私のすべての執着が歌に吸い取られていると言っても過言ではない。
Ms.OOJA
私のすべての執着が歌に吸い取られていると言っても過言ではない。
メジャーデビュー10周年を迎え、2022年3月27日(日)に初の日本武道館単独公演開催を発表した“Ms.OOJA”が、2月16日にベストアルバム『10th Anniversary Best ~私たちの主題歌~』をリリース!今作にはこれまでの数々の名曲を、「Single Selections」「Ms.OOJA Selections」「Cover & Collaboration Selections」それぞれのテーマで収録。 さて、今日のうたコラムではそんな“Ms.OOJA”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、デビューから今ここに至るまでの様々な想いと軌跡です。ベストアルバムを作るにあたり、過去の作品たちを聴き直したとき、感じた気持ちとは。そしてこれからの意志とは。是非、今作と併せて、このエッセイを受け取ってください。 コロナ禍で迎えた2021年2月16日のメジャーデビュー10周年、元々計画していたプランは一度白紙になった。先の見えない中で、出来ることをやろうとスタートさせたのは、10月リリースのアルバム『PRESENT』を含む全13ヶ月連続リリース。その締めくくりとなるのが、2022年2月16日の11周年のデビュー日にリリースされる『10th Anniversary Best~私たちの主題歌~』だ。 メジャーデビュー10周年、インタビューなどで「どんな10年でしたか?」との質問に「あっという間でした」と答えることが多くなった。なんてありきたりな答えなのだろうと思うけど、本当に気づいたら10年経っていたのだからしょうがない。もちろん10年の重みはそれなりにあるはあるし、短い年月ではないことも実感している。 デビュー当時の2011年はいわゆる「着うた」の全盛期の頃で、CDが少しずつ下火になる気配を見せながら、一方で「着うた」を含むダウンロードという新しいスタイルが浸透しつつあり、そこからサブスクに移行するまでの、ちょうど移り変わりの時期だったと捉えている。「着うた」系と呼ばれるアーティストがゴロゴロといて盛り上がっていた。 2012年リリースの「Be. . .」などは、まさに「着うた」系の勢いも借りた100万ダウンロードだったと思っている。毎朝レコチョクのランキングを朝5時にチェックして一喜一憂していたのが懐かしい。 デビュー当時、名古屋から通っていた日々から一気に東京での稼働が増え、大きなキャリーバッグを2個抱えてのホテル生活を半年ほどした。ホテルと仕事場と地方の行き来でプライベートな時間などほぼなく、移動中はぐったりと眠りこけていた。 ほどなく上京してからも、仕事と家を行き来するだけの生活は続いた。東京で遊ぶ友達も時間も全然なかったけど、それでもそんな日々は全く苦しくなかった。むしろ音楽以外のことを考えない暮らしが嬉しくてしょうがなかった。 月日が流れるにつれて、気づけば同時期にチャートを賑わせていたアーティストたちが姿を見せなくなっていた。1年・2年でメジャー契約を打ち切られるアーティストもたくさんいた。 未だに見る夢がある。バイトのシフトに入る夢だ。デビュー直前まで百貨店でやっていたアパレル販売員は、やりがいのある仕事だったけど、歌だけで生きていきたいというジレンマを抱えながら働いていた。そのバイトに今の状態で入る夢だ。 「お客さんにMs.OOJAだってバレたら嫌だな?」とか「他の店舗の人はどう思うかな?」とか考える一方で、「先月のバイト代もらったっけ?」とかも考えていて、かなりリアルな心情である。 自分はいつかデビュー前の生活に戻ってしまうのではないか。そんな危機感は潜在的にずっと持ち続けていた。それくらい厳しい世界であるということだ。ただひたすら、目の前のことを一生懸命にやり続けること、それ以外にやれることなんてなかったけど、気づいたら10年という月日が経っていた。 今回のBEST ALBUMを作るにあたって過去の作品たちを聴き直して、がむしゃらだったり不器用だったり、私の歌が、その時をちゃんと表現していて、歌を聴くだけで鼻の奥がツンとなるような感覚があった。照れくさいけど愛おしい。 そして、それ以上にまっすぐに作品に向き合ってきた事実がそこにはあった。いろんな葛藤があったし、迷っていた時期もあったけど、こうして振り返ってみるとすべてがMs.OOJAらしく輝いている。なかなか頑張ったじゃないか!と褒めてあげたい気持ちになった。 大好きだからこそ、そこからこぼれてしまう危機感を常に持ちながら必死に食らいついていく。そんなしつこさを、私は歌に対してだけは懲りずに持ち続けていて、それは歌を始めた17歳の頃から変わらない。私のすべての執着が歌に吸い取られていると言っても過言ではない。それが私の唯一の才能なんじゃないかとここ最近は思っている。 オリジナルもカバーもコラボレーションも、どれをとってもMs.OOJAにとって欠かせない要素であるし、その根底にあるものは「歌うことが好き」というシンプルな思いだ。 そして、その歌を聴いてくれた人が何か感じて、自分の主題歌にして人生を共に歩いてくれる。その人の中で生き続けて、時間と共に薄れていっても、また曲を聴くことでタイムマシンのように蘇る。そんな力が音楽にはあると思うし、その一端を担えることは歌い手としてこれ以上の喜びはない。そのエピソードを、私が知ることはないとしても。もしも知れたとしたら、それは大きなご褒美だ。 10年という月日は、右往左往しながらも、自分らしい歩き方を学ぶものだったと思っている。今やっと、スタート地点に立ったような感覚だ。ここから20周年、30年周年に向けた道は、もっと険しいかもしれないけれど、もっと自由で楽しい道であるだろうと確信している。 その節目の記念として『10th Anniversary Best~私たちの主題歌~』が発売になる。ベスト盤としてはもちろん、一つの作品としてもクオリティーの高い、聴き応えのあるものだと思っている。 これまでもこれからも、共に寄り添って歩いていけるような音楽を届けていける歌手でありたい。そんな決意表明の作品でもある。ぜひこの機会に聴いてみて欲しい。 <Ms.OOJA> ◆10周年記念ベストアルバム 『10th Anniversary Best ~私たちの主題歌~』 2022年02月16日発売 通常盤(3CD) UMCK-1708/10 ¥4,500 (税込) <収録曲> DISC-1 【Single Selections】 It's OK Life Cry day... ジレンマ~I'm your side~ Be... My Way 30 ANSWER また恋をすることなど 翼 あなたに会えなくなる日まで You are Beautiful WAY YOU ARE with 小渕健太郎 I Remember You feat. AK-69 鐘が鳴る Who Are You Open door(2022/01/16配信) DISC-2 【Ms.OOJA Selections】 Baby don't know why Dear I can change Letter 優しい雨 I WILL ORANGE I'm ALIVE Footprint 花 White Letter Be myself WITH 星をこえて 海を見てる はじまりの時 DISC-3 【Cover & Collaboration Selections】 let go First Love Ti Amo 最後の雨(Album ver.) このまま君だけを奪い去りたい Time goes by ら・ら・ら 空と君のあいだに 慟哭 未来予想図Ⅱ 三日月 フライディ・チャイナタウン 真夜中のドア/Stay With Me また君と feat. Ms.OOJA / JAY’ED 愛とは duet with Ms.OOJA / 黒沢 薫 しあわせ feat. Ms.OOJA & SALU / SPICY CHOCOLATE