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今日のうた

米津玄師

夢ならばどれほどよかったでしょう。

夢ならばどれほどよかったでしょう
未だにあなたのことを夢にみる
忘れた物を取りに帰るように
古びた思い出の埃を払う
「Lemon」/米津玄師

 2018年2月12日に“米津玄師”が新曲「Lemon」を先行配信スタート!石原さとみ主演の金曜ドラマ『アンナチュラル』主題歌として書き下ろされた楽曲です。ドラマでは毎回、まさに<夢ならばどれほどよかったでしょう>と思う痛切なシーンでこの歌が流れるんですよね…。ドラマのテーマは【不自然な死】の究明。「未解決の事件の遺族には終わりがない。大切な人がどうして死んでしまったのかわからないまま、永遠にどうして?って考えていかなきゃいけない」…これは第5話のセリフですが、きっと“未解決の事件の遺族”に限らず、理由もわからず大切な人と離れることになってしまった、全ての方に通じることでしょう。

戻らない幸せがあることを
最後にあなたが教えてくれた
言えずに隠してた昏い過去も
あなたがいなきゃ永遠に昏いまま

きっともうこれ以上 傷つくことなど
ありはしないとわかっている
「Lemon」/米津玄師
 
 そして「Lemon」の<わたし>もまた「永遠にどうして?って考えていかなきゃいけない」人生を歩んでいる一人。その「どうして?」が消えないからこそ<未だにあなたのことを夢にみる>のです。でも、現実ではもう二度と<あなた>には会えない。訊き損ねた“何か”を訊くことも、自分が<言えずに隠してた昏い過去>を伝えることも、叶わない。だから代わりに何度も何度も<古びた思い出の埃を払う>しかないのだと思います。

 さらに、タイトルの【Lemon(レモン)】には【熱情】【誠実な愛】【心から誰かを恋しく想う】といった花言葉があるんです。それらの言葉は、<戻らない幸せがあることを>思い知っても、<きっともうこれ以上 傷つくことなど ありはしない>と思うほどに傷ついていても、それでも変わらず<あなた>を想い続けている<わたし>の感情を表しているようにも感じられますね。

あの日の悲しみさえ あの日の苦しみさえ
そのすべてを愛してた あなたとともに
胸に残り離れない 苦いレモンの匂い
雨が降り止むまでは帰れない
今でもあなたはわたしの光
「Lemon」/米津玄師

 そんな【Lemon(レモン)】は、さらにサビでグッと存在感が強まってゆきます。<あの日の悲しみ>や<あの日の苦しみ>を含め、愛した<あなた>のすべてを象徴するのが<胸に残り離れない 苦いレモンの匂い>なのです。ただみなさん、レモンというと“苦い”よりも“酸っぱい”の方がしっくり来ませんか? どうして<わたし>にとっては“苦い”ものなのでしょうか。その理由は<わたし>が<あなた>の“果実”=“真実”まで、たどりつけていないからかもしれません…。

何をしていたの 何を見ていたの
わたしの知らない横顔で

どこかであなたが今 わたしと同じ様な
涙にくれ 淋しさの中にいるなら
わたしのことなどどうか 忘れてください
そんなことを心から願うほどに
今でもあなたはわたしの光
「Lemon」/米津玄師

 レモンが“酸っぱい”のは果実です。そして皮の部分は非常に“苦い”のです。<あなた>には<わたしの知らない横顔>があって、本当は<何をしていたの>か<何を見ていたの>かわからない。今だってどこかで<涙にくれ 淋しさの中にいる>かもわからない。だから<わたし>は<あなた>の“表面的な部分”=“皮”にしか触れていなかったのだと感じている。そういった気持ちが<苦いレモンの匂い>というフレーズに繋がっているのではないでしょうか。

あの日の悲しみさえ あの日の苦しみさえ
そのすべてを愛してた あなたとともに
胸に残り離れない 苦いレモンの匂い
雨が降り止むまでは帰れない
切り分けた果実の片方の様に
今でもあなたはわたしの光
「Lemon」/米津玄師

 歌はこのように幕を閉じてゆきます。ラストの<切り分けた果実の片方の様に 今でもあなたはわたしの光>というフレーズが印象的ですね。これは<果実>も<あなた>も<わたし>が“たどりつけないもの”であるという点で共通しているように思えます。また、一見<今でもあなたはわたしの光>とは、希望的で愛に溢れたフレーズに感じられるでしょう。しかし、米津玄師は以前、歌ネットのインタビューで“光”について次のような想いを語ってくださったことがありました。

光が人を傷つけることだって大いにあるし
明るさって明るくない人間からすると
トゲトゲしく見えたりするんですよね。
(米津玄師『Bremen』インタビュー)

 この言葉を踏まえて<今でもあなたはわたしの光>というフレーズを聴くと、今でも<あなた>という存在は、自分にとっての大きな傷として残っていて、何度でも痛みを感じる…とも捉えられる気がします。ただ、絶望のなかにいる<わたし>がなんとか生きてゆけるのは、その傷や痛み、悲しみや苦しみが<光>として命を刺激しているからではないでしょうか。そして皮肉にも、永遠に答えのない「どうして?」がまた<わたし>を前に進ませるのではないでしょうか。

 伝えているメッセージが綺麗事だけじゃないからこそ、わたしたちの心に刺さる、ドラマ『アンナチュラル』と主題歌の米津玄師「Lemon」。是非、先行公開中の歌詞もじっくり読んでみてください。みなさんにも<夢ならばどれほどよかったでしょう>と思う出来事、ありませんか…?