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今日のうた

ポルカドットスティングレイ

それでもあなたを引き止めたのはなぜ。

 2018年5月9日に“ポルカドットスティングレイ”が2nd mini ALBUM『一大事』をリリースしました。今日のうたコラムでは、今作から新曲「リスミー」をご紹介。この歌は、気だるい浮遊感のあるサウンドに、憂いを帯びた歌声が印象的なラブソング。ちなみに、タイトルの「リスミー」とは【睡眠薬】の名前のことです。これは一体、何を象徴している言葉なのでしょうか。

7時のあなたのアラームは
うるさくて私が止めた
あのゲームのディスクを抜いたPS4が
もぬけの殻みたい

片目だけコンタクトを落としても
半分こにならないあなた
今更探す気もないけど
あのときどうすればよかったのかな

空中遊泳しましょう
遠くなってくアスファルト
帰ってこられなくていいの
思えば、あなたっていつも土足なんだね
「リスミー」/ポルカドットスティングレイ

 今は、朝の7時なのか、夜の7時なのか。彼女は<あなた>と一緒に眠っていたのか、ひとり眠れずにボーっとしていたのか。いずれにせよ歌詞の冒頭からも、サウンドや歌声に通じるような、モヤモヤ無気力な感情が伝わってきます。そばに愛する人がいるのに。いえ、そばに愛する人がいるからこそ…。おそらくこの二人は、どこか地に足がついていないような関係をフワフワと続けているのではないでしょうか。

 それが<空中遊泳>というワードや<遠くなってくアスファルト>というフレーズに表れております。ただし<私>には「これでいいのか…」という迷いもある模様。だからこそ<あのときどうすればよかったのかな>という“もしも”も頭に浮ぶのです。それでも結局、行き着くのは<帰ってこられなくていいの>という答え。そうして、物事や感情をちゃんと見つめるための心の<コンタクト>を片目だけ落とした状態で、存在が<半分こにならないあなた>とボンヤリ現在を生きているのです。

私たち 曖昧に愛し合ってさあ、
いつの間にか夜にでもなってさ
夜風に乗せて不完全な今日を飛ばしている、
そうでしょう
過ぎていった時間や人々を
ほんの少し後悔しながら
片手で、あるべきだった今日を探している
探している
「リスミー」/ポルカドットスティングレイ

 曖昧に愛し合い、いつの間にか夜になり、不完全な今日を飛ばし続けている。それがこの二人の現在です。そして、このように何とか“安らぎ”を補うような感覚は、眠れない夜に【睡眠薬(リスミー)】に頼ることと似ているのかもしれませんね。疲れを取り、心身の健康を保ち、気持ちよく毎日を生きるために大切な睡眠。この歌ではそんな【睡眠】を【愛】に重ねているような気がします。

 つまり【睡眠不足】=【愛の不足】に陥っている<私>は、もう【睡眠薬】=【曖昧な愛】が欠かせないものとなっているのでしょう。内心<あのときどうすればよかったのかな>とたびたび考えて<片手で、あるべきだった今日を探し>ながらも、今の関係に依存してしまっているのでしょう。さらに【睡眠薬】も【曖昧な愛】も使用した時間が長ければ長いほど、手放すことが難しくなってしまうんですよね…。

好きでも嫌いでもない
あのバンドは解散したし
ああ、あいつはきっと努力をしているし
そのままの私を嫌われるのが怖くて
結局いつも

もしも2人はぐれても
変わらず生きられるよ
きっとすぐに忘れるの
それでもあなたを引き止めたのはなぜ
「リスミー」/ポルカドットスティングレイ

 しかし二人が<不完全な今日を飛ばして>曖昧に愛し合っている間にも、時間は過ぎ去ってゆくし、人々は変わってゆきます。それに対する不安や焦燥、後悔も歌詞から伝わってきますね。もういっそ<好きでも嫌いでもない あのバンドは解散した>ように、はぐれても変わらず生きられる<私>と<あなた>も別れてしまえばいいと考えたこともあるはず。でも<それでもあなたを引き止めたのはなぜ>か…。

私たち 曖昧に愛し合ってさあ、
いつの間にか夜にでもなってさ
夜風に乗せて不完全な今日を飛ばしている、
そうでしょう
もしあなたとはぐれてしまっても
私きっと、死ぬわけじゃないけれど
多分、今よりもすごく後悔してしまう
気がしている
「リスミー」/ポルカドットスティングレイ

 それは、別れてしまったら<多分、今よりもすごく後悔してしまう 気がしている>からです。その後悔は<過ぎていった時間や人々>に対する<ほんの少し後悔>と天秤にかけても、圧倒的に大きいものなのでしょう。依存だろうと、曖昧な愛だろうと、やっぱり<あなた>は必要な存在。また、そのままの自分を<嫌われるのが>怖いという<私>は、正反対に<いつも土足>な<あなた>に心から惹かれているようにも思えます。
 
 曖昧でボンヤリしたカリソメの愛のようでもあり、実は芯の強い本物の愛のようでもある。そんな絶妙な感情が揺れているのが、このポルカドットスティングレイ「リスミー」の魅力です。是非、サウンドに、歌声に、歌詞に、聴き浸ってみてください。