今回のツアーはNewアルバム『葡萄』に相応しく、愛媛県“武道”館から始まり、この日本“武道”館で締めくくることとなった。五大ドームも含め、全11ヶ所23公演のこの大規模ツアーは合計で50万人にも及ぶ動員を記録、サザンの全国ツアーは、2005年に行われた「SOUTHERN ALL STARS Live Tour 2005みんなが好きです!」以来10年振りだったが、10年振りにして最高の動員を塗り替えるツアーとなった。
さらに、サザンの日本武道館公演は1992年から93年にかけて行われた全国ツアー「歌う日本シリーズ」の最終日以来、実に22年振り。超プレミア公演のチケットを幸運にも入手できたファンは開演前からテンションマックス。“皆様、本日はようこそお越しくださいました 季節は巡り愛媛県武道館からここ日本武道館へ 大きく育った『葡萄』をみんなで喜び味わう旅 さあ、いよいよ収穫祭のはじまりです”という字幕がステージ上に映し出され、メンバーがステージに登場すると、武道館全体を大きく揺らすかのような大歓声が沸き起こった。
全国各地を大いに盛り上げてきた今回のツアーだが、武道館でも同様にボリューム満点。往年のヒット曲から『葡萄』収録曲まで、新旧にわたるサザンの名曲・ヒット曲を36曲披露、公演時間は3時間半以上にもおよんだ。ライブの中心となっているのはもちろん『葡萄』収録曲。CMソングとしてもおなじみのロマンチックなポップチューン「はっぴいえんど」や、すでに名バラードとの呼び声が高い「平和の鐘が鳴る」では、曲中で自然にさざ波のような温かい拍手が沸き起こった。また、原 由子がメイン・ボーカルをとる「ワイングラスに消えた恋」では、原が普段のキーボードの位置から離れ、ステージ中央に立ちダンサーを従え歌謡ショーさながらに歌い上げると観客は大喜びだった。
終盤になると、会場の盛り上がりはレッドゾーン振り切れ状態。「東京VICTORY」では会場全体がひとつになって拳を振り上げ、「アロエ」では、ステージに多数登場するアロエをあしらった衣装をまとったダンサーとともに客席全体がダンスフロアーと化す。さらに「マチルダBABY」「エロティカ・セブン(EROTICA SEVEN)」「ボディ・スペシャルII(BODY SPECIAL)」「マンピーのG★スポット」という怒涛の盛り上がり曲連続攻撃に、12,000人が狂喜乱舞した。
この二日間の武道館公演で、「おいしい葡萄の旅」は一旦終了となったが、『葡萄』の大ヒット、そして全国ツアーの大成功を経て、まだまだ今後のサザンオールスターズの活躍に期待したいところ。「命ある限りみなさんとこうやって逢瀬を重ねていきたいと思います」というステージ上での桑田の発言通り、今後もまだまだサザンの音楽の旅が続くことを期待したい。