RIZEが声の限り歌い、力の限り爆音を鳴らすのは、絶対に伝えたいことがあるから。さまざまな国際情勢の中、ローカルアイデンティティーを歌う「LOCAL DEFENSE ORGANIZATION」でスタートしたこの日のライヴは、まさにそれを実感するものだった。金子ノブアキ(Dr)&KenKen(Ba)兄弟とギタリストのRioが作り出す怒濤のバンドグルーブと、JESSE(Vo&Gu)が歌うシンプルでまっすぐな言葉の数々。もしかするとそれは、去年までなら大げさに聴こえた瞬間もあったかもしれない。けれど3.11を経験した今は、いくつものサークルモッシュが渦巻いた「KAMI」にしろ、「ZERO」にしろ、恐ろしくリアルな歌として心のど真ん中に刺さりまくる。あの日それを象徴していたのが、ニューシングル「LOCAL DEFENSE ORGANIZATION」にもライヴバージョンで収められていた「heiwa」だった。期せずして今の日本を言い当てている「heiwa」の真髄を、目の前にいる満杯のオーディエンスひとりひとりに、リアルなまま届くよう全身全霊で歌うJESSE。その姿や言葉には尋常じゃない気迫と説得力がみなぎっていて、マイクレスで“平和!”と叫んだあの瞬間、それは単なる歌を超えたものとして、あの場にいた全ての人の魂に届いたのではないかと思う。“人生の半分RIZEやってんだから。これからもRIZEは止めねぇから!”。JESSEが最後に言い放ったその言葉は、この夜、珍しく誰ひとりオーディエンスをステージに上げず、ひとりで「カミナリ」を歌い切った彼の真意だった気がする。