“ライブ”にこそ命が宿る。

鉄風東京
“ライブ”にこそ命が宿る。
2023年9月13日に“鉄風東京”が1st Mini Album『From』をリリースしました。言葉を大事にした熱量のあるライブパフォーマンスが魅力の彼らの今を凝縮した今作。ライブ定番曲「SECRET」をはじめ、先行配信曲「FLYING SON」「TEARS」を含む全6曲が収録されております。エモーショナルなメロディ、疾走するギターサウンド、そして歌詞に込められた嘘の無い等身大の叫びを受け取ってください。 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“鉄風東京”の大黒崚吾による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、“サブスク時代における姿勢や音楽の重ね方”についてのお話です。ライブを大事にしているバンドだからこそ、譲れない思いとは…。 いきなりではあるが、音楽、バンドというものを続けてきてありがたいことにインタビューやラジオ等の仕事をもらうようになってきた。 そしてそれに伴って聞かれることが多いのが “サブスク時代における姿勢や音楽の重ね方” だったりする。 今回、このお仕事をいただいて、このようなテーマについて語ってみようと思った。 2023年に我々も21歳を迎える年になりバンドを初めて5年は経ったが、当たり前に学ぶことしかなく、その回りくどい音楽の届け方や、やりたいことへの向き合い方もそれなりに考えてきた。 まだペーペーなりに“流行り”の音楽というものを考えてみた結果 やはりサブスクやSNSで一瞬流れたものに耳を奪われ、その他のAメロやギターソロが“切り取られた部分”への待ち時間になってしまったように思う。 ライブハウスで聞く衝撃やフィジカルを聴き込んでしまうスルメのような音楽が、圧倒的な質量や重ねた時間、経験によって巻き込む人を増やし、その時代やカルチャーのアンセムになっていくのが、バンドにとってのストレートな戦い方だと今でも思う。だが、新しく出現したマインドの元、音楽をやっている今のバンドを見ると “ライブ”と“切り取られた音楽”の天秤が “切り取られた音楽”に傾いている。 ライブがコロコロコミックの付録くらい、サブ的なコンテンツだと思い活動しているバンドもいる。 様々な戦い方、やり方があり、音楽の多様性は否定するものではなく肯定しているが 鉄風東京としてのやり方はやはり “ライブ”にこそ命が宿るものだと、言うまでもなく思い、信じている。 TikTokやYouTube、サブスクもなければ確実に出会ってくれなかった人もいて、そこに関しては受け皿が昔に比べて広くなり、いい時代に生まれたと思う。 だが、そこから勇気を出してくれた人、またはライブハウスにくることが日常の人に対しては当たり前に、バンドとしてそれ以上のものを僕は見せたいし目指したい。そしてわがままだが賛同してもらいたい。 新しい道具も使うことは大事だが、日本が昔から重ねてきた音楽の歴史は、僕がロックバンドをやる上でリスペクトしているものであり、絶対にその火を絶やしたくない。道具だけに支配されては元も子もないと思った。 これから先、どのように時代が変異し変化していくのか。ライブハウスで号泣するような人が肯定され報われるかは、“ロックバンド”が強く突き通していくことが左右する。 愛想を振り撒くこととゴシップで金を稼ぐ音楽には“ロックバンド”という肩書きは奪われたくないのだ。 <鉄風東京・大黒崚吾> ◆1st Mini Album『From』 2023年9月13日発売 <収録曲> 1.SECRET 2.TEARS 3.HOW IS LIFE 4.いらない 5.東京 6.FLYING SON