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LIVE REPORT

LEGO BIG MORL

『LEGO BIG MORL Spring Tour 2014“Something New”~雪辱編~』

2014年04月11日
@代官山UNIT

タナカヒロキ(Gu)が不慮のバイク事故に見舞われ、右手首を骨折したのが1年前のこと。それを受けて春のワンマンツアーは中止となり、デビューから躍進を続けてきたバンドも活動休止を余儀なくされてしまったのだった。しかし、このアクシデントはやがてメンバーの結束をかえって強めることになる。そう、立ち止まって考える時間ができた彼らはネクストステップを模索しながら楽曲制作に没頭し、見事ピンチをチャンスに変え、新生LEGO BIG MORLとして帰ってきたのだ。今年1月には新曲「Wait?」をリリースして、ライヴ活動も再開。結成8周年を迎えた3月にはバンド名表記を大文字に変更するなど、復活の狼煙を上げる中、奇しくも1年前と同日程&会場で行なわれる待望の東名阪ツアーが始まった。“雪辱編”というタイトルで。

登場を待ちわびた満員の観客への回答となる1曲目は、詞を手掛けたタナカ曰く“お待た~?”を意味する「Wait?」だった。カナタタケヒロ(Vo&Gu)の“雪辱編、始めます”の言葉に合わせ、すぐさまヤマモトシンタロウのゴリゴリにウネる太いベースが滑り込んでくる。“ここじゃ終われないよ”“限られた時間だ 笑って死ねるように!”という詞のとおり、これはLEGO第2章の決意表明だ。感慨深く客席を見つめながら早くも身を乗り出してギターを弾くタナカの表情はとても晴れやかで、タンバリンを振って踊るカナタもすでにノリノリ! ドラムのアサカワヒロはにこやかな表情でどっしりとグルーブの真ん中にいる。さらに、興奮覚めやらぬまま「絶望は希望よりも美しい」「knock to me」「Star+?」と今のモード全開のロックチューンを惜しみなく連発! 新しい曲を披露できる喜びはもちろん、それは“今の自分たちを見てくれ!”という自信の表われだろう。そのフレッシュさと怒涛の先制パンチにファンからも歓喜のどよめきが起こり、ステージ写真撮影可というこの日ならではのサービスも一時はそっちのけ状態に。

中盤以降は初期からのナンバーも織り交ぜられていく。タナカが鮮やかなトレモロで右手の回復をアピールした「Flowers」、いつも以上に繊細さを感じさせたデビューシングル曲の「Ray」。そして、ベースとドラムの軽快な絡みが見ものの「nice to」では、アサカワがブレイクのタイミングを大きな声によって指揮する息の合った演奏でフロアを一段と熱くする。MCで“去年はこのツアー、ソールドアウトしてたんやっけ? ほんなら、事故って良かったね(笑)”などとおどけていたタナカも、「cinderella syndrome」では自分の頭をヤマモトの肩に押し付けて大はしゃぎ! また、カナタの声もよく出ていて、特に代表曲「ワープ」での快活な歌いっぷりは素晴らしかった。一方で、この日はまだタイトルさえない3つの新曲をプレイ。そのすべてがもうライヴに耐え得る説得力で鳴らされていて、新旧の楽曲のうねりを体感できたのも見どころだったと思う。

ハイライトは“すごく大切な曲ができました”というカナタの紹介で始まった「RAINBOW」。おそらくは絶望の淵から這い上がった彼らの覚悟が詰まったバンドソングでありながら、これまでの作品よりも群を抜いてキャッチーな光を放つこの曲が、ブルー、グリーン、ライトブルー、パープルのレーザーがファンタジックに差し込む空間の下、オーディエンスのシンガロングを巻き起こすさまは、新たなアンセムの誕生を感じずにはいられなかった。その後、待ってましたとばかりに歓声が沸いたアンコールの「正常な狂気」で、フロアーはますますゴキゲンに熱狂! 清涼感あふれるポップナンバー「テキーラグッバイ」も大いに盛り上がり、カナタは“最高やわ! ホンマにこうやってまたワンマンやれてよかった”と安堵の笑顔を見せた。感傷的になりすぎることもなく、よりソリッドになったサウンドを挑戦性とともに打ち出したLEGO BIG MORL。だが、彼らの真価はまだまだこんなものじゃないのかも。鬱憤を晴らすようにフル稼働してくれるであろう今年、バンドがいっそう化ける気がしてならない。