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今日のうた

wacci

あなたも早くなってね、別の人の彼氏に。

言葉と気持ちは違うの。
「こんなのデートじゃないんだからね」
って言うのはデートでしょ。
「絶対怒らないから本当のこと言って」
って言われて本当のこと言ったら
めっちゃ怒られるでしょ。
それが行間。
(ドラマ『カルテット』より)

 みなさんも、自分の気持ちと裏腹の言葉を口にしたことってありませんか? 誰かからの言葉の行間に含まれている気持ちを読み取ろうと頭を悩ませたことってありませんか? 今日のうたコラムでは、そんな【行間案件】が描かれているラブソングをご紹介いたします。2018年8月22日に5人組バンド“wacci”が配信リリースした新曲「別の人の彼女になったよ」です。すでにタイトルだけでもインパクト大ですね…。

別の人の彼女になったよ
今度はあなたみたいに
一緒にフェスで大はしゃぎとかはしないタイプだけど
余裕があって大人で 本当に優しくしてくれるの

別の人の彼女になったよ
今度はあなたみたいに
映画見てても私より泣いてることなんてないし
どんなことにも詳しくて 本当に尊敬できる人なの

キスや態度だけで 終わらせたりせずに
ちゃんと「好きだ」という 言葉でくれるの
怒鳴りあいはおろか 口喧嘩もなくて
むしろ怒るとこが どこにもないの
「別の人の彼女になったよ」/wacci

 この歌は<別の人の彼女になったよ>というひと言で始まり、元カレである<あなた>に現状を次々と報告してゆくという強烈な内容。リスナーからは「この女性の思考が分からない。元彼に別の人の彼女になったよって普通言う?」といった意見も上がっているそうです。しかし、そもそも<私>は、別れた<あなた>に直接これほどの内容を伝えたのでしょうか。おそらくそうではない気がします。

 たとえば、インスタで新恋人とのデートを投稿する。それは、彼女のSNSを見ているかもしれない<あなた>に対する、文字にはしてないメッセージだとも言えますよね。声なき声です。しかもそのデート写真はきっと<一緒にフェスで大はしゃぎとか>とはかけ離れたもの。そうやって、新恋人が<余裕があって大人で 本当に優しくしてくれる>ことや<どんなことにも詳しくて 本当に尊敬できる人>であることを匂わせているのかもしれません。

 ただし、ここで思い出したいのが【行間案件】です。歌詞に描かれている“言葉”は一見、ただ<別の人>へのノロケ。だけど実は、彼女の“気持ち”のベクトルは<あなた>との思い出に向いているのではないでしょうか。つまり行間には、<一緒にフェスで大はしゃぎとか>したよね、<映画見てても私より泣いて>たよね、と懐かしむ想いが含まれているということ。さらに、いつも<怒鳴りあい>や<口喧嘩>ばかりだったね、それで結局は別れることになっちゃったね、という淋しさも…。

だからもう会えないや ごめんね
だからもう会えないや ごめんね
あなたも早くなってね
別の人の彼氏に
「別の人の彼女になったよ」/wacci

 そしてこちらがサビフレーズ。あくまで想像ですが、ここでは、彼女の言葉が【行間案件】であることをいっそう強く感じませんか? 別の人の彼女になったよ、穏やかで幸せな日々を過ごしているよ、<だからもう会えないや ごめんね>…ではないのです。別の人の彼女になったよ、それでも<あなた>との日々が忘れられないの、だからまだ会いたいの。それが本当に伝えたいことなのです。ゆえに<あなたも早くなってね 別の人の彼氏に>なんて言葉も、内心は正反対のことを願っているように思えます。

別の人の彼女になったよ
あなたの時みたいに
すっぴんだって笑っていられる私ではなくて
一生懸命お洒落して なるべくちゃんとしてるの

別の人の彼女になったよ
あなたの時みたいに
大きな声で愚痴を言うような私ではなくて
それをすると少しだけ 叱られてしまうから

夢や希望とかを 語ることを嫌って
ちゃんと現実をね 見つめていて
正しいことだけしか 言わないから
ずっとさらけ出せず おとなしくしてるの
「別の人の彼女になったよ」/wacci

 さらに歌が進むにつれ【行間】にはますます<あなた>への想いが募ってゆきます。良く言えば<別の人の彼女に>なってから、相手を好きだからこそ、ありのままの自分よりちょっと良い自分でいたいと思えて、努力ができているのでしょう。でも逆に言えば、なんだか自分まで<別の人>になってゆくようで、息苦しいのではないでしょうか。その本音が漏れてしまっているのが<ずっとさらけ出せず おとなしくしてるの>というフレーズです。
 
 そんなとき<すっぴんだって笑っていられる私>でいられて、嫌なことがあれば<大きな声で愚痴を言うような私>でいられた<あなた>を恋しく思ってしまう。たまに間違いもするけど、キラキラした瞳で<夢や希望とかを>語っていた<あなた>を愛しく思ってしまう。別の人の彼女になったくせにズルいとはわかっていながらも<私>の心では今、そうした想いが揺れているのではないでしょうか。
 
 もっと言えば<別の人>と<あなた>という呼び方の違いからも、今の<私>の心はどちらと距離が近いのか、わかりますよね…。では<別の人の彼女になったよ>と告げてきた<私>は、この歌の最後の最後にどんな想いを綴っているのか…。それは是非、歌詞の全文を読んでチェックしてみてください。いろんな解釈が出来そうな、wacci「別の人の彼女になったよ」。あなたなら、この先にどんな物語が続いてゆくと思いますか…?
 
<ボーカル・橋口洋平 セルフライナーノーツ>
“好き”と“幸せ”は必ずしもイコールではなくて、でも両方とても大切で。忘れられない恋愛より自分のための恋愛を選んだ人の少しだけ後ろを振り返る歌です。前の彼氏はこういう人。今の彼氏はこういう人。書いたのはそれだけ。最後は少し気持ちを吐露してますが、このシチュエーションの奥にある心理描写はあなたに委ねます。wacci初の、女性目線で描いた一曲。是非聞いてみてください。

◆紹介曲「別の人の彼女になったよ」
2018年8月22日発売
作詞:橋口洋平
作曲:橋口洋平