相手を愛しく思う瞬間を書こうと決めた。

 「The Surf Beat Music」を掲げ、Rock、レゲエ、R&B など様々なジャンルの要素が入り混じった新しいサウンドに、CityとSurfが融合する新世代ハイブリッド・バンド“SPiCYSOL”が2021年4月7日にリリース、デジタルEP『ONE-EP』を提げ待望のメジャーデビュー!今作にはメジャー第1弾作品として込められた、それぞれ「ONE」というテーマに基づく全3曲が収録されております。

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作から、“SPiCYSOL”のボーカル・KENNYによる歌詞エッセイを2週連続でお届け。今回はその第1弾。TELASA初オリジナルドラマ『主夫メゾン』の主題歌、バンド初となる書き下ろし楽曲「ONLY ONE」についてのお話です。是非、歌詞と併せてお楽しみください…!

~歌詞エッセイ第1弾:「ONLY ONE」~

この曲の制作は突然始まった。制作時期はちょうど僕らがメジャーデビューを控え、日夜チームで試行錯誤していた時だった。メジャーデビューのタイミングは大人的な事情はもちろん、デビューする本人にとっては人生をかけた勝負の一つのため、華麗なデビューのエッセンスとしてドラマタイアップはでかい。

そんな中、テラサ初のドラマ『主夫メゾン』の話をいただいた。ドラマならどんなものでも嬉しかったが、一風変わったストーリーに、僕らの制作意欲はより一層湧いた。

ミュージシャンになる上で“自分の曲がドラマに使われるとしたら”と想像しない人はいないだろう。こんなシーンにはこんな曲。こんなセリフの後ろにはこんな音。と、まるで初デートの服選びをする女子のように、新メニューを開発するシェフのように、僕の頭の中には沢山の音やフレーズが鳴っていた。

おそらく5曲ほど(もっとか?)を作った。出来ては違うとボツにしていき、ようやく「ONLY ONE」のサビまで辿り着いた。そして曲全体の歌詞感と始まり方に、僕は立ち往生していた。

"買う"から"聴く"のストリーミング時代において、曲の始まり方、最初に歌うワードが、その後も聴いてもらえるかに大きく左右する。ただ自分の好きな曲や歌いたい事を歌えばいいわけじゃないから余計にプレッシャーがある。そしてそのマインドに入った瞬間から負のスパイラルで良いアイディアなんて生まれない。

悩み疲れて気晴らしに見ていたSNSで、初々しいカップルが出てきた時に、ふと“よく考えたら、結婚もしてない俺が夫婦の苦労や夫婦ならではの喜びが分かるわけねーじゃん”って思った。そう思った瞬間、ふっと力が抜け楽になった。

そして、夫婦だろうが付き合いたてのカップルだろうが変らなく相手を愛しく思う瞬間を書こうと決めた。そこからは早かった。

この曲は愛する人と共にできる時間に幸せを感じる歌。最愛の相手は、こんなにも沢山の人が生きる世界で見つけたONLY ONE。そしてあなたも相手にとってのONLY ONE。

<SPiCYSOL・KENNY(Vo.)>

◆紹介曲「ONLY ONE
作詞:KENNY
作曲:SPiCYSOL

◆メジャー1stデジタルEP『ONE-EP』
2021年4月7日発売