やさしさとは「ゆるす」ということ…。

Anly+スキマスイッチ=
やさしさとは「ゆるす」ということ…。
もうたくさんだと思いながら 見上げる月明かりの 心にしみ入るような美しさを 私は知っている。 (吉本ばなな「キッチン」より引用) 作家・吉本ばななさんの小説「キッチン」のなかの一文です。ちなみに、この作品は両親と祖父を早くに亡くし、そして共に暮らしてきた祖母さえも亡くしてしまったことで天涯孤独の身となった大学生の女の子の物語。『もうたくさんだ』…みなさんも日々に疲れ切ってそんなふうにため息をつく夜はありませんか?でも、その心の暗闇が深ければ深いほど、本当に、ふと見上げたときの月明かりの『心にしみ入るような美しさ』ってほのかな希望になるんですよねぇ。 さて、今日のうたコラムでもそんな“闇”があるからこそ感じる<焼きつくほどに強く 消えない>光を描いた新曲をご紹介いたします。沖縄の離島出身のシンガーソングライター・Anlyと、国民的人気ユニット・スキマスイッチによる異色のコラボレーションユニット“Anly+スキマスイッチ=”(読み:アンリィスキマスイッチ)が2017年3月1日にリリースした新曲「この闇を照らす光のむこうに」です。ではまず、Anlyが手がけた1番の歌詞に注目してみましょう。 絶望 失望 どこまでも暗い 息を吸うのさえも もう苦しくて 掴みたい 掴めない 差し伸べられた手を 誰も信じられず 振り払ってしまう 目に映るすべてを 疑うことなく ただありのまま 受け止められたなら 瞬きするたびに こぼれおちるものを 愛と呼べる日々が くるのかな 生まれたときのような 澄んだ瞳なら かけがえのないものが 見えるの? 「この闇を照らす光のむこうに」/Anly+スキマスイッチ= 絶望や失望は、生まれたときから知っているものではありません。息を吸うのさえも苦しくなるような経験を、大人になるにつれ何度も重ねてしまったからこそ、いざというとき<差し伸べられた手を 誰も信じられず 振り払ってしまう>ようになるのです。しかし、時は巻き戻せませんし、記憶をなかったことにもできませんよね。もう<生まれたときのような 澄んだ瞳>を取り戻せないとしたら、どうすれば<愛>や<かけがえのないもの>を感じられるようになるのでしょうか…。 愛情 友情 交わした約束 触れやしないから 信じあえなくなる 視える 視えない “こころ”は何色? 深く覗き込む程 滲んでしまう 苛立ちと憎しみが 精神(こころ)を掻き乱す そして簡単に 僕は壊れていく 今にも消えそうな か弱い曲線で 輪郭を描いては 塗り重ねていく 濁るだけ濁して 黒くなるくらいなら いっそ全てを覆う闇で 隠して 「この闇を照らす光のむこうに」/Anly+スキマスイッチ= こちらはスキマスイッチが手がけた2番の歌詞。1番で受けた“闇”が具体的にどんなところから生まれたのか、その闇が自分をどのように蝕んでいくのかがさらに色濃く描かれています。絶望も失望も、愛情や友情を<信じあえなくなる>ような出来事がきっかけで生じることがほとんど。そしてそのボンヤリした“闇”が悪化すると<苛立ちと憎しみ>に変わり、精神を掻き乱し、人を壊してゆくのです。最後の<いっそ全てを覆う闇で 隠して>というフレーズは、もう今にも潰れそうな心の叫びに聴こえますね。 不安や諦めで 断ち切ってしまった世界 自分の居場所も 見失ってしまう そして今気付いた 差し伸べられた手を 受け止める事の意味 やさしさとは「ゆるす」ということ 誰かの温もりで こぼれおちた雫が また誰かの闇を 照らせたなら この眼を閉ざしても 感じる確かな希望(ひかり) 焼きつくほどに強く 消えない 「この闇を照らす光のむこうに」/Anly+スキマスイッチ= しかし、Anlyとスキマスイッチの声が重なり、歌も終盤を迎えたとき、これまで真っ暗だった闇にやっと強い“光”が差し込むのです。いえ、ずっと照らしてくれていた“光”に気づき、自ら心の窓を開きそれを受け入れることができたのです。今までのことを全部チャラにして<生まれたときのような 澄んだ瞳>に戻ることはできない。でも<やさしさとは「ゆるす」ということ>…。過去を“ゆるす”ことで人はまた<希望(ひかり)>を信じ、そのむこうにある<愛>や<かけがえのないもの>を感じる力を取り戻せるのでしょう。 尚、「この闇を照らす光のむこうに」は、現在放送中のドラマ『視覚探偵 日暮旅人』のED曲として書き下ろされたもの。このドラマの主人公は、聴覚、嗅覚、味覚、触覚…五感のうち四つの感覚を失っており、唯一残り研ぎ澄まされた“視覚”だけで事件を解決していくという探偵なのです。そういえば歌詞を見てみると<目に映るすべて>、<瞬きするたびに>、<澄んだ瞳なら>、<視える 視えない>、<深く覗き込む程>、<この眼を閉ざしても 感じる確かな希望(ひかり)>など“視覚”に関するワードばかりであることに気がつきますね…! 今、絶望や失望のなかにいる方、誰とも信じあえなくなっている方、不安や諦めで世界を断ち切ってしまっている方、是非、今こそ“Anly+スキマスイッチ=”の「この闇を照らす光のむこうに」を聴いてみてください。きっとこの歌の最後には光が『心にしみ入るような美しさを』あなたもひしひしと感じるハズです…! ◆紹介曲「 この闇を照らす光のむこうに 」 作詞:Anly・大橋卓弥・常田真太郎 作曲:Anly・大橋卓弥・常田真太郎 ◆Anly+スキマスイッチ= 「この闇を照らす光のむこうに」 2017年3月1日発売 初回生産限定盤(CD+DVD) SRCL-9326〜7 ¥1,574+tax 通常盤 SRCL-9328 ¥1,111+tax <収録曲> M1.この闇を照らす光のむこうに M2.イギリス M3.カラノココロ Acoustic Version M4.この闇を照らす光のむこうに Instrumental