声をあげなくともそこに確固たる意志を持って存在する静かなる少数派たちを鼓舞する渾身の一曲となっております。
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“伊東歌詞太郎”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、新曲「サイレントマイノリティー」にまつわるお話です。「多数派」と「少数派」を考える前に、一度、立ち止まって考えるべき「サイレントマイノリティー」の存在とは…。楽曲と併せて、このエッセイを受け取ってください。



今回初めてこちらの記事を書かせていただきます伊東歌詞太郎と申します。
 
こういった歌詞サイトの中にアーティストがコラムを書くコーナーがあることを初めて知りました。僕も歌詞を検索することはあり、ここのサイトにはお世話になっていますが、まさかこういったコラムがあるとは知りませんでした。
 
今ここを見てくださっているあなたは伊東歌詞太郎の熱心な音楽リスナーか、そうでなければ検索リテラシーが非常に高い方かのどちらかと思います。
 
もしどちらでもないとしたら、不思議な縁でこのページを見ているということになりますね。
 
 
さて、歌ネットさんということで、やはり歌詞に関してお話しさせてください。
 
2022年4月27日に「サイレントマイノリティー」という楽曲をリリースさせて頂きました。そのご縁でこのコラムを執筆する運びになったというわけです。
 
なのでこの楽曲について書きます。
 
この楽曲はとあるアニメのオープニングテーマとしてタイアップをいただいた楽曲です。
 
そのアニメは特殊な能力を何一つ持たない平凡な脇役中の脇役、つまり「モブキャラ」が主人公で、そんなモブキャラが主要キャラクターに対して言論など頭を使ってなんとか抗っていく、という内容のアニメです。
 
能力に差があるのでかなり知略のかぎりを尽くして戦っていくさまが面白いのですが、けっこう最後は普通の暴力に訴えていたりするところは、アニメ的でそれもまた、という感じでストーリーが進むのです。
 
僕自身これまで生きてきて、人間という生き物は自分の利益のためなら他人をいかに踏み台にしても構わないという考えの人が予想より20倍くらいいることにずっと驚いたり傷ついたりしながら生きています。
 
もちろん傷ついてばかりもいられないので、ここ数年はそういう世の中である、という風に受け止める努力をしています。
 
100人いたら2~3人はいるかな?くらいに思っていたら意外と50人くらいはいるな、という感覚です。
 
人それぞれの生き方ですから客観的に良いか悪いかを言うことはできませんしするつもりもないんですが、僕自身はそういう生き方に嫌悪感を抱く生き方をしています。主観的には本当に嫌なんです。
 
自分が得をするため、周りからすごいやつだと思われたり、お金をたくさん得るためだったり、モテるためだったり、そのために平気で嘘をついたり、嘘と言えないまでも話を盛ったり大風呂敷を広げたりする(僕はこれも嘘と感じていますが)。
 
こういう人が本当に僕は苦手です。
 
しかしながらこういったことは先ほど述べた通り意外と多数派なんです。
 
もしあなたもさっき僕が語った心情に共感してしまっているなら、あなたも僕も少数派であると自覚しないといけません。
 
 
少数派は生きていく上で大きなハンデになります。
 
ここ最近の時勢は、少数派が生きていきやすいような流れができているように思われがちですが、二つ立ち止まって考えるべきことがあります。
 
 
声をあげている「少数派」は本当に少数派なのか? 
 
嘘をついて少数派を装っているだけではないのか? 
 
そして、声をあげられない少数派、「サイレントマイノリティー」こそ本当の少数派なのではないか?
 
 
この2点です。
 
 
「多数派(マジョリティー)」と声を上げている「少数派(マイノリティー)と思われるもの」の間で最も傷ついているのは、「サイレントマイノリティー」であることに気が付かなければいけない。
 
 
多様性とは、自分の権利を主張することではなく、さまざまな立場の権利を考え合うことであり、たとえ少数派であっても多数派に対して刃を向けてしまうのは「多様性」ではなく「分断」です。
 
 
多くの人がここに気が付かなければ多様性のある社会の実現は不可能だと僕は思っています。
 
この楽曲の歌詞はそういったことに対する僕の表現が詰まっています。
 
この歌ネットで歌詞を読んだ後に、曲を一度フルで聴いてみてください。
 
最後はわがままを言うだけで申し訳ないのですが、僕はアーティストであり、作品を聴いてもらえることが本当に嬉しいので、お願いだから聴いてみてください!
 
 
<伊東歌詞太郎>



◆紹介曲「サイレントマイノリティー
作詞:伊東歌詞太郎
作曲:伊東歌詞太郎

◆ニューシングル「サイレントマイノリティー」
2022年4月27日発売
ZMCZ-15451 ¥1,320(税込)