聴く度にカーッと胸の奥の方が熱くなり、速度を上げてドクンドクンと脈を打つ。自分が今ここにいることの確証を得られたような安心感に包まれ、聴き応えのあったアルバム『絶体絶命』。二年という歳月を経て誕生した同作は、比類のないRADWIMPSの音楽性をさらに研ぎ澄ました傑作だ。どう足掻いても“自分はひとり”ということに変わりはなく、どの曲からも孤独は見え隠れする。しかし、そこに対して不安は感じない。孤独の先に無限に広がる、もっと自由な世界が見えるから。切っても切り離させない“生と死”の下、慈しみ合う美しさがひとつひとつの音、ひとつひとつの言霊にしっかりと宿っていた。
そんなアルバムを携えて4月から始まったツアーは、開演から息をするのも惜しむほどの高い完成度を誇っていた。素晴らしい楽曲を最高の状態で演出する美しい映像や照明の数々、熱気が充満したフロアで感じる空気、この瞬間にしか味わえないという贅沢な気持ちに浸りながらも、一瞬たりとも気を抜けないという心地良い緊張感。ライヴ特有の独特の空気感の中、かき鳴らされる音に素直に反応していくオーデェンス。イントロが鳴らされるや否や歓喜の声が上がった「DUGOUT」は、想像を優に超える肉厚なサウンドで迫り来れば、野田洋次郎(Vo&Gu)のハートウォーミングな歌声が冴え渡った「透明人間18号」はただ聴き惚れてしまう。楽曲に落とし込まれた熱量がひしひしと伝わってくるのと同じく、バンドがすごく良好な状態であることが分かったライヴだった。