生涯憧れている親友。

 2021年8月25日に、デジタルシングル「歌って」でメジャーデビューを果たした“松本千夏”が10月20日にデジタルシングル「ばかみたい」をリリース。11月24日に「さえたろう」をリリースしました。「さえたろう」は、中学生の頃の友達と、大人になって久しぶりに再会した実話を基に制作した楽曲。離れ離れになってしまったからこそ感じる友達への想いが込められております。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“松本千夏”による歌詞エッセイを3週連続でお届け。今回は第2弾です。綴っていただいたのは、11月にリリースした新曲「さえたろう」についてのお話です。彼女の唯一無二の親友・さえたろうへの想い。みなさんも、自分にとって大きな存在の友達を思い浮かべながら、この歌詞とエッセイを受け取ってください。



中学の頃、2人で何度も歌ったYUIの「Good-bye days」。歌手になりたいなんて恥ずかしくて言えなかったけど、2人ならなんだかなれる気がしていた。
 
誰にも言えない話も何故だかできたし、2人でいるだけで最強な気がした。
 
“さえたろう”は私にとって特別な存在。
 
負けず嫌いな私は、ミュージカルのオーディションで絶対に負けたくなくて、きっとみんなの発表を睨みつけていたかも。
 
でも、さえたろうは違った。

当時、一番最年少だったのに、ヘラヘラ笑って先生の前に立ち、堂々と楽しそうに演じて皆を笑わせた。さえたろうはいつでも自然体で皆を笑わせるのが得意だし、ダンスも演技も歌も器用にこなして、他の子よりズバ抜けていた。

そんなさえたろうに私は虜になった。
 
物凄く負けず嫌いな私なのに、さえたろうには悔しいなんて一切ない。
むしろ、悔しさよりも誇りに思う自分がいた。
 
親友だけど、さえたろうはいつも私より大人で、そして優しくて、自分に厳しい人だった。
 
 
高校1年生の時、突然さえたろうと連絡が取れなくなった。
毎週会うのを楽しみにしていたミュージカルにも来なくなった。
連絡が取れない理由も、ミュージカルで会えなくなった理由も分からず、私は毎日泣いていた。
今思い返すと突然いなくなる感じも、さえたろうらしかったなって思える。
 
大人になって再会したさえたろうは、素敵なママになっていた。可愛い2人の子ども達の面倒を見ている姿は、相変わらず優しくてかっこいいさえたろうだった。
 
再会してどうしても伝えたかったこと。
 
「さえたろうにはずっと敵わないよ」
 
と伝えたら
恥ずかしそうに笑って
昔みたいにふざけて茶化しながら
 
「ちーちゃんにはとっくのとうに負けてるよ」
と言った。
 
全然分かってないなと思った。
さえたろうは、やっぱりずっとかっこいい。
 
さえたろうの凄さを伝えまくったら、さえたろうは涙目になってた。
 
 
さえたろうは、いつも私よりも一足先に大人になっている。誰よりも才能があるのに、自然体で皆を笑わせて只々優しい。
 
いつか自分もさえたろうみたいになりたいって今でも思う。
 
<松本千夏>



◆紹介曲「さえたろう
作詞:松本千夏
作曲:松本千夏

◆配信リンク:https://chinatsu-matsumoto.lnk.to/saetaro