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LIVE REPORT

フジファブリック ライヴレポート

【フジファブリック ライヴレポート】 『フジファブリック LIVE TOUR 2019 "FEVERMAN"』 2019年4月14日 at Zepp DiverCity TOKYO

2019年04月14日
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今年1月23日にリリースした10作目のアルバム『F』のトップを飾る「Walk On The Way」をじっくりと聴かせ、リラックスしたムードの中、始まった演奏は一転、“1-2-3-4!”というカウントから「SUPER!!」「Sugar!!」と畳み掛けるようにつなげ、一気にテンポアップ。定位置から前に進み出た加藤慎一(Ba)が客を煽り、グッと盛り上げた「Sugar!!」の終盤、いきなりアンプの不具合からギターが鳴らないというハプニングが起きたものの、それを逆手に取ってハンドマイクで歌い始めた山内総一郎(Vo&Gu)は最後、マイクを振り回す熱演を観せると、“こういうハプニングにテンションが上がるタイプのバンドなので、今日は何かが起こりますよ!(笑)” と客席を沸かせた。

この日はフジファブリックのデビュー記念日。“そんな日にライヴができるなんて嬉しい”と語った山内は、デビュー15周年に相応しい最高傑作が完成したと自負する『F』のツアーであることに加え、今回は15年を振り返るというもうひとつのテーマがあることを説明し、“全アルバムから曲をやります!”と宣言。その言葉通り、エッジィな感性とポップセンスが絶妙に入り混じるナンバー「夜明けのBEAT」で客席をさらに盛り上げ、バンドはこの日、『F』の曲を軸にアンコールを含め、新旧の全20曲を披露した。これまでも新旧の曲を織り交ぜ、セットリストを作ってきた彼らだが、山内がアコースティックギターを弾いた「花」「Drop」、そして“時期的にどうしてもやりたかった”(山内)という「桜の季節」は15回目のデビュー記念日だからこその選曲だったのではないだろうか。

そして、終盤ではホーンを同期で鳴らしたポップナンバー「恋するパスタ」で山内が振り付きで歌ったり、加藤が金澤ダイスケ(Key)のリクエストに応えて謎掛けを披露したり、曲が持つ祭りのリズムに合わせて観客と一緒に踊った「Feverman」では祭りの櫓に見立てたキーボードの上で会場をヒートアップさせ、「東京」ではミラーボールが眩い光を放つ中、山内が15年分の愛と感謝をラップで表現しながらコール&レスポンスで盛り上げたりと、さらなる観どころがあった。

そんな記念日らしいハジけたパフォーマンスを楽しみながら、改めてディスコも、フォークも、オルタナも、ポップスも、ニューウェイブも、プログレも飲み込んだ楽曲の多彩さを実感。この日、配信リリースしたフジファブリックの新しいシンガロングナンバー「オーバーライト」でアンコールを締め括る前に、“『F』を作った時は、これが最後のアルバムになってもいいぐらいの気持ちで作ったけど、まだ最後なんていえないと思いました。これから楽しんでもらったり、驚いてもらったりするのが、僕らの使命だと思ってやっていきます”と山内は16年目を踏み出して、さらにその先を目指す気持ちを語ったが、フジファブリックがこれからどんな曲を聴かせてくれるのか、そしてどんなライヴを観せてくれるのか、改めて楽しみになるような2時間30分の熱演だった。

撮影:渡邉一生/取材:山口智男

フジファブリック

フジファブリック:2000年、志村正彦を中心に結成。09年に志村が急逝し、11年夏より山内総一郎、金澤ダイスケ、加藤慎一のメンバー3人体制にて新たに始動。普遍性と抒情性、キャッチーなメロディーとエネルギーあふれるサウンドで独自の世界観を放つシーン屈指の個性派ロックバンド。「銀河」「茜色の夕日」「若者のすべて」などの代表曲を送り出し、『つり球』『宇宙兄弟』『銀の匙 Silver Spoon』と数多くのアニメ主題歌も担当。17年に俳優の山田孝之をフィーチャリングゲストに迎えた、19thシングル「カンヌの休日 feat. 山田孝之」を発表すると、疾走感にあふれ力強い印象的なサウンドとインパクトのある歌詞が話題になった。19年に結成15周年を迎え、同年10月には大阪城ホール単独公演を開催する。

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