そっと隣り合うココロネ、いつか重ねたいココロネ。

Kitri
そっと隣り合うココロネ、いつか重ねたいココロネ。
2023年4月10日に“Kitri”が新曲「ココロネ」をデジタルリリースしました。TVアニメ『事情を知らない転校生がグイグイくる。』エンディングテーマとして書き下ろされた楽曲。このアニメは、転校生の高田くんとクラスの皆から「死神」と呼ばれているクラスメイトの西村さんとの心温まる物語。そんなアニメをKitriの音楽が彩ります。 さて、今日のうたコラムでは“Kitri”による歌詞エッセイをお届け! HinaとMonaにそれぞれ新曲「 ココロネ 」にまつわるお話を綴っていただきました。さらに今回は音声版もございます。おふたりの朗読でもエッセイをお楽しみください…! 大切に綴られた言葉を受け取り、温度感や表情を交わす。それを自分の言葉にしていく作業。Monaが1番を、私が2番の歌詞を担う時、一人で書く時とはまた違った緊張感がある。 「これはどういう意味?」と聞くのは簡単であるが、私はMonaに歌詞の解釈を問うことを敢えてしない。自らが感じたものや受け取ったメッセージによって2番を作っていく方が意外な展開が見つかる気がするし、何より面白いからだ。 そんな面白さを感じながら作ったのが、新曲「ココロネ」である。疾走感のあるメロディーや鼓動の高鳴りを感じさせるアレンジで、新たなKitriの音楽を表現できたのではないだろうか。 TVアニメ『事情を知らない転校生がグイグイくる。』のエンディングテーマとして書き下ろしたものであり、原作の漫画を熟読した後にまずメロディが誕生した。 久々に二人で手分けをして歌詞を書くことになり、Monaが書いた1番の歌詞を読み込むところから私の作詞が始まった。 二人で半分ずつ歌詞を書くというのは、手紙を書く行為にも似ている。 もらった言葉に返事を書く。1番の登場人物や情景につづきの話をプレゼントする。1番の意図や想いを考えた上で、自分が伝えたいことを文字に込める。そうやって私が書いたものを、またMonaが受け取り、形や色味を整えていく。 二人の気持ちを分け合ってできた歌は、どことなくいびつで、それでいて美しいものだ。 春風が吹く季節に、私たちの手元から羽ばたいていくこの曲。手紙のように想いを込めた大切なこの歌が、多くの方のココロネに届きますように。 <Hina> 私はこれまでの日々を、「ココロ」とともに過ごしてきた。 ココロは正直厄介で、気まぐれで、気難しい存在だ。幼い時から片時も離れず過ごしてきたというのに、ココロの中が何によってできているのか、今日はどんなココロの変化を見せるのか、予想することも見ることもできない。そして日々起こるあれやこれやに振り回される。ちょっとしたことで嬉しくなったり、悲しくなったり、何かを諦めたり。 人のココロはもっと分からない。 「嬉しそうでよかった」 「でも本当に喜んでいるのだろうか」 「本当は悲しんでいるのではないだろうか」 表情や言葉に惑わされながら、都合よく喜んでみたり、勝手に不安を感じたり、堂々巡りを繰り返す。 いっそ、人と人の本心がはっきりと分かる世界だったら良いのに、と考えたこともあるけれど、それはそれで違うんだろう。分からないからこそ知りたくなり、歩み寄りたくなる。難しいからこそ、誰かと気持ちを分かち合えた時の喜びを感じられる。 ココロは開いたり、許したり、合わせたり、一生かけても使いきれないほどの使い道がある。そして、いろんなものでコーティングされたココロの奥深くに、きっとその人の素顔が隠されている。それを「ココロネ」と呼んでみよう。 そっと隣り合うココロネ いつか重ねたいココロネ <Mona> ◆紹介曲「 ココロネ 」 作詞:Mona・Hina 作曲:Mona