女性ヴォーカル“みあ”による音楽ユニット、三月のパンタシアが6月23日にTSUTAYA O-EASTにて2ndワンマンライヴ『〜星の川、月の船〜』を開催した。本公演はインディーズ時代の人気曲「星の涙」をモチーフにしたオリジナルストーリーを4つの章に分けて構成。お互いに想いを寄せ合いながらもすれ違ってしまう甘酸っぱい恋愛譚の原案をみあ、脚本を加東岳史(劇団GAIA_crew)、ナレーションを豊崎愛生が務めたことでも話題を集め、第四章ではみあがスクリーンの前に登場するというサプライズに驚きの声が上がった。
4部構成となっていたライヴは、“はじまり歌”と題された第一章で、この日の物語が“君と私が出会って、笑いあって過ごした流星のような日々の話”であることが告げられた。ステージ上には巨大なスクリーンが設置されており、上半分にはアニメーションなどの映像が、下半分には歌詞が映し出されていた。ヴォーカルのみあはスクリーンの後ろで歌っているが、歌声だけではなく、身体全体を使って感情を表現しており、『第二章 重ならない空』の冒頭にはナレーションとの掛け合いも。共通の趣味を通して距離を近付けた高校生のふたりは煌めく青春の日々を過ごしていくが、最新シングル「風の声を聴きながら」をもって、卒業の日が近付いていることが知らされた。『第三章 さよならの季節』ではピアノバラード「キミといた夏」で“僕”視点による夏の思い出が語られる。しかし、ふたりの思いはすれ違ったまま、それぞれの未来へと歩んでいってしまう。高校卒業から2年後が描かれた『第四章 星の涙』で、ついに“私”はお互いが近くにいながらも思いを伝えられていなかったことに気付く。ここでみあは、物語に自身を重ねながら“側にいてくれる人に、言わないと伝わらない思いもあると思います。私は今、目の前にいてくれるあなたにちゃんと伝えたいと思います。本当にいつもありがとう”と伝えたかった想いを真っ直ぐに届け、この日初めてスクリーンの前に姿を表して熱唱。ステージの一番前で手を振り、満員の観客から大きな拍手と歓声を浴びた。そこには、空想物語と現実世界が一瞬だけ交錯したような不思議な感覚があり、その余韻は、いい青春映画を見たあとのように今もまだ残っている。
撮影:則常智宏/取材:永堀アツオ
三月のパンタシア
サンガツノパンタシア:どこか憂いを秘めたヴォーカリスト“みあ”の歌声に、多くの人気ネットミュージシャンやイラストレーターらが魅了され、結成されたプロジェクト。みあの歌声で紡がれるストーリーが、時にやさしく、時に切なく、聴き手の心に寄り添い多くの共感を呼んでいる。作品の世界観を彩る美しくどこかノスタルジックなイラストや、イラストと連動して作り上げられている映像作品も話題だ。2016年6月にシングル「はじまりの速度」でメジャーデビューを果たした。