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NakamuraEmi

仕事と世間と自分と戦い、女は元気だと世界は言う。

 2019年5月29日に“NakamuraEmi”がニューシングル「ばけもの」をリリースしました。この歌は、先日最終回を迎えたドラマ『ミストレス~女たちの秘密~』の主題歌です。ドラマを動かしていったのは、シリアスな秘密を持つ4人の女たち。今の日本を生きる女性たちが感じている【生きづらさ】を真正面から描きながら【幸せとは?】を大テーマに展開してゆく物語が話題となりました。

この人は私を幸せにはしてくれない
世にも恐ろしいことに
自分のせいな事もわかっている
仕事と世間と自分と戦い 女は元気だと世界は言う
本当は言いたい「だって」を飲み込んで
不安はお風呂で流したつもり
顔と髪をなんとか整え チョコを片手に今日も行く
「ばけもの」/NakamuraEmi


 さて、そんな女性たちの心に寄り添うのがこの歌。まず「ばけもの」とは【あるものが本来の姿を変え、別の姿で出現したものであり、ひとに恐怖をあたえるもの】を意味する言葉です。そしてこの歌では、冒頭からさっそく“2つ”のばけものが描かれております。ひとつは<この人は私を幸せにはしてくれない>という“他者への失望・諦め”でしょう。

 しかしその“他者への失望・諦め”とはもともと<自分のせい>で作り出されたものであり、本来の姿は“自分自身に対する感情”なのです。さらに、もうひとつのばけものは<女は元気だ>という“世界の思い込み”です。だけど、その正体は<仕事と世間と自分と戦い>クタクタな姿。それでも<本当は言いたい「だって」を飲み込んで>不安を隠す姿。

 そんな“他者への失望・諦め”と“世界の思い込み”というばけものを恐れながらも<顔と髪をなんとか整え チョコを片手に今日も行く>主人公。「だって」強くないとやっていけないじゃん。「だって」弱みは見せられないじゃん。「だって」負けてられないじゃん。…そうやって飲み込んだ本音はまた本来の姿を変え、別の姿で出現するのです。

神様が与えた 女の辛抱強さ
それを時に 我慢に変えた
それが時に 美徳になった
完璧がやけに美しく見えた
勘違いした私は ややこしい鍵を自分にかけた
「ばけもの」/NakamuraEmi


 何度も「だって」を飲み込める<女の辛抱強さ>は、やがて“なんでも我慢で乗り越えられる、弱みを見せない完璧な女こそ美しい”という誤った<美徳>のばけものに姿を変えます。結果、そのばけものから呪いをかけられるかのように<私は ややこしい鍵を自分にかけた>のでしょう。誰かに頼ったり、甘えたり、隙を見せたりする自分が出てこないようにする<ややこしい鍵>です。

「20代終わりだどうしよー」と騒いでた頃が懐かしい
レディの嗜み 恥じらい 様になってきた最近だけど
玄関開けてなだれ込む ヒール カバンも放り出し
下着 ヘアゴム外したら 解放された気がして
Tシャツズボンに入れて寝たいし
野菜よりお肉が食べたい
肌荒れ隠して余計に荒れて
「だって」つって大泣きしたい
女を生き抜くために 弱さを丸めて捨てたけど
残念ながらその弱さ 私らしさでもありました
顔も髪も怠けてさ チョコもコーヒーも両手にさ
明日もちょっと頑張ってみますか
やっとお風呂で流せた気がする
「ばけもの」/NakamuraEmi


 とはいえ、どんなに<ややこしい鍵>をかけたって、胸の内に溜まってゆく本当の気持ち。誤った<美徳>を護るための、ヒール、カバン、下着、ヘアゴムといった“武装”から解き放たれたとき、ボロボロ本音が溢れ出します。そして<女を生き抜くために><丸めて捨てた>自らの弱さに改めて触れ、同時に、閉じ込めていた<私らしさ>を知る主人公。様々な「ばけもの」の正体に気づき、呪いが解けた瞬間でしょう。

 わたしたちが「ばけもの」を恐れるのは、その正体がよくわからないからなんですよね。だけど“本来の姿”を知ったとき「なんだ、こんなものに怯えていたのか…」と気が抜けたりするものです。この歌の<私>も然り。弱い自分を愛おしく思えたとき<顔も髪も怠けてさ チョコもコーヒーも両手にさ 明日もちょっと頑張ってみますか>という心境にたどりつけたのです。

神様が与えた 女の切り替え
それはまさに 魔法みたいで
それはもう 答えみたいで
変わるわよ女は 一瞬一瞬
よくみておいて みておかないと
女は化け物って いうでしょう?
私を幸せにできるのは
世にも恐ろしいことに
ややこしい私です
「ばけもの」/NakamuraEmi


 歌の終盤。ラストでは<女は化け物>というワードがポジティブに伝わってきます。歌の冒頭で<この人は私を幸せにはしてくれない>と俯いていたけれど、1曲のうちに魔法みたいに切り替えて、自分なりに“私を幸せにできるのはややこしい私”という答えを出し。女は恐ろしいくらいに、弱くも強くも変化できる、しなやかな「ばけもの」なのです。
 
 女性のみなさん。あなたが恐れている「ばけもの」は何ですか? その正体、実は、誰かや自分自身のちょっとした思い込みなのかもしれません。そんな「ばけもの」との戦闘中も、休戦中も、いつだってあなたがあなたらしくいられますように。チョコもコーヒーも両手に是非、NakamuraEmi「ばけもの」を聴いてみてください…!

◆紹介曲「ばけもの
作詞:NakamuraEmi・カワムラヒロシ
作曲:NakamuraEmi・カワムラヒロシ