よくないね

OKAMOTO'S
よくないね
2025年1月22日に“OKAMOTO'S”がニューアルバム『4EVER』をリリース!15周年10枚目のオリジナルアルバムとなる今作には、10月に先行配信をした「Song 4 You」や、少年ジャンプ原作TVアニメ『Dr.STONE』第三期エンディングテーマ「Where Do We Go?」や少年ジャンプ原作TVアニメ『アンデッドアンラック』第二期エンディングテーマ「この愛に敵うもんはない」の他、新曲を含む全13曲が収録されております。 さて、今日のうたではそんな“OKAMOTO'S”による歌詞エッセイを3週連続でお届け! 今回は第2弾。執筆を担当したのはオカモトコウキです。綴っていただいたのは、収録曲「 よくないね 」にまつわるお話。歌詞を書くときに浮かべた<アキラ>と<ユミ>、そして<僕>の物語とは…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。 アキラの性格がひどく歪んだものになったのは、大学時代に付き合っていた彼女、ユミの影響が大きいと思う。それまでのアキラはどちらかというと女性には奥手なほうで、多分ユミが初めて付き合った女性だったんじゃないか。 僕はアキラとその頃とても仲が良かったから、付き合い出した時の彼の嬉しそうな様子はよく覚えている。ユミとこういう話をしたとか、他の人にとってはどうでも良いことを、生き生きと話している彼はとても純粋で、僕はその様子を見るのが割と好きだった。 が、問題はユミの方だ。二股三股どころの騒ぎではない、彼女はわかりやすいくらい移り気、色々なタイプの男と悪気なく付き合うタイプの女性だった。でも、アキラはそれを知りながらもなかなか彼女とすっぱり断ち切ることができなかった。 それはなぜか? ーーーーー理由は簡単、ユミが魅力的すぎたからだ。 他の男との関係を全て無くしてくれ、といっても、あなたのことが一番大切だよ? と嘯く。かと思えば次の週にはまた新しい男とデートしている。 そんなユミとの関係に尽力するうち、元々実直で素直な性格だったアキラはだんだんと大学の講義もサボるようになったし、彼女がやっているなら俺も、と他の女とも遊んだりするようになった、要するに荒んでいったわけだ。でもユミのようにどこまでも自由というわけにはいかなかった。心の底ではやっぱりユミのことが忘れられなかったから。 ユミのことなんてどうでも良い、という態度に徹することができずに次の日には必死になって連絡を取ろうとした。 で、さらにまずいのは、僕自身がユミと関係を持ってしまったことだ(これはここだけの話だ)。 アキラがいるのになんでそんなことするの? そう聞いた僕に対して彼女はこう答えた。 「んー、人生短いんだし、色々やった方が楽しくない?」 それからしばらくして、アキラとユミは別れたようだった。大学を卒業して、他の同級生と同じように、二人とも疎遠になってしまった。それから連絡することなく数年が過ぎた。 ある日突然、インスタグラムでアキラが「おすすめ」の欄に出てきた。それで久しぶりに連絡をとってみて、実際会ったりはしてないけど、数ヶ月に一回くらいどうでもいいDM を取り合うような仲になった。ストーリーズに反応するとか、その程度の仲だ。 ある日気まぐれにアキラがフォローしている人を見ていたら、ユミがいた。ユミは結婚してもう子どももいてすっかり幸せそうになっていた。 よくよく見るとそんなユミの投稿にアキラは全て「いいね」をしている。マジか。 すっかりアキラはユミのことは忘れたと思ってたのに一枚一枚全ての写真に「いいね」していてちょっと怖い。結婚したユミの幸せそうな子どもの写真にも。旦那と写っている写真にも。 でも僕は知っている。本当はアキラが今でもユミのことが好きだってこと。 「いいね」を押しているけど、本当はそう思ってなくて、なんで俺のことを見てくれないんだ、俺のことが絶対に好きなはずなのにって思ってることを。 僕はアキラがユミに「いいね」を押しているのをみるといつも思ってしまう。 お前が押したいのは「よくないね」だろ。 …みたいな話を頭で思い浮かべながら歌詞を書きました(汗)。 <OKAMOTO'S・オカモトコウキ> ◆紹介曲「 よくないね 」 作詞:オカモトコウキ 作曲:オカモトコウキ ◆ニューアルバム『4EVER』 2025年1月22日発売 <収録曲> 1.ありがとう 2.4EVER 3.Greatest World 4.Continue 5.Skit 1: Get loaded 6.LOAD 7.Cheep Hero 8.よくないね 9.Where Do We Go? 10.カーニバル(Album ver.) 11.Skit 2: Nothing can challenge this love 12.この愛に敵うもんはない 13.Song 4 You