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LIVE REPORT

MUCC

【MUCC】 『MUCC 20TH-21ST ANNIVERSARY 「飛翔への脈拍 ~そして伝説へ」』 2017年6月20日&21日 at 日本武道館

2017年06月20日
@日本武道館

『第I章 97-06 哀ア痛葬是朽鵬6』2017年6月20日 at 日本武道館 『第II章 06-17 極志球業シ終T』2017年6月21日 at 日本武道館

結成20周年を記念した、MUCCの日本武道館2デイズ。初期10年の曲を中心とした初日『第I章 97-06 哀ア痛葬是朽鵬6』(6月20日) 、後期10年の曲を中心とした2日目『第II章 06-17 極志球業シ終T』(6月21日)で、怒涛の50曲を披露! 20年の深さと重みを感じさせられる圧巻のステージで、2日間に渡ってムッカー(ファンの愛称)を熱狂させた。

たいまつが灯す薄暗いステージに静かに登場した4人。野性的なSATOち(Dr)のドラムから一瞬の静寂があり、「朽木の塔」で1曲目からMUCCの一番深い部分を曝け出し、悲痛なシャウトを聴かせた逹瑯(Vo)が“20年の闇と痛みを開放しよう”と告げ、ミヤ(Gu)のギターイントロに歓声が上がった「蘭鋳」でライヴが本格的に幕を開けた。普段はライヴ終盤に演奏されるこの曲に早くもクライマックスのような盛り上がりを見せると、その勢いのまま「茫然自失」「スイミン」と激しくヘヴィな曲が放たれる。

“今日は休ませないよ”と、その後も矢継ぎ早に披露される楽曲たち。日本武道館では1stアルバム『痛絶』、2ndアルバム『葬ラ謳』の再録盤がリリースされることも発表されたが、1stシングル「娼婦」など過去の楽曲も大事に育み続け、ライヴで披露する機会も多いMUCC。過去楽曲が風化しないどころか、歌やサウンドもしっかり進化を遂げているから驚かされる。新旧織り交ぜたセットで感情を揺さ振り、郷愁感ある「家路」で涙を誘うと、「絶体絶命」「大嫌い」で会場を掻き回し、再び深い闇を見せた「ズタズタ」で本編終了。

“暗い曲ばっかだね(笑)。よくもこんな暗いバンドをやってたもんです。よくもこんなバンドに付いて来てくれたもんです”と、逹瑯が感謝の言葉をぶっきらぼうに語って始まったアンコールのラストは最新曲「脈拍」。スケール感のある最新型の歌と演奏で終わりと始まりを感じさせ、2日目への期待を大きく煽って初日を終えた。

“20年間に出会えた全ての人と、まだ見ぬ未来のあなたへ心から感謝を。ありがとう”と逹瑯が告げ、初日のラストに演奏された「脈拍」で始まった2日目。1曲目から異常なテンションを見せ、会場中にヘドバンの波が起きる光景を見て、昨日からライヴが続いているかのような錯覚に陥る。

“昨日とは打って変わってエンターテインメントなMUCCになってます”と逹瑯が語ったように、アリーナに巨大なサークルモッシュが出来た「KILLEЯ」、会場中が声を合わせた「ファズ」や「JOKER」「G.G.」とライヴ定番曲と過去楽曲を絶妙に組み合わせた、盛り上がり必死のこの日。変わることを恐れず、進化変化を繰り返してきたMUCCの多面性も見える。

「秘密」や「ピュアブラック」など、ダンサブルで少しテイストの異なる曲も笑顔で体を揺らすムッカーに“20年やってきたからこその強い絆を感じるよね”と笑顔を見せる逹瑯。「Mr. Liar」「TONIGHT」で最高潮の盛り上がりを生むと、「シャングリラ」の堂々とした歌と演奏で魅せて本編を終演。

観客の灯す携帯のライトと会場中の合唱が日本武道館を美しく彩った「優しい歌」で始まったアンコール。2日間のラストは吹き上げる紙吹雪と壮大な歌と演奏が多幸感を生んだ「ハイデ」。20周年のテーマである“飛翔”の言葉通り、ここからさらに高く羽ばたいていく予感をさせる希望に満ちたエンディングは、20周年記念を締め括るのに十分すぎるほど美しいものだった。

撮影:西槇太一/取材:フジジュン

MUCC

ムック:キャッチーなメロディーに乗せた、グランジ、オルタナティブなどのエモーショナルなサウンドと哀愁漂う刹那的な歌詞で、近年のヴィジュアル系シーンを牽引する4人組バンド。1997年に茨城にて結成。怒濤のライヴ活動と、積極的な音源リリースで人気を集め、03年にシングル「我、在ルベキ場所」でメジャーデビューを果たした。独特の世界観を持った楽曲とパフォーマンスで日本だけでなく、海外でも活動を行なっている。