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LIVE REPORT

GLIM SPANKY

『Velvet Theater 2016』

2016年07月09日
@キネマ倶楽部

憧憬と、巡らせる想像と、遥かなる旅路と、その果てに見えるもの。それは日常と地続きであったり、あるいは非日常へと誘われて開ける扉の向こう側であったり。GLIM SPANKYの名の“GLIM”が意味するところをフィーチャーしたライヴは、音楽でトリップすることで得られる享楽を体現した、夢と現と幻が描き出される時空間だった。その世界は本公演のタイトルチューンでもある「ヴェルヴェットシアター」からの3曲で、もう完璧なかたちで築き上げられていた。とりわけ2曲目に披露されたタイトル未定の新曲は、アップライト・ベースが鳴らす時を刻む音、ポエトリー・リーディングなどが織り込まれた深い映像感のあるナンバーで、“GLIM”の極限に位置するようなディープかつスリリングなミュージックスケープに魂ごと引き込まれていくような感覚が。また、亀本寛貴のギターとベースの応酬が踊れるロックンロールを加速させた「Gypsy」、アンダーグラウンドの匂いをタフなサウンドで昇華した「いざメキシコへ」、そしてスペシャルゲストの四家卯大が奏でるノイジーなチェロが浮遊する「闇に目を凝らせば」でのゆっくりと浸食してくるような松尾レミ(Vo&Gu)のヴォーカルに酔った後半戦は、縦軸と横軸が織りなす広がりと奥行きがさらに重厚に。アンコールは怒りがキャッチーに燃え上がる「怒りをくれよ」から別れの時が近付いていることを告げる「ロルカ」へ。痛快に抜けてスッと穏やかに着地する、その流れと残る余韻が非常に心地良かった。