開演時間を迎えると、楽屋から出てきて、ステージへと向かった天月-あまつき-。そして、辿り着いたステージでアコースティックギターを弾きながら歌い始めた「Dear Moon」。たくさんのLEDで彩られた美しい空間でのひと時のあと、前日と同様、スクリーンに現れたマサえもんとのやり取りが繰り広げられた。“カッコ良くロックなステージを楽しんでほしいか、ラブリーでポップなステージを楽しんでほしいか、どっちにする?”と問いかけられて、天月が選んだテーマは“Rock & Cool”。こうして、生配信ライヴ2日目がスタートしたーー。
演奏を始めたバンドはサックスとトランペットがいた前日とは異なり、チェロを含む編成。ダンサーチームが黒色を基調としたシックな衣装を着ているのも目を引いた。そして、天月が登場して「イデア」がスタート。激しく躍動するサウンドに包まれながら歌っている彼の姿が雄々しい。2曲目「This Night」に突入するとステージ前方で勢い良く立ち上った真っ赤な火柱。背景に流れる映像、ダイナミックな特効、エモーショナルなパフォーマンスが一体となる様にワクワクさせられた。続いて、「Mr. Fake」「ヒロイックシンドローム」、MONGOL800のカバー「小さな恋のうた」なども披露。天月、ダンサーチーム、バンドメンバーたちが、活き活きとした表情を交し合いながらステージ上でともに過ごす時間を楽しんでいたのが印象的であった。
バンドメンバー、ダンサー紹介を交えたインストナンバーを挟んで幕開けた後半戦。ダンサーたちと一緒に情熱的なパフォーマンスを繰り広げた「儚きゴースティング」。チェロの重厚な音色、飛び交うレーザービーム、サイバーな音像が刺激的な空間を作り上げていた「マリオネットラヴァーズ」。疾走感に満ちたサウンドが高鳴った「Ark」...まるで舞台のひと幕を観ているかのようなドラマチックさを噛み締めさせてくれた。そして、“伝えたい言葉を精いっぱい歌いたいと思います”と言ってから披露された「キミトボク」は、彼の活動の軌跡が刻まれている曲であった。ピアノを弾きながら歌い始めて、やがてバンドの演奏も合流。心を込めて届けられた歌声はファンの心を激しく打ったに違いない。
過去の自分に語りかけるかのように歌っていた「Letters to me」は、《楽しい事が楽しいんじゃなくて、楽しんでくれる事が楽しい》という一節が印象的だった。現在の活動の源にあるのは、この気持ちなのだろう。そして、10年間の活動の中で変わったこと、変わらなかったことを振り返った映像とナレーションを経て、「流れ星」とバンドアレンジバージョンの「Dear Moon」で締め括られた本編。アンコールが始まるまでの間、メイキング映像が流れたが、“みんなに出会えて本当に良かった”というナレーションに、彼の実感が集約されているのを感じた。
アンコールの1曲目「スターライトキセキ」を披露した後、“オリジナル曲「儚きゴースティング」「アイビー」「カラフルタッグチーム」「Letters to me」の配信決定”“ポップアップショップ開催”“本間昭光氏のプロデュースによる楽曲制作進行中”“2日間で5万人の視聴ありがとうございました!”...という発表が続いた。そして、10年間の活動の中で、たくさんの人々に支えられ、前に進むことができたことへの感謝を、時折、感極まって声を少し震わせつつ視聴者に伝えた天月。“自粛期間中、考えれば考えるほど、満足に活動できないことが悲しくて、つらくて...。やっとひとつ、ここでみなさんの気持ちに届くようなことができたのではないかと思います。もっともっと天月というコンテンツを楽しんでもらえるように、みんなが胸を張れるような立派な僕でいたいなと思っていますので、これからもよろしくお願いします”と語る。
そして、“自分から見えている世界は簡単に変えることができます。とはいえ、大きく自分の人生を変えてくれる一瞬に出会えるのはなかなか難しい。でも、ありがたいことに僕はそれに出会えた。だからこそ、この感謝はこれからも伝え続けなきゃいけないと思っています”という言葉を添えて届けられた「Hello,My Story」。本来はこの曲で終演を迎える予定だったらしいのだが...歌い終えると“もう1曲やりませんか?”とバンド、ダンサーチーム、スタッフに提案して、「きっと愛って」を急遽披露。歌いながら彼が浮かべていた晴れやかな表情は、ステージに立ち、音楽を届けられる喜びに満ちていた。最後に“これからもまだこの道は続く。みんなとたくさんまた遊べますように!”と言ってステージを後にした天月。10周年という節目を経て、彼がますます力強く前進することを確信させてくれるエンディングであった。
撮影:Tatsuya Kawasaki(isai.inc)/取材:田中 大
天月-あまつき-
あまつき:動画共有サイトにて2010年より動画の投稿を開始。ハイトーンで少年ぽさを色濃く残した歌声は、さわやかでありながらも甘い魅力があり、人懐っこくいたずらっぽさを感じさせるビジュアルとあわせ、多くの人々の心を掴む。また、自身が企画した全国ライヴツアーを行なったり、演劇、朗読劇と活動の幅も広げ、日本のみならず海外のファン層も拡大しており、国内外のイベント出演オファーが相次いでいる。