デビュー35周年を迎えた浜田麻里。2年振りの全国ツアー『The 35th Anniversary Tour "Gracia"』はバンドメンバーも新たな布陣となり、常にチャレンジャーである姿勢であったり、現在の自身の想いを伝えるステージとなった。そして、11月2日に開催したZepp Tokyo公演では誰もが待ち兼ねた発表も!
高校生の時にデビューアルバム『Lunatic Doll〜暗殺警告』を聴いて、そのパワフルな歌声に衝撃を受けた記憶がある。当時も素晴らしい女性ロックシンガーは数多くいたのだが、シャウティングスタイルのメタルシンガーは初めてだったからだ。あれから35年、26枚目となるアルバム『Gracia』同様にハードチューン「Black Rain」で幕を開け、のっけから轟いたハイトーン&ロングトーン...衝撃だった。前回のツアーではトリプルギターにトライしたが、今回のツアーでは7〜8弦ギターを操るISAOと6弦ベーシストのBOH、MAHATMAやALHAMBRAで活躍するドラマーの原澤秀樹という超絶テクを持った若手プレイヤーを迎え、そのハイレベルかつエネルギッシュな演奏とともに聴かせた圧倒的なヴォーカリゼーションは流石のひと言。また、ストイックな活動を続けてきた彼女だからこその歌詞にも重みがあり、《心のステージをひとつ持ち上げるのさ》(「Right On」)などの言葉たちが胸を射抜くように響いたのも特筆すべきところだろう。
そして、「Prayer」では盟友・増崎孝司が奏でる流麗なアコギをバックにやさしく包容力のある歌声で観る者全てを酔わせ、バンドメンバーと一丸となった総攻撃モードとも言える「Dark Triad」などスリリングなナンバーのラッシュで攻め立てると、「Zero」のドラマチックなサウンドと圧巻のシャウトが感動的に本編を締め括った。
アンコールでは日本武道館公演(2019年4月19日)が発表された本公演。最新作『Gracia』の世界を劇的に魅せ付けただけに、デビュー35周年のグランドフィナーレがどんなものになるのか期待が高まるばかりだ。
取材:土内 昇
浜田麻里
ハマダマリ:15歳でプロシンガーとしてのキャリアをスタート。大学時代に参加した女性ロックバンドMisty Catsで出場した『East West'81』でスカウトされ、1983年4月にアルバム『Lunatic Doll』でデビュー。数多くのコンサートツアーとコンスタントなアルバムリリースにより、本格派女性ロックヴォーカリスト、ヘヴィメタルの女王としての地位を確立。80年代後半にはメタルクイーンからの脱皮を図り、幅広いフィールドで魅力が発揮できるアーティストへと転身。デビュー35周年の18年には通算26作目となるアルバム『Gracia』をリリースするなど、精力的に活動を続けている。