冬航路

こんな夜更けに 吹雪の中を
おひとりですかと 宿のひと
言葉少なに うなずけば
海が哭(な)いてる 波止場町
過去をふり切る 冬航路

いいの器用に なれなくたって
ひとりの男に 惚れて死ぬ
うなじあたりに すきま風
思い出させる 恋の息
一夜(いちや)泊りの 冬みなと

もしも夜啼く 鴎なら
想いを届けに 行(ゆ)けますか
こころ変わりを 責めるより
涙ちぎって 渡る海
北へ逃れる 冬航路
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