ひぐらし

ひぐらしの鳴く坂道を
母と二人で歩いた日
カラコロと響く下駄の音が
真っ赤な空に消えてった

小さな手のひらは優しく
温かい手に包まれて
肌寒くなった夕暮れの
風が耳をくすぐった

縁側で夕涼み
遠くで虫の音
線香花火「ぽつん。」と落ちた

お父とボールで遊んだら
かき氷作って食べた
涼しげなそよ風吹いてきて
うとうとうたた寝 溶けてく

ねぼけまなこで気づいたら
優しい母の匂いのする
柔らかな毛布がかかってる
向こうでコトコト いい匂い

今はないあの空と
温かいあの夜は
今もこの胸の奥に 光ってるから。
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