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LIVE REPORT

lynch. ライヴレポート

【lynch. ライヴレポート】 『TOUR'18 Xlll-THE BEAUTIFUL NIGHTMARES-』 2018年11月4日 at TOKYO DOME CITY HALL

2018年11月04日
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最新アルバム『Xlll』を提げ34本に及んだlynch.史上最大規模の全国ツアー『TOUR'18 Xlll-THE BEAUTIFUL NIGHTMARES-』が11月4日にTOKYO DOME CITY HALLでファイナルを迎えた。lynch.が同会場でワンマンライヴを行うのは2回目。約3年振りのことになるがチケットはソールドアウトし、大勢のファンが会場に集結した。ヴォーカルの葉月は遅咲きすぎるバンドと自分たちのことを定義付け、“今現在が最大で最高である状態が14年ずっと続いている”と表現していたが、そのことを見事に証明したのがこの日のライヴだった。

場内の拳が一斉にあがり、ライヴは「THIRTEEN」で幕を開けると、長いツアーで研ぎ澄まされ、血肉化した最新作『Xlll』の楽曲たちが立て続けに投下されていく。玲央(Gu)、悠介(Gu)、明徳(Ba)、晁直(Dr)のソリッドかつ凶暴なサウンド、轟音を抜けて響く葉月の強靭でありながら情緒も兼ね備えているヴォーカルが否応なしに場内を揺らせていく。ステッキを操るパフォーマンスで魅せたシャッフルナンバー「JØKER」の骨太で妖艶な演奏も今のlynch.ならではだ。

中盤では“『Xlll』は本当の意味で今日、完成すると思ってます。素晴らしい作品にできそうですか? 任せてもいいのか?”と葉月が煽り、コール&レスポンス。憂いを帯びたメロディー、美しくもダークな音像のミドルナンバーが披露された。『Xlll』はあえて90年代のビジュアル系の要素を取り入れた曲が多いのだが、切なさと願いが込められたナンバーに胸がギュッと締め付けられる想いがした。激しさとエッジ、繊細さを行き来する振り幅と表現力をlynch.は持っている。

後半は再び葉月の咆哮が響きわたり、怒涛の荒ぶる展開に雪崩れ込み、両者ともに発散度マックスとなって本編は「A FOOL」で終了。アンコールでは玲央の誕生日がサプライズで祝われ、キャリアと反比例して結成当初より極悪な音になっているlynch.に触れ、“みんなの憧れになれば、僕らのやってることが年相応の音楽になると信じてます”と男気発言。来年の2月にZepp Nagoyaで主催イベントを開催することも発表され、全25曲、魅了し続けたライヴは幕を閉じた。

撮影:Rui Hashimoto(SOUND SHOOTER)/取材:山本弘子

lynch.

リンチ:2004年8月、葉月と玲央と晁直の3人で結成。同年12月よりライヴ活動をスタートさせ、06年に悠介、10年に明徳が加入し現在の5人となり、6年にわたるインディーズでの活動にも終止符を打つ。11年6月、アルバム『I BELIEVE IN ME』でメジャー進出。その後もコンスタントに作品を発表し、ライヴ活動を続けるが、16年にメンバー脱退により活動を自粛。17年4月の新木場STUDIO COASTでのライヴで活動を再開し、同年5月に5人のゲストベーシストを迎えたEP『SINNERS-EP』を発表した。