3rdアルバム『Mardelas III』を5月にリリースし、それに伴う東名阪ツアーを“第1幕”と“第2幕”の2回敢行したMardelas。6月の“第1幕”ではTHOUSAND EYESとの対バン形式で、そして7月の“第2幕”はKING RECORDS のレーベルメイトNoGoDとの対バン形式で開催。“第2幕”のファイナルとなるこの日のライヴは、コンセプチャルな『Mardelas III』の世界観を存分に再現しつつ、メンバー4人それぞれのミュージシャンとしての魅力もアピール。さらにアンコールではNoGoDとのジョイント演奏も実現し、“祭り”的な盛り上がりでも楽しませてくれた。
■ NoGoD ■
まずはNoGoDの登場。歪んだギターが鳴り響くと観客はメロイックサインの手を高く掲げ、メンバーを歓迎する。速いヘドバン曲「心臓」でスタートを切り、その後は歌を聴かせるタイプのハードチューンを数曲。団長(Vo)が“次の曲は黒Tシャツのオジサンでもノリにくいかな?”と挑戦的に紹介した「II-懐疑」は、変拍子や展開がバリバリに入るプログレメタル。会場にはDream TheaterのTシャツを着た観客もいたが、このテクニカルな演奏にはがっちりハートを掴まれたのではないだろうか。
選曲的には5thアルバム『V』(2013年)と4th『Make A New World』(2014年)の楽曲を軸にしつつ、初期のナンバーから最新シングル「Arlequin」まで、NoGoDの持ち味をバランス良く披露。団長のトークも相変わらず切れ味抜群で“昔からメタルは聴いてたけど歌詞がねぇ...。なんかメタルってドラゴンと戦ってばかりいません?”と笑わせるが、笑いだけでは済ませず“でも、NoGoDは歌詞を大事にしたい。メッセージ性のあるメタルをやりたいと思ってます”ときっちり伝える辺りはさすが。バンドにとって対バンやフェス出演時はファン層を広げるチャンスだと言われるが、そういう意味でもNoGoDの強みを実感した全11曲だった。
NoGoD
ノーゴッド:2005年に団長を中心に結成。ライヴ活動を続けながら、コンスタントに作品も発表し、着実に人気と実力を付けていった。10年 6月にシングル「カクセイ」でメジャーデビューを果たし、同年 8月にはメジャー1stアルバム『欠片』を発表。HR/HMを基調としたサウンドとメッセージ性の強い歌詞、高いエンターテインメント性が話題となり、メジャーシーンでも注目を集めている。
■ Mardelas ■
そして、いよいよ本命Mardelas。アルバムのオープニング曲「Mardelas the THIRD」がSEで流れる中4人が登場し、そのまま1曲目はアルバムと同じ流れで「World vs Honor -仁義なき世界-」がスタート。待ちかねた観客はイントロから“オイ!オイ!”の雄叫びとともに拳を突きあげる。
蛇石マリナ(Vo)はキャメル色のタイトスーツにサングラスと一見いい女風の装いだが、その歌声のパワフルなこと。レンジの広いメロディーを軽々とこなす、堂々たる歌いっぷり。樹京(Gu)のギターも凄まじく、ソロでの連続スイープやら華麗なタッピングやら次々と繰り出される技に目は釘付け。そこから「Deception」「Symbiosis」と疾走感のある速いメタルチューンを続けて。サビは歌謡曲的な歌モノだが、土台はヘドバン曲。観客はもちろんメンバーも全員ヘドバンしながらの演奏で、ドラムなんかよくあんな頭振りながら叩けるなーと感心するくらい。
マリナが“新宿歌舞伎町、魔界都市からやってきましたMardelasです!”と挨拶し、続いてはちょっとテンポを落としたミディアムを数曲。リズミカルな歌詞と跳ねたビートがグルービーな「Rock On!」ではレコーディングでも使ったというフライパンが大活躍。また、ワウギターのリフがファンキーな「On The Lam」は、しどけないヴォーカルも聴きどころ。色っぽいため息もライヴで聴くと格段にテンションが上がる。そんな中、MCではロン毛のヅラをかぶった弓田"HOT"秀明(Dr)が『HOT姉さんのお知らせコーナー』として、9月に本ツアーの“第3幕”が決定していることなどを告知する場面も(それもオネエキャラで(笑))。
そして、“ここから先はマジで首がもげると思うので、覚悟してかかってきて!”のマリナの言葉で後半戦に突入。「D.D.C.」の間奏では超速弾きのギターソロからの本石久幸(Ba)のベースソロなど観せ場もしっかり。続いては一度聴いたら《愛し愛されるより ありふれていた》のサビが頭から離れない名曲「Bullseye」。このキャッチーなメロ部分と大きくヘドバンを誘うリフ部分が交互にくる曲構成はライヴで絶対に盛り上がるはずとにらんでいたが、思った通り。ここで会場の一体感は一気に加速!
続く「D.G.L.」は2ndアルバム『Mardelas II』からの選曲だが、歌詞のテーマは魔界都市。3rdアルバムでも一貫して歌われている世界観だ。そして、シャッフル系のリフが印象的な「Scapegoat」、3rdアルバムでは「Deception」と並ぶ疾走感を誇るスピードメタル「Link」とスロットルを上げていき、マリナの“今日は本当にどうもありがとう! 目を開け!”の台詞とともに繰り出されたのは1stアルバム『Mardelas I』のオープニングを飾る代表曲「Eclipse」。スラッシュ系の容赦なく速いリフに会場はヘドバンの嵐。マリナの驚異的なハイトーンシャウトに完全にノックアウトされて本編は終了した。
アンコールは、MardelasとNoGoDのメンバー全員参加で、それぞれのキラーチューンである「神風」2曲をセッション(同じ曲名だが、違う楽曲)。マリナ×団長のツインヴォーカルや、樹京×Kyrieのツインギターという恐ろしく贅沢な演奏を堪能させてもらった。MCでは団長が“メタル業界の若手化を目指そう”とか“日本語を大事にした、日本人による日本人のためのメタルを作りたい。Mardelasも日本語を大事にしたメタルバンドです!”などと意識高い系メタラー発言も。さすが名門ネクサスレーベル所属、次世代のメタルシーンを担う2大バンドだ!と、大いに頼もしく感じたライヴでもあった。
Mardelas
蛇石マリナのソロプロジェクトとして2014年に活動を開始。及川樹京、hibikiが参加し、同年8月に名古屋E.L.L.にてMardelasとしてデビューライヴを行なう。15年1月、サポートを務めていた弓田“HOT”秀明が正式加入してバンド形式となり、同年4月にアルバム『Mardelas I』でメジャーデビューを果たす。16年6月にはアルバム『Mardelas II』を発表、17年5月にhibikiが脱退。11月にはhibiki脱退後、サポートを務めていた本石久幸がバンドへ正式加入し新体制となる。18年5月に新体制第一弾となる待望のニューアルバム『Mardelas III』をリリースした。
撮影:Misa Sohma(Mardelas)/取材:舟見佳子