どうかあなたが今日も笑って過ごせますように。

 2022年3月23日に“erica”がデジタルEP『告白日和~白と赤の真ん中~』をリリースしました。今作には、春の訪れ×恋愛をメインに楽曲を収録。新曲「卒業ソング」を新たに書き下ろし。そして、ファンからの恋愛に関するお悩みへのアンサーを自身のYouTubeチャンネルにアップしていた『Mlogシリーズ』(Music×Blog)より「春は来ない」「桜フラペチーノ」「桜、輝け」「笑っていてよ」を収録しております。
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“erica”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回が最終回。綴っていただいたのは、今作の収録曲「笑っていてよ」にまつわるお話です。自身が初めて歌手という存在を知ったときのこと。そして、自身が歌手で在り続けている理由を明かしてくださいました。ぜひ、歌詞と併せて受け取ってください。



歌手とはなんだろう。とふと考える。
自分の心をさらけ出す手段なのか
誰かの何かになりたいのか
歌が上手いことなのか、、、
 
きっとどれも正解でどれも間違いなんてない。
なぜなら「好き」に理由なんてないからだ。
 
私がはじめて「歌手」という職業を知ったのは3歳の頃だった。
 
私は周りの大人に言わせるととても変わった子だったようで、私が静かにしている時は何かしでかしている時。とよく言われていた。静かにしているなら普通はお利巧だと褒められるものだが、私の場合は違ったようだ。
 
例えば、カセットテープのテープの部分をひたすら手で引っ張り出してしまったり、ふすまに絵を書いたり、家中のありとあらゆる物をハサミで切ってしまったり、、、一つのことに集中すると何時間でも同じことをやっているから大人が気づく頃には後の祭り。まだ騒いでいる方が安心だ。なんて言われていた。
 
そんな時、親は私にピアノを与えた。
もしかしたらこの子はピアノにハマったらそればかりしているのではないか。と思ったのかもしれない。
予想は的中。
私は毎日ピアノを弾くようになった。
それが3歳の時である。
 
もちろん譜面なんて読めないし、ただ音が鳴るその不思議な物を叩くだけなのだけど、テレビから流れる歌に合わせて一緒に歌いながらピアノを弾くことが私にとっては無性に楽しかったようだ。
 
取材などでよく「歌手になりたいと思ったきっかけは?」と聞かれることがある。今までどんな答え方をしてきたか、その時々でなんとなくその時思っていたことを言っていたりしたけど、実の所本当の理由はない。なぜならなりたいと思った理由を考えたことがなかったからだ。そのくらい物心ついた時から歌手になる。と思っていた。
 
そう、きっと3歳の時から。
小学生の時の将来の夢は確か整体師をしながら歌手。
(毎日祖母の肩たたきをしていて褒められたから)
中学生の時はマラソン選手をしながら歌手。
(学年でいつも1位だったから)
高校生の時は洋服のデザイナーをしながら歌手。
(着たい服を、祖母の服を使ってリメイクして作っていたから)
と言ったように私のなりたい夢はその時々の好きな物がセットになっていた。
今も歌手を続けている一番の理由はたぶん3歳のあの時と変わらないと思う。
でも何か付け加えて言えることがあるとすれば
それはあなたに笑っていてほしいから。
なのかもしれない。
そして、何より私も笑っていたいから。
 
この世界は無常だ。
こんなに世の中が便利になっても人を傷つけたり、いがみ合ったりしている。
決していいことばかりじゃないそんな生きにくい世界だけど、だからこそ私は思う。
恋も、夢も、人生も毎日も生きていればいろんなことがある。
そのほんの一瞬の中に誰かを想う時、自分に素直になりたい時、挫けそうになった時、そのそばに私の曲があったらいいなと願う。
どんなに苦しく辛いことがあっても最後は笑っていてほしい。
音楽を通じてできることなんてほんの些細なことかもしれない。
でも大切な人に願うように、聴いてくれてるあなたにも同じように願う。
 
どうかあなたが今日も笑って過ごせますように。

<erica>



◆紹介曲「笑っていてよ
作詞:erica
作曲:erica

◆デジタルEP『告白日和~白と赤の真ん中~』
2022年3月23日発売
 
<収録曲>
M1 卒業ソング
M2 春は来ない
M3 桜フラペチーノ
M4 桜、輝け
M5 笑っていてよ