スペシャル

誰かが声を涸らして誰かを呼んでる
バイクの振動と生ぬるい風
熱を帯びた大地が湯気を立てて
めまいの中に身体預けて

繰り返す
その目を見た時のシーン
握り返された手を解いて

誰かを特別に思うことが怖いんだろう
それをまた失うことがつらいんだろう

夏の夕暮れは去っていく
日射しと共に去っていく

微かに空に音がしたと感じた
次の瞬間にはもう土砂降りで
ブレーキ音は悲鳴の様に耳にまとわり
一つの考えを邪魔し続け

夢に見たあなたは蝶になって
震える羽根を捕まえようと何度もして

目が覚めたら壊れてしまう夢とわかって
そんなものの為だけに生きてみようとする

覗いた眼の中の火花が揺らいで
どうかしていく午後の陽炎
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