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SUPER★DRAGON ライヴレポート

【SUPER★DRAGON ライヴレポート】 『SUPER★DRAGON ONEMAN LIVE 「NEO CYBER CITY ‐ネオサイバーシティ‐」』 2021年4月9日 at Zepp Haneda (TOKYO)

2021年04月09日
@Zepp Haneda (TOKYO)

495日。SUPER★DRAGON(以下、スパドラ)が前回、有観客でライヴを開催してから、これだけの日が経った。ライヴを主戦場としていた彼らはオンラインに場所を切り替え、気持ちを新たに活動を続けていたが、その場でエネルギーを交換し合う有観客のライヴは、彼らにとっては欠かすことができない、大切で大事な場所。昨年の春のツアーが中止になり、今年頭についに開催できると思ったが中止に。何度も悔しい想いをして、それでも走り続けてきた彼らが、ついに495年振りに、4月9日と10日(2公演)にZepp Haneda(TOKYO)にてファンの目の前に立つことができたのだ。その初日をレポートするーー。

本公演『NEO CYBCER CITY-ネオサイバーシティ-』は荒廃した近未来を舞台に、謎のシェルターで共同生活をする9人が見たことのない外の世界へと脱出を試みるというコンセプトで展開。ライヴハウスに響き渡る爆発的な音の中で手を高く掲げ、クラップを始めると、ステージの両サイドから花火が上がり、赤いライトに包まれた彼らは「Untouchable MAX」で腕を銃に見立て、客席を撃つ。妖艶なダンスで目を惹きつける5人。観客は声を出せないが、全身で彼らを感じ取ろうとする気配、そして興奮を堪えきれず漏れる呼吸が生のライヴに再び参加することができた喜びであふれていた。

ダンサブルな「LRL -Left Right Left-」では、より大人の色気を帯びた松村和哉の低音と一気に場の空気感を変える妖艶な歌声を持つ池田彪馬、そして“帝王感”がさらに増した古川 毅のヴォーカルがマイクをつなぐ。この曲の《何かが足りない》《誰にも支配されたくないんだ》というフレーズは、まさに本公演のコンセプトと合致し、より世界観が強く響く。「La Vida Loca」ではパワフルで居ながら繊細に、そして楽しそうなダンスを魅せるグループの長男、志村玲於がとても印象的だ。オンラインライヴで培った映像とのコラボレーションをしっかりとここでも魅せ、さらに彼らのライヴのレベルが一段階上がったことを感じさせた。

MCでは飯島 颯が髪の毛をアッシュに染めたことに気づいたファンが声にならない叫びを気配として感じさせる。飯島は“黒髪、卒業しました!”と報告し、古川に“染めた余韻でニヤニヤしてたよね”と可愛いらしいエピソードを披露。対する伊藤壮吾は、お馴染みの車内アナウンスの自己紹介を披露し(Zepp Haneda(TOKYO)の最寄駅の天空橋バージョン!)、パーマをかけたことを話すと、志村はお決まりの“ヨッシャー!”タイムを設けるなど、久しぶりの有観客ライヴにみんなのテンションが上がっていることが手に取るように分かる。さらに、表舞台に立つたびに背が伸びている柴崎 楽はより色気を纏い、独特の空気をはらみ“大好きだよ!”と発言。可愛さと男らしさが同居する彼の成長に驚愕する。松村は療養中の田中洸希いつも自己紹介で披露しているヴォイスパフォーマンスをし、“代わりにやっておきました”とポツリ。古川が“モテるやん!”とツッコむと照れくさそうに。しかし、メンバーがここにはいない洸希のためにしていたことは、これだけじゃない。実はどの曲も田中洸希のポジションは空間が空けられており、それは全て“9人でSUPER★DRAGON”と感じられる、心がアツくなる演出だった。

とはいえ、感傷的にならずジャン海渡がMCでさらに盛り上がると「BLACK BOX」「My Playlist」とたたみかける。どこか不安を煽るトラックに希望を求め続ける彼らの歌声は重厚で、緊張感を持ちながらも煌びやかさを感じることができる。それは、彼らが希望を持ちながら、願いながら歌い、パフォーマンスをするからだろう。

白いシャツとデニムに着替えたメンバーがナチュラルに、コンテンポラリーダンスを披露し、滑らかにメッセージを届ける「Distance」では、この会えなかった期間を体現し、“会える日まで待っていてね”と歌う。その言葉を信じ、待っていたファンの前でこの曲を歌える彼らは笑顔で満ちていて、フロアーはブルーの光が揺れる。まさにファンとメンバーの意思疎通を感じる、ピースフルで素敵な空間となっていた。

ジャンと和哉が激しいマイクリレーを繰り広げた「Set it Off」のあと、玲於が振り付けをした「SAMURAI」を一緒に踊り会場がひとつに。コミカルさを挟みながらも一体になれるまさにライヴナンバーを投下すると、VTRで“なぜこのシェルターに彼らがいるのか?”が説明される。

ーー人間は誰もが粗悪な自分を消し、新たな自分として生きていく。より優秀なクローンのみが新しい世界で生きていく。その“粗悪な部分”こそ彼らだったのだ。外に出ることは“死ぬ”ということ。それを知らずに、外に出ようとする――。

ブラックライトが照らされ、蛍光色に包まれた衣装を着たメンバーが浮かび上がり、《俺たちが時代を変える》と歌う「SUPER★DRAGON」が投下される。どんな時代も革命が起きる時は強い意思、そして大きな犠牲が発生するもの。彼らが今、このコンセプトでこの曲を歌う理由は観る人それぞれに大きな衝撃を与えるだろうが、どんな傷でさえも、犠牲でさえも、どんな自分であっても全てを背負い、抱え、それでも大きな壁を越え続けると叫んでいるように見えたのは、私だけではないはずだ。

その後も「Mada’ Mada’」ではセットの裏側にカメラとともに周り、下からメンバーを映したりと、オンラインライヴのような仕掛けで会場を盛り上げ、玲於がメンバーに背中を預けてアクロバットする激しいパフォーマンスを成功させる。披露されるごとに重厚さを増す「BADASS」と、最後に披露された「SWEET DAVIL」では、さらに会場の温度を上げ、本編を終了させた。

アンコールでは8人に連れられて田中洸希が登場。“お騒がせしてすいませんでした”と頭を下げると、“ゲストの田中洸希くんです!”とイジられ、“俺もメンバーだから!”とツッコむシーンも。元気そうな姿にファンが安心した瞬間だった。洸希もともに「PAYAPAYA」をパフォーマンスし始める。「+IKUZE+」ではタオルを振り回し、ついに洸希がラップを聴かせ、9人が揃うといつも通りワチャワチャと絡み出す。クールに世界観を演出したかと思えば、また嬉しそうに、楽しそうに距離感をなくして絡み合う姿に、スパドラらしさを感じ、愛おしく感じた人も多いはずだ。

ラストには毅がこの495日を振り返り、ファンからの言葉がしっかり届いていたことを告げ、“スパドラ、本当に強くなりました。本当にありがとう”“もっともっとビッグになる可能性しかないんじゃないか”と笑いながら話し、全員が嬉しそうに頷くと、玲於はなんでこの9人なのか、なぜこの9人じゃないとダメなのかを考えた末、毅に泣きながら電話したエピソードを話し、よりスパドラへの愛が強まったことを教えてくれた。そして、洸希は休まなくてはいけなくなってしまったことに対しての悔しさ、それでもファンのみなさんがいてくれる幸せ、これからさらに幸せにしたいという強い意思表明を話すなど、各々がファンへの気持ちをしっかりと伝え、会場からはすすり泣きの音が響き渡っていた。

495日。振り返れば、一年とちょっとととらえてしまうかもしれないが、先の見えないまま一年以上も模索するのは想像以上に苦しい。自分たちは必要とされているのか? 笑顔を与えられているのか? 今後、また一緒に時間を過ごすことはできるのだろうか? そんな思いを経て、それでも自分たちはSUPER★DRAGONでいたい、駆け上っていきたいと意思を強くした彼らの快進撃は、これからさらに加速していく。そんな姿を証明してくれるような、アツくて、強くて、素敵な一夜だった。

撮影:笹森健一、小坂茂雄/取材:吉田可奈

SUPER★DRAGON

スーパー★ドラゴン:スターダストプロモーションが手掛ける若手俳優集団・恵比寿学園男子部“EBiDAN”から生まれた、9人組ミクスチャーユニット。通称“スパドラ”。2016年11月にリリースしたデビューシングル「Pendulum Beat!」は人気アニメ『遊☆戯☆王ARC-V』のオープニング主題歌となり、オリコンデイリーチャート3位にランクイン。ヘヴィロックにラップやダンス、メンバーによるヒューマンビートボックスまで融合させた、ニューミクスチャースタイルな楽曲に、目まぐるしく変わる9人のフォーメーションダンス、そしてキャッチーで一緒に踊りたくなる振り付けが特徴。

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