初めて未来にあるエンディングを感じた瞬間だった。

 2019年8月7日に“SCANDAL”がデジタルシングル「Fuzzy」をリリースしました。今作は、言葉にできない曖昧な気持ちが胸を締めつける、夏のほろ苦いラブソング。歌ネットにて、8月2日から歌詞先行公開がスタートすると、瞬く間にアクセス数が上昇し、翌日の【注目度ランキング】で見事、首位に君臨いたしました。
 
 さて、今日のうたコラムではリリース前から注目を集めていたそんな新曲をご紹介。今回は特別に、作詞を手掛けた“SCANDAL・RINA”本人が、歌詞エッセイを執筆してくださいました。子どもの頃の記憶。大人になった今の気持ち。そしてこれからへの意思。この歌に込められている様々な“大切”を是非、歌詞と共に受け取ってください…!

~「Fuzzy」歌詞エッセイ~

いつか必ずくるエンディングを浮かべてしまうときがある。何かを放棄したり卑屈になったりしているのではなく、あくまでも前向きに。気が付けばいつからか、全てには終わりがあることを受け入れるようになった。自分に起こる良いことも悪いことも、一番長くてたった一生なのだ。

小学6年生の夏。当時通っていた学校はいわゆる田舎のマンモス校で、町中の子供達がその学校に集まっていたので、次第に教室が足りなくなり、校舎の増築が完了するまで、私のクラスは体育館前に建てられたプレハブ小屋で勉強することになった。使い慣れた教室から何往復もして、机や教科書を移動させるのに疲れて不満そうなクラスメイトも居たけれど、私はなんだか特別感があって、嬉しかった。(新型のクーラーも着いてたしラッキー!)

その仮校舎でのテストの日。通常の授業とは違った真剣な空気が漂う静かな教室で、ふと解答用紙から目を離し、ほんの数秒、席から教室を見渡した。私以外の全員が解答用紙をじっと見つめて鉛筆を滑らす音が聞こえた。その時、何故か“ここに居る全員とずっと一緒には居られないんだなぁ”と思った。

記憶にある限りでは、その日が初めて未来にあるエンディングを感じた瞬間だった。

大人になった今、生活の中にある恋や仕事や友情やソレ等は多分きっと、死ぬまでに何度か相手や場所や形を変えて繰り返されてゆく。その中に途切れながらでも続くものと、もう二度と再開することなく思い出になるものがあるんだと思う。

「ずっと一緒に居よう。」の、口約束より儚いルールはない。どうなるのか分からない危うさがあるからこそ、「このまま永遠にあなたの傍に居たい」と思える瞬間をロマンチックに感じられる。だから、今が大事だ。日常には不安も必要だ。少しの切なさもちゃんと胸に秘めながら恋をしたり、音楽や今を好きでいられたら良いなと思う。

2019年8月21日、バンド結成13年目を迎える。この短い期間の中にも色んな時代があって、年齢や気分に合わせて色んなスタイルで音楽を続けてきたので、世間から様々なイメージを持たれているバンドだと思う。

“Fuzzy”は、日本語に訳すと“曖昧”。SCANDAL史上最も生々しく、人間味のあるラブソングで、今の自分たちにベストマッチする曲が書けたと思う。ここから先どんな風に歩んでゆくのか、なにが起こるのか正直自分たちにも分からないけれど、かけがえのない今をずっとこの4人で繋いでいきたいと思っている。

<SCANDAL・RINA>

◆紹介曲「Fuzzy」/SCANDAL
作詞:RINA
作曲:MAMI

2019.08.07
Digital Single「Fuzzy」Release
https://jvcmusic.lnk.to/fuzzy

『Fuzzy』Music Video
https://youtu.be/AOL2W8HOQjA