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LIVE REPORT

DIR EN GREY

『TOUR2012 IN SITU』

2012年12月25日
@東京国際フォーラム ホールA

激しくマイクを胸に打ち付け、“そこ、いけんのか!”と観客を煽る京(Vo)。“俺らとひとつになれんのか!”と挑発的な言葉の後に放たれたラストナンバーは「激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇」。連打されるドラム、重厚な2本のギターリフ、うねるベース、その中でハイトーンとグロウルを使い分けるヴォーカル...5人の感情の全てを詰め込んだようなサウンドは会場を揺るがし、途轍もない熱の塊を作り上げて大団円を迎えた。
京が声帯結節・音声障碍から復活し、10月よりスタートしたツアーのファイナル公演。最新アルバム『DUM SPIRO SPERO』を軸としたメニューはダークネス&ヘビネスな世界を作り上げ、広いステージを最大限に利用した映像効果も手伝って、迫りくる音像の威力は凄まじく、その破壊的なサウンドが観客を狂わせていくさまは圧巻だった。しかし、それは破滅に向かっているようでいて、どこか崇高さがあって荘厳で、自分の心の奥底にある何かが呼び醒まされるような衝撃を覚えた。不安感や焦燥感だったり、自分の死生観などを突き付けられた感覚だ。そんな楽曲群の中で特に印象深かったのがニューシングルの「輪郭」。ファルセットでなぞられる流麗なメロディーだったり、ドラマチックに展開していくアンサンブルが溶け込むように意識を浸食し、恍惚感に似た解放感を感じていた。また、その感触は新鮮なものだった。“今年、心配かけました。また来年!”と京が言葉を残し、メンバーが去ったステージ。客席の興奮が冷めやらぬ中、春にミニアルバム『THE UNRAVELING』のリリースとツアー『TOUR2013 TABULA RASA』の開催がアナウンスされた。「輪郭」で味わった感触の、その先が見られるだろう。より進化したDIR EN GREYの姿があることは必至だ。