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LIVE REPORT

シド ライヴレポート

【シド ライヴレポート】 『SID TOUR 2019 -承認欲求- FINAL』2019年11月21日 at 東京国際フォーラム ホールA

2019年11月21日
@東京国際フォーラム ホールA

シドがホールツアーとしては約2年振りとなる『SID TOUR 2019 -承認欲求-』の追加公演であり、ファイナルとなるライヴを11月21日に東京国際フォーラム ホールAにて行なった。価値観が変化する時代の中、漠然とした不安や孤独を抱えている人を包み込む歌とシンプルに振り切ったサウンドで構築した最新アルバム『承認欲求』の世界をど真ん中に据え、さらに新曲も披露。結成16年を迎えた今のシドだからこそ具現化できるステージだった。

ステージを覆った紗幕にはTwitterやLINEのアイコンと“あなたをあなたと認めてくれるものは何ですか?”という問い掛けが映し出され、そのまま演奏されたのはアルバムの鍵になる「承認欲求」だった。つながっているはずなのになぜか寂しい心を浮き彫りにする曲に客席は静かに聴き入り、削ぎ落とされたアーバンなサウンドとグルーブが心地良い「see through」に引き込まれていく。

過去曲を織り混ぜながらプロジェクションマッピングの文字の演出を効果的に使い、曲間でも疑問を投げ掛けていくようなライヴはこれまでのシドにはなかったアプローチ。縦書きの詩が流れるように映し出され、Shinji(Gu)がアコギを弾いたノスタルジックな「手」やマオ(Vo)のファルセットが映え、波間に揺れているような恍惚感に浸れる「淡い足跡」など、彼らの温度がじかに伝わってくる曲が実に新鮮だった。

そんなシドの大人な世界に変化を感じていた人も多いと思うが、“この日のために新曲を作ってきました!”と披露されたナンバー「delete」は開放的なアッパーチューンで嬉しい裏切りも。そして、楽器陣が座って(ゆうや(Dr)はカホン)披露された「ポジティブの魔法」ではマオが明希(Ba)に近寄るものの、わざと背中を向けられたり、《信じてる》という歌詞でShinjiを指差したり、4人のトークセッションのようになったMCも裏話が明かされ、爆笑の連続。

アンコールではライヴバージョン「デアイ=キセキ」で場内を幸せな空気で包み、“君は一人じゃない”と歌う「エール」でアルバムに通じるメッセージを届け、ラストは希望が差し込む「君色の朝」。温かい拍手と声援と残る余韻の中、終演後には2020年5月9日と10日の2日間にわたり河口湖ステラシアターでライヴを行なうことが発表された。

撮影:西槇太一/取材:山本弘子

シド

シド:2003年結成。08年、TVアニメ『黒執事』オープニングテーマ「モノクロのキス」でメジャーデビュー。10年の東京ドーム公演では4万人を動員。結成10周年となった13年には初のベストアルバム『SID 10th Anniversary BEST』をリリースし、オリコンウィークリー1位を獲得。同年、横浜スタジアムで10周年記念ライヴを開催し、夏には初の野外ツアーで4都市5公演で5万人を動員し大成功を収める。16年1月、シングルベストアルバム 『SID ALL SINGLES BEST』を発表。2018年はバンド結成15周年&メジャーデビュー10周年のアニバーサリーイヤーとして、計50本以上にも及ぶ全国ライヴハウス公演やアジアツアーを行ったのち、2019年3月にグランドファイナルとして横浜アリーナ公演を大成功に終えた。9月には2年ぶりとなるアルバム『承認欲求』をリリースし、全国ホールツアーを開催する。