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LIVE REPORT

lynch. ライヴレポート

【lynch. ライヴレポート】 『“THE FATAL HOUR HAS COME” AT日本武道館』 2022年11月23日 at 日本武道館

2022年11月23日
@日本武道館

それは夢の途中。と同時にバンドにとって、とてつもなく大事な一日だったに違いない。1年間、今後を見据えて活動を一時休止していたlynch.が『“THE FATAL HOUR HAS COME”AT日本武道館』と題し、11月23日に初の日本武道館単独公演を開催した。

本編22曲、アンコールで7曲を披露したライヴは3時間20分のボリュームたっぷりの内容。メジャーデビュー以前のナンバー「LAST NITE」で幕を開け、lynch.の18年間の歴史が詰まったセットリストにはベストセレクション的な要素がありつつ、初期から彼らのライヴを観て、ともに時間を刻んできたファンへの想いも込められていたように思う。オープニングのヒストリー映像が流れた時に初めて実感が湧いて冷や汗が出たものの、ステージに出たとたんに緊張が興奮へと変わったという葉月(Vo)がMCで伝えた言葉からもあふれる想いが伝わってきた。

““武道館”って言い続けてもう10年以上経ってるよね? おそらくデビューしたぐらいから言ってたんじゃないかと思います。これがlynch.の日本武道館です! ヤバいよな! 僕たち、若い頃からこのステージを夢見てきました。夢の中に今日は現実として生きさせてもらおうと思うので、その姿を目に焼きつけてほしい。だけど、何よりみなさんが今日は楽しんで帰ってください!”

バンドを長く続けること自体、容易なことではないが、今なお聖地であり続けている日本武道館にワンマンで立てるのは限られたミュージシャンだけだ。しかもlynch.のように自分たちの世界観を崩さず、ライヴを軸に地道に活動し続けてきたバンドが18年目に目標を叶える例は滅多にない。玲央(Gu)、晁直(Ds)、明徳(Ba)、悠介(Gu)によるラウド、ヘヴィという言葉だけでは表現しきれない細やかさとスケール感を合わせ持つ演奏、葉月のタフでいて艶やかさも兼ね備えたヴォーカル。lynch.にしか鳴らせない音と歌が武道館を揺らす。声が出せない状況にあっても拳を突き上げ、渾身のヘドバンで応える客席の景色も壮観であり、特別な一夜をステージと完全に共有していた。

21歳の時に作った曲を経験を積んでやっと武道館まで連れてくることができたと葉月が感慨深げに語った初期のナンバー「melt」、“セックスしようぜ”の煽りでお馴染みのlynch.のライヴに欠かせない「pulse」では葉月が急に晁直にトークを振ったため、ドラムに動揺が表れ、演奏が一斉にストップ。葉月が笑ってステージでズッコケ、もう一度、演奏し直すアクシデントも味方につけて、終始、lynch.らしいライヴが展開された。本来、2021年2月に開催する予定だった日本武道館はコロナ禍で中止になったが、武道館に合わせたタイミングで作ったというデジタルシングル「ALLIVE」も届けられ、本編ラストを鍵盤で始まり、ヘヴィなサウンドと葉月の語りが妖しく絡み合う初期曲「CULTIC MY EXECUTION」でドラマティックに締め括った。

武道館に立った想いをひとりひとり語ったアンコールではリーダーとしてlynch.を引っ張ってきた最年長でもある玲央が込み上げる感情に言葉を詰まらせ“正直な気持ちを話すと、みんなを武道館に連れて行きたかったんです。ずっと。今日、このステージに立って思ったのは、僕が連れてきたんじゃなくて連れてきてもらったんだと思った。みんなの支えがあってスタッフがいて何より最高のメンバーがいるので...”と伝え、場内から大きな拍手が湧き起こった。明徳は6年前に不祥事を起こし、バンド活動が自粛に追い込まれた時のことに触れ、実はその頃に決まっていた日本武道館のライヴが自分のせいで飛んだとやはり言葉を詰まらせる。“(バンドでの)話し合いの時に武道館でライヴをやる夢は叶わなくなっちゃうかもしれないけど、おまえを戻したいんだってメンバーは言ってくれました。ここに立つのには厳しい審査や条件があるので問題を起こしてしまうと普通は出れないんですね。そういうことを分かっていながら、僕を残す選択をしてくれたこのメンバーに本当に感謝しています“と力を尽くしてくれたスタッフ、応援し続けてくれたファンにお礼の言葉を何度も言う明徳と涙する人も続出の場内をときほぐすように葉月が“もう気にするな!”と声をかけた場面もlynch.の絆を感じさせた。

ステージ背後を覆い尽くすスクリーンによる映像、レーザーが飛び交った照明、lynch.の楽曲がより映える演出も素晴らしかった。武道館が一回では終わらないことを約束し、ずっとこの場所でやりたかったと話し、演奏された「EUREKA」ではミラーボールの光が注いだ。ダブルアンコールでは葉月が目標達成の時を待ってずっと持っていたという達磨に目を書き入れ、「ADORE」では金テープが発射。続く「A GLEAM IN EYE」の強力な2曲で締められた。

終演後、大晦日に地元であるZepp Nagoyaで18周年記念公演『THE IDEAL』を開催すること、2023年春にニューアルバムを発売、それに伴うツアーを行なうことが発表された。また、本公演の模様はWOWOWにて2023年1月15日に放送される予定だ。

撮影:土屋良太/取材:山本弘子

lynch.

リンチ:2004年8月、葉月と玲央と晁直の3人で結成。同年12月よりライヴ活動をスタートさせ、06年に悠介、10年に明徳が加入し現在の5人となり、6年にわたるインディーズでの活動にも終止符を打つ。11年6月、アルバム『I BELIEVE IN ME』でメジャー進出。その後もコンスタントに作品を発表。19年3月には『lynch.13th ANNIVERSARY-Xlll GALLOWS- [THE FIVE BLACKEST CROWS]』を幕張メッセ国際展示場にて開催し、約6000人を動員した。