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LIVE REPORT

ASIAN KUNG-FU GENERATION ライヴレポート

【ASIAN KUNG-FU GENERATION ライヴレポート】 『ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2018「BONES & YAMS」』 2018年7月12日 at 新木場STUDIO COAST

2018年07月12日
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“俺たちの心のヒットチャート、トップ20をもれなく演奏します”とゴッチ(後藤正文(Vo&Gu)の呼称)は言った。3月にリリースした『BEST HIT AKG 2 (2012-2018)』と、ゴッチ選曲による“裏ベスト”2作『HONE』『IMO』と連動した『BONES & YAMS』ツアー終盤、7月12日の新木場STUDIO COAST。「Right Now」から始まるセトリは通常のリリースツアーとは大幅に異なり、初期曲「エントランス」と直近シングル「荒野を歩け」が並ぶなど、新旧取り混ぜたレア感が強い。ミディアムテンポが多く、「極楽寺ハートブレイク」「ロードムービー」とゴッチ&喜多建介(Gu&Vo)の2本のギターの絡みで大きなグルーブを作り出す。広い音空間の中でオーディエンスはゆっくりと体を揺らし、熱いというよりあたたかい、余裕ある堅実な演奏ぶりだ。

「サイレン」「無限グライダー」では強烈なストロボの発光をバックにドリーミー&ノイジーな音が炸裂し、壮麗なミディアムバラード「永遠に」へ。サポートキーボードのシモリョー(the chef cooks me)を加えたインプロビゼーションのやり取りなど、プレイヤーとしての腕の観せどころもたっぷりとあった。中盤ではめまぐるしく景色が変わり、「ノーネーム」「未だ見ぬ明日に」と軽やかでダンサブルなビートが続けば、ヘヴィなロックバラード「生者のマーチ」では喜多が力強いギターソロを決める。こうしたディープな曲をじっくり味わえる、今回のツアーに参加したオーディエンスはラッキーだ。

後半へ突入し、「夜を越えて」で一気にテンポが上がった。「サイエンスフィクション」ではフロアーから一斉に手があがるのを観てゴッチがほほ笑み、「融雪」では手拍子を求める。爽快な8ビートに乗って一気に飛ばし、まばゆい虹色のライトに照らされて「新しい世界」を歌い切った時に感じたカタルシスは、ライヴの時間だけではなく、デビュー15年を超えるバンドの歴史を辿り直した充実感がもたらしたものだった。

アンコール。オープニングアクトを飾ったイギリスのシンガーソングライター、ニック・ムーンを招き入れてRadioheadの「High & Dry」をカバー。「ムスタング」から「嘘とワンダーランド」、そして本当のラストはやはりこの曲、ゼロ年代ダンスロックのスタンダード「君という花」だった。ここぞとばかりにフロアーの全員がジャンプを繰り返して大騒ぎ。序盤は軽やかに、中盤はどっぷり、後半とアンコールは明るく弾けて大団円。ベテランの域に入りつつあるバンドらしい、安定感と懐の深さを堪能したライヴだった。

撮影:Tetsuya Yamakawa/取材:宮本英夫

ASIAN KUNG-FU GENERATION

アジアン・カンフー・ジェネレーション:1996年、大学のサークルにて結成。02年にUNDER FLOWER RECORDSより発表したミニアルバム『崩壊アンプリファー』で注目を集める。そして、03年に同作をキューンレコードから異例の再リリース。その後も音源のリリース、ツアー、主催イベント『NANO-MUGEN FES.』と精力的に活動を展開。エモーショナルでポップ、詩情的かつメロディックなギターサウンドで多くのロックファンから高い支持を受けている。