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LIVE REPORT

MORISAKI WIN ライヴレポート

【MORISAKI WIN ライヴレポート】 『MORISAKI WIN GIG』 2022年11月23日 at 品川ステラボール

2022年11月23日
@品川ステラボール

MORISAKI WINが11月23日(水・祝)に東京・品川ステラボールでワンマンライヴ『MORISAKI WIN GIG』を開催した。MORISAKIは彼をサポートするCrumple Bandとともにこれまでもワンマン公演を行なってきたが、なんと今回はバンドが12人編成にパワーアップ! ゴージャスでアツいステージが繰り広げられた。

Crumple Bandの演奏に乗ってWINがステージに登場すると、「d.s.t.m.」からライヴはスタート。12人のバンド構成はバンドマスターを務める宮野弦士がギターとキーボードをはじめ、ギター、ベース、ドラム、パーカッション、そして3人のホーンセクション、さらにコーラスの3人はWINのヴォーカルのアドバイザーでもあるSweepと女性2名という豪華さ。彼らのグルービーな演奏でWINは活き活きとしたヴォーカルを聴かせていく。続けて特撮ドラマ『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』の主題歌「俺こそオンリーワン」とエンディングテーマの「Don't Boo!ドンブラザーズ」を歌唱し、広いステージを動きながら歌を響かせ、CREW(ファンの呼称)のテンションをアップさせていった。

MCタイムで自己紹介すると“今日は僕の強力なサポーター、Crumple Bandと一緒にお送りしていきたいと思います”“ぜひ、この瞬間1分1秒全部を感じていただいて、僕らでこの会場を最高の空間にしていきましょう。最後まで僕に着いてきてください!”と声を上げた。

2020年7月のメジャーデビューから、配信シングル、CDシングル、EP、フルアルバムとコンスタントに作品を発表してきたMORISAKI WIN。楽曲のバリエーションも増えたことで、ライヴでもセクションごとにさまざまなカラーを見せ、より観客を楽しませられるようになった。「Live in the Moment」「UNBROKEN WORLD」では夜の雰囲気を感じさせるメロウなナンバーでCREWを惹きつけ、「JUST GO」ではきれいなファルセットで魅了。ますますの磨きのかかった彼のヴォーカルは歌の説得力がさら高まり、会場中のCREWを完全にロックしていた。

アンプラグドゾーンではアコースティックソウルな「anymore」でやさしく温かい歌を聴かせる。そして、WINは愛用のアコースティックギターを弾きながら、「Midnight」で愛する人への複雑な感情をエモーショナルに歌い上げた。また、カバー曲のコーナーではWINの好きな80年代の洋楽邦楽の楽曲を歌唱。エレキギターを手にしてベリンダ・カーライルの「Heaven Is a Place on Earth」をハードなアレンジでプレイすると、続いては大瀧詠一の「君は天然色」を披露。親しみやすいポップソングでありながら演奏はとても難しいとされるこの曲を、Crumple Bandは原曲に忠実に演奏し、WINはしなやかさと強さをミックスしたヴォーカルで歌っていく。この熱演は彼が類い稀なシンガーであり、実力派のアーティストであることを改めて証明する、今回ライヴのハイライトのひとつだった。

後半戦はアシッドジャズチューン「WonderLand」から始まった。メジャーデビュー前から歌い続ける自身が作詞作曲の「BeFree」で観客を楽しませると、「Fly with me」「Me, Myself and I」とグルーブ感あふれるナンバーで会場中を盛り上がる。また、MCでは“僕はみなさんがつらいことや嫌なことがあった時の受け皿みたいになれたらなって気持ちがあります。みなさんが飛び込んできて、僕がライヴで全部パワーを出しきって、みなさんの背中を押せるようなアーティスト、エンターテイナーになりたいなと思ってます”とアーティストとしての姿勢を語った。そして、「My Place, Your Place」を歌唱し、人を励ます思いを観客ひとりひとりに届けるのだった。

本編を締め括るラストナンバーはメジャーデビュー曲「パレード - PARADE」。観客を煽り会場全体で音楽を楽しみ、強烈な一体感を作ってライヴ本編は幕を閉じる。鳴り止まない拍手でWINがアンコールのステージに戻ると、「What U Wanna Do?」でゆったりとしたノリで気持ち良く観客を乗せ、“大切な人を思って聴いてください”と会えない人への気持ちを歌にしたというコロナ禍で生まれた楽曲「Love in the Stars -星が巡り逢う夜に-」を歌唱。しっかりとメッセージを伝えて、アンコールのステージを終えた。

しかし、CREWの熱烈な拍手に押されてWINはダブルアンコールのステージに戻る。そして、“僕は音楽もお芝居もやって、両方できてること自体が奇跡みたいで毎日感謝しています。昔、“どっちが好き?”“どっちかに絞ったほうがいいんじゃない?”ってことを言われたことがあります。でも、僕はどっちも好きなんですよ。今は全然完璧じゃないし、まだまだ自分の理想は高いんですけど、今はいろんなことに挑戦したいんです”と、音楽も演技も本気で挑んでいる彼の現在のスタンスを語る。挑戦者であり続ける彼は今回のライヴに向けて新たにピアノに挑み、未完成だが今の現状報告という新曲「戻るまで」を初披露。同曲に込められた、故郷やその人々のことを思う気持ちを赤裸々に綴った歌詞をピアノとバンドサウンドで届けていく。観客は切なさとやさしさにあふれた想いをしっかり受け取り、WINに惜しみない拍手を送った。

さまざまな景色を見せてきたライヴもいよいよラストを迎える。最後のMCで“人は時間とともにいろんな経験しますが、切っても切れない家族と離れて生活しなければならないこともあります。でも、それがただつらいってことではなくて、それを経験することで自分が人間としても表現者としても強くなれると思うんです。何より僕にはCREWという一番強い味方もいるし、これからもどんどん前に進んでいけます。僕がステージに立ってこうして歌えているのはみなさんがいるからです。僕はこの日この瞬間を楽しみに毎日を生きてます。僕はエンターテイメントが大好きですし、みなさんの前で歌える日がどんどん増えていったらいいなと思ってます。ぜひ着いてきてください!”と、エンターテイナーとしての覚悟や前向きな想いを語り、会場は大きな拍手に包まれた。本公演ラストのナンバーは自身が手がけた楽曲の「BeFree」。彼はノリノリでファンとコミュニケーションを取りながら歌唱し、最高の盛り上がりを作ってライヴは締め括られた。

生演奏、生楽器にこだわったオーガニックなライヴは心に深く響くものがあった。強力な演奏を完全にリードしていくMORISAKI WINの歌の強さ、観客を乗せていくパフォーマンス力など、彼の実力はかなりのレベルに到達している。彼の音楽への愛情の深さ、人を楽しませるエンターテイナーとしての凄味を痛感できるアクトだった。

撮影:渡辺誠司/取材:土屋恵介

MORISAKI WIN

モリサキウィン:1990年8月20日生。ミャンマーで生まれ育ち、小学校4 年生の時に来日、その後中学2年生の時にスカウトされ、芸能活動を開始。08年にダンス&ヴォーカルユニットに加入し、メインヴォーカルを担当。俳優としてもさまざまな役を演じ活躍する中で、2018 年に公開されたスティーヴン・スピルバーグ監督の新作『レディ・プレイヤー1』で主要キャストに抜擢され、ハリウッドデビューを果たす。その後も数多くの映画やドラマに出演。20 年7月にアジアから世界に発信するエンターテイナー“MORISAKI WIN”として「パレード - PARADE」でメジャーデビュー。18 年より母国ミャンマーの観光大使を務め、現地でもドラマやCM に数多く出演している。