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LIVE REPORT

阿部真央

『阿部真央らいぶNo.6』

2015年05月31日
@東京国際フォーラム ホールA

軽やかで、和やかで、とても温かい空気に包まれたライヴだった。柔らかい光がいつまでも降り注いでるような、穏やかな多幸感に満ちた。切なさなや危うさを内包している楽曲でさえ、“彼女の苦悩や葛藤は、この日のこのひと時が生まれるための過程として存在していたのかもしれない”と思えてしまう、そんなライヴ。大切なパートナーとの入籍、授かった新しい命...プライベートな環境の幸せな変化がその源にあるのはもちろんだろうけど、それとともにアーティストとして円熟し始めていることも重なったからこそのステージではないかとも思う。

また、椅子に腰掛けてじっくりゆったり歌い上げるシーンや、贅沢なメドレーなどの初の試みがあった構成もこれまでにないスタイルで、それも楽しく気持ち良い流れが。“体を気遣いながらベストなかたちを”というところから導き出されたスタイルだと思われるが、無理のないやり方を選択したら、それが功を奏して歌の伝わり方に新たな面が見えたり、言葉の表現にも変化が表れていたり。もちろん“細心の注意をはらって無理なく”とは言っても、全身全霊で歌を、音を届けることに変わりはない彼女だから(だから、「ふりぃ」やカウパンク調の「メールのお尻にハートマーク」などのアッパーな曲で跳ねる姿にハラハラもした)、これは意図を超えたひとつの進化の表れと言えるだろう。

“素敵なライヴをありがとうございます”ーーアンコールでの彼女の言葉。お礼を言いたいのは、こちらのほう。お休みが明けで再開する日が、もう待ち遠しい。

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