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LIVE REPORT

TK from 凛として時雨 × amazarashi

『LIQUIDROOM 9th ANNIVERSARY presents “UNDER THE INFLUENCE”』

2013年09月30日
@恵比寿LIQUIDROOM

LIQUIDROOMの恵比寿移転9周年記念であり、恒例の対バン企画『UNDER THE INFLUENCE』。会場に足を踏み入れるとGOTH-TRADが大音量でDJ プレイを繰り広げていたが、訪れた静粛が開演の時を知らせる。先陣はamazarashi。ステージとフロアーを遮る紗幕に映し出される映像と秋田ひろむ(Vo&Gu)の言葉の連打が、会場を瞬時に彼らの空間に変えた。そして、ひと言ひと言に重みを伴って放たれる《今辛いのは 戦ってるから 逃げないから》(「あんたへ」)などの言葉の数々。自問自答を繰り返す中で自己嫌悪、懺悔、劣等感...に溺れそうになるのだが、その胸を締め付けるような感覚は、むしろ楽曲に入り込むほどに浄化されていった。11月20日に控える新作アルバム『あんたへ』からの新曲2曲(「匿名希望」「あんたへ」)を含む全10曲で圧倒的かつ孤高、それでいて誰もが共鳴する空間を作り上げたamazarashiのアクトが終わると、再びGOTH-TRADのDJ タイムをはさみ、後攻のTK from 凛として時雨のステージ。TKがひとりで弾き語る新曲による静かな幕開けから、躍動的なリズム隊に繊細なキーボードとバイオリンが折り重り、紡がれる美しい音像に引っ掻き傷を付けるようなアコギが乗る「flower」へと流れていくと、そこからはTKの独壇場。エモーショナルなバンドサウンドに攻め立てられるが、叫びにも悲鳴にも似たTKのハイトーンが乗ることで、その熱はドライアイスのような冷たい熱さに変わる。同時に、《僕は僕でいれる?》(「Abnormal trick」)などの言葉の欠片が全身に刺さっていく感覚を覚えた。amazarashiには映像と言葉で、TKにはセンシティブなサウンドスケープでもって、自分の弱いところや見たくないところに目を向けさせられた本公演。しかし終演後、そんな自分を許せたというか、それが自分だと受け入れられ、また音楽に救われた気持ちになっていたのは僕だけではないだろう。