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LIVE REPORT

サイダーガール

『CIDER LABO VOL.4』

2017年04月22日
@渋谷CLUB QUATTRO

ライヴハウス・シーンを中心に人気がぐんぐんと上がってきた、サイダーガールが4月22日、渋谷CLUB QUATTROで開催した自主企画イベント『CIDER LABO vol.4』は、出演した3組の熱演も含め、いろいろな意味で観どころ満載のものとなった。

個人的には轟音とポップフィーリングが絶妙に入り混じるサイダーガールの楽曲と演奏にすっかりヤラられてしまったが、苦悩と葛藤、そして光を求める切なる願いを力強いギターロックサウンドに込め、観客の気持ちを揺さぶったLAMP IN TERREN、80~90年代のJ-POPに対するオマージュともパロディーとも言えるポップソングとダンスを通して、笑いとともに会場全体をハートウォーミングな空気で満たしたデュオ、ONIGAWARA――それぞれのやり方で観客の気持ちを鷲掴みにした2組の演奏もともにとても観応えあるものだったが、180度違う(?)LAMP IN TERRENとONIGAWARAが同じステージに立つ、その振り幅の広さとオープンマインドもまた、このイベントの観どころのひとつだったように思う。

そして、トリのサイダーガールは観客がいきなり激しい手拍子で応えた1曲目の「ドラマチック」から、これまでリリースしてきた4枚のミニアルバムからの曲を1時間にわたって、たたみかけるように披露。曲ごとに変化を付けながら、サビでは必ずパキッと景色が開けるように展開するYurin(Vo&Gu)の歌が持つキャッチーな魅力もさることながら、ガッツあふれるソロをほとんど全曲で閃かせながら轟音でかき鳴らす知(Gu)のギタープレイに筆者はすっかりシビれてしまった。そして、ウワモノとしてバンドサウンドを印象付ける、Yurinと知のプレイをサポートとは思えないぐらい手数が多いドラマーとともに支えるフジムラ(Ba)。中盤、“まだまだいけますか?”と客席に身を乗り出してコール&レスポンスを求めながら観客を煽ると、それに応えるように観客が飛び跳ね、その盛り上がりが床に伝わって足元がぐわんぐわんと揺れた。

しかし、この日一番の盛り上がりは、本編が終わったあと、ステージと客席の間に引かれた幕にサイダーガールが7月26日にメジャーデビューすることを伝えるムービーが映し出された時だった。多くのファンが悲鳴に近い歓声を上げ、3人を祝福すると、バンドは早速、疾走感と爽快感が印象的なメジャーデビューシングル「エバーグリーン」を初披露。そして、“音楽をやめようと思ったこともあったけど、死ぬまでやろうと思います。音楽シーンを駆け抜けていきたい。サイダーガールはいいと思ってもらえる曲をもっともっと作って、いいと思ってもらえる回数を増やしていきたい“(Yurin)と抱負を語ると、サイダーガールとして初めて作ったという「群青」とともに最後を締め括った。メンバーたちがラストナンバー込めたさまざまな想いを想像しながら、彼らが新たな一歩を踏み出す瞬間に立ち会えた歓びの余韻を味わう帰り道は格別だった。